Mark

むさりんパパ

キチメガ

2008-09-13 07:21:18 | Weblog
復活!


「inside Black」

この曲は、ロックだ。

眼鏡は最初からロックと決めていた。

ただ、どこまでやるかがポイントだった。


事前に平井さんの曲は聞いていたけど、

ハードな歌はほとんどない。

ロック度あげて行く事はできるけど、

果たして平井さんが実際にどこまで歌えるのか?という不安もあった。


一度ご一緒していれば、わかる。

だが、平井さんとは初めてである。

声質はわかっても、

歌い回しまでは実際に歌ってみないとわからない。


しかし、曲はレコーディングより前に完成しないといけない。


この曲に関しては、松崎プロデューサーからの要望もあった。

「Markさん、ロックで!」

「いいけど、本気モードでやっちゃっていいの?」

「やってください!」

「ゲーム会社さんとか大丈夫?」

「大丈夫です!」

「じゃ、やっちゃうよ」

「お願いします!」


声優の方でも歌が上手い人は多い。

だけど、その道でやっている人はやはり凄い。


逆に考えるとどう?

歌だけ歌っているアーティストが

アフレコをやって、

声優の人より上手くできるなんて事はないと思う。


プロフェッショナルと言うのは、

常に努力している人が一杯いる世界だし、

どの世界でも、その道で勝負している人の壁は高い。


だけど、そこにあえてチャレンジしようと。


演奏がハードになればなるほど、

歌もそれに負けないように歌わないといけない。

この曲は最初から生演奏で勝負!と決めていたので、

同時にレコーディングで叩いてもらうドラマーの

選定にも入っていた。



キチメガのドラマCDを何度も聞いて、

平井さんの声の質感を確認した。

そこを理解できなければ、

このキャラクターソングの世界は構築できない。

歌さえ作ればいい、というものではない。


この曲の歌声は、

眼鏡克哉の声より少しだけ高く感じる人もいるかもしれないね。

でもそれは、歌と台詞は違うからだよ。

あの声質と全く同じ声で高いメロディを歌うことはできない。

そこはContrastが究極だったけど、この曲もそうだった。


だから、自分で仮歌を歌う必要があった。

歌う人が迷った時、自分が歌ってなければ、

わからないから。



曲として聞いても、いい曲でないといけない。

でも、その「克哉の声」のイメージを守らなくてはいけない。

なのに、歌うのが難しいハードなロックにしてください!という要望がある。

でもこの時点では平井さんどこまで歌えるかどうかの確かなものは何も無い。


そんな色々の問題がオレに来てたんだよ(笑)

そんな時はどうするか。


よし、平井さんに賭けよう!

これしか無い(笑)

ホント、そう言う状態やったんよ(笑)




前置き長くてゴメン。

でもここを書いておかないと、

平井さんのチャレンジの意味が伝わらないから。


歌った。


その声は本当に素晴しかった。

全身を使って、歌っている。


そうでないと、演奏に負けてしまう。

それを説明しなくても平井さんは感じていたみたいだ。


途中、一回ブレイクして聞いてみた。


平井さんは納得していない。


みんなは歌のレコーディングは、

1番から最後までサクッと歌って終わると思ってない?

そんなレコーディングはないよ。


Aメロから何度も何度も歌って、いいテイクが来るまで

歌い続けないといけない。


平井さんが気にしていたのは、声だ。

オレは何か大事なときは、直接話す。

レコーディングスタジオは、エンジニアがいる部屋と

歌う部屋(ブース)に分かれている。

マイクで会話できるんだけど、

大事な事は、目の前で話さないとダメだ。

ブースに行って直接話すと、歌う人に届きやすい。



平井さんは自分の声に納得していない。


それまでの声でも十分すぎるぐらいだ。

正直オレはビックリしたもん。


でも、平井さんはもっと上を目指していた。



しかし、それ以上強く歌えば、声に負担がかかる。

このあと、3~4時間歌い続けなければならない。

それはベストじゃない。


一度ブレイクした後、

再開する。

無理しないでと言っても、さらに力を入れて歌う人。

この人はホント凄い人だ。


1番が終わる頃、やはり声が少しかすれた。

「休憩します!一切しゃべらないで!」


その後、40分ぐらい休憩をとった。

一言もしゃべらず、回復を待つ。

レコーディング時間はそう言う事も考えて、長めにとっておいた。


平井さん自身が本気モードなので、

オレも腹を決めた。


「最高の曲にしよう!」

そういって、再開した。

それはもう姿勢なんだよね。


回復してから、更に凄い歌になった。

エンジニアさんもその歌に驚いていた。


すべて録り終わって、プレイバックをした。

スタッフはその歌声に満足していた。

だけどオレは、

平井さんの気持ちがわかっていた。


「平井さん、悔いは無い?」

「もう一度だけ、歌わせてくれませんか?」

「じゃ、やろう!」


その答えはわかっていて聞いた。

もう今の歌で十分OKテイクだ。

ここでもう一度頑張っても、ほんの少ししか変わらないだろう。


それまで数時間、必死にやってるんだから。

でもさ、そうじゃないんだよ。

出来るか出来ないかはわかんないけど、

それに向う事がチャレンジ!


オレはとことん付き合うよ(笑)

達の時も、同じ様な感じだったな(笑)


マネージャーさんに確認を取るオレ。

「そのままお願いします」


よし、じゃ、最後いくぜ!


体力も声も限界を超えていた最後の歌。

本当に素晴しかった。

言葉にできない程、オレは感動した。


それは聞いてもらったみんなに伝わっていればいいな。

あれだけハードな演奏に負けていない歌。

この姿を見ていたオレは、



絶対、最高の曲にする!

そう強く思った。

その後に、ドラムをそうるさんにお願いした。

そうるさんには、平井さんの歌を聞いて叩いてもらった。

素晴しいドラムで、平井さんの歌をもっとかっこ良くしてもらった。

B’zもGLAYもジャニーズも何もかも叩いてきた日本を代表するドラマー。

オレもギターを全力で弾いた。




生演奏のレコーディングをすると、

費用も時間もかかる。

普通、キャラソンはそこまではしない。

というか、できない。

ただ今回は、松崎さんが全面バックアップしてくれると約束していた。

だからオレも、思いっきりやれた(笑)

ミックスのエンジニアもマスタリングエンジニアも、

日本でトップクラスの人達ばかりだ。


たぶん、相当売れないときついだろうな(笑)

だから、応援して(笑)

Sprayのスタッフの方も、

歌のレコーディングには全部立ち会って頂いた。

みんなの想いが入ってる。

「こだわり」と「執念」だな。

平井さん、そしてスタッフの本気が入ったこのCD。

可愛がってくださいね(笑)



あらためて、


平井さん、本当にありがとう。


そして、スタッフのみなさん、お疲れ様でした!


さあ、打ち上げするぞ!(爆)←(昨日した(笑))




もちろん、何度聞いてもエンドレスで聞いても、

もっと聞きたくなっちゃう、

「Mark MAGIC」も入ってます(笑)


VitaminXのみんなはわかってるけど、

キチメガのファンの方は初めてだからね(笑)


よく聞かれるんだけど。

どうしてですか?って。


もちろんテクニカルな部分はあるよ。

でもさ、そこはたいした問題じゃないから。


歌う人を本当に好きになって、

ベストを尽くすと、その想いは曲に入る。

それが聞いてる人に伝わるんじゃないかな。

カッコつけるわけじゃないけど、

それなんだろうね。


最後に一言!(ここ新しく入れます(笑))



平井さん、最強!


以上でした。



またね^^

*教えてくれてありがとね。
 でも気がつく前に書いちゃったんで、これで(笑)