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2019-06-16 21:51:12 | 社会

窓開け大音量でハードロック、53歳逮捕 静穏妨害容疑(朝日新聞)

 自宅の窓を開けて大音量でハードロックなどを聴き続けたとして、京都府警は10日、京都市西京区の無職の男(53)を軽犯罪法違反(静穏妨害)の疑いで逮捕し、発表した。周辺住民の110番通報などで駆けつけた警察官が10回、音を小さくするよう求めたが、聞き入れず窓も閉めなかったという。男は「趣味で聴いていた。大きい音を流したのは間違いない」と話しているという。

 西京署によると、逮捕容疑は昨年8月~今年3月の10回、戸建ての自宅でCDラジカセなどで大音量で音楽を聴き続け、近所に迷惑をかけたというもの。朝の7時半や夜の9時過ぎの時間帯もあった。駆けつけた署員に、「趣味でやっているんだ」「帰れ」などと言い返したという。

 

 静穏妨害で逮捕とは、何とも驚かされるニュースです。しかも容疑とは8ヶ月間で僅かに「10回」、その時間帯も「朝の7時半や夜の9時過ぎ」とのことですから、それほど周辺住民の睡眠環境にも影響を及ぼさない範囲です。こんなレベルで逮捕されるのなら、保育園や小学校、工事現場関係者だって軒並み豚箱に放り込まなければ、公平を欠くというものでしょう。

 過去の事例では「一般に不規則かつ大幅に変動し、衝撃性が高いうえに高音だが、不愉快と感じる人もいれば、○○を感じてほほえましいと言う人もいる」との理由から、国の環境基準を上回る騒音であっても何ら問題はないとの判決が最高裁で確定しています。ただ、この「○○」の中身次第で取り締まりや規制の対象になるかは変わるものなのかも知れません。

参考、静かに暮らす権利はありません

 警官なり裁判官なりが小児性愛者であるならば、子供がどんなに騒ぐのを放置していても無罪となります。あるいは裁判官なりが軍国主義者であるならば、基地からの騒音は公共性に鑑みて周辺住民が受忍すべきものと判断されるでしょう。そして今回の通報を受けた警官が熱心なハードロックファンであったなら――通報者をなだめる方に回っていたはずです。

 学者の実験だったかテレビの企画だったかは忘れましたが、色々な種類の騒音を大音量で流してみたことがあったそうです。総じて音楽であれば苦情が殺到した一方で、男の怒鳴り声と何かを殴打する音、女性の悲鳴を大音量で流す分には、文句を言いに来る人は皆無であったとか。一口に騒音と言っても周囲の反応は内容次第、音量の大小は、あまり関係ないのでしょう。

 そもそも、騒音の被害を訴える人の方に問題を求めるのが我々の社会の常識だったはずです。生活環境の侵害に困窮して解決を求める人々を見れば、「世の中が狭量になったせいだ」と肩をすくめてみせるのが良識ある大人というものではないでしょうか。誰かが隣家や周辺施設の騒音を公的機関に訴え出れば、普通はその人がクレーマー認定されますよね?

 中年男性が過労死しても、社会的な扱いは「それなり」に止まります。ところが、ある若い女性が過労死したところ、国会議員が競って対策案を口にする「まつり」へと発展しました。伝承や恐らくは史実でも、生け贄に捧げられるのは専ら中年男性ではなく若い娘ですが――なるほど生け贄としての価値という観点では、同じ人間でも随分と差があるのだなと思ったものです。

 今回の事件で逮捕されたのは「無職の53歳」でした。一方で今月1日には、周辺施設の騒音に不平を述べていた無職の44歳を、元農林水産事務次官が殺処分するという事件が発生して話題となりました。やはり無職は弱いな、と感じるばかりです。もしも今回の件で通報したのが無職の53歳であったなら、警察の動きは全く違ったものになっていたはずですから。

 アメリカ軍と近隣住民のどちらを黙らせるのが簡単かと言えば、たぶん後者なのでしょう。保育園と周辺住民のどちらを黙らせれば世間のウケが良いかと言えば、やはり後者です。結局は力関係が重要と言いますか、それで結果は変わるものです。騒音の程度がどうこうという以前に、無職の53歳という時点で、もう負けは決まっていた気がします。負け犬とハードロックは良い取り合わせですけれど……


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