ポゴレリチのインタビューを読むために『レコード芸術』10月号を買った。
(以下、ネタばれです。初見の感動こそ命!とお思いの方は、
記事をご覧になるまで、下の文章はお読みになりませんように)
いつものように、マエストロのインタビューは私的爆笑モノだった。
まず、巻頭カラーでにっこり微笑む『王様と私』なポゴレリチが、
私にとっては既に「華麗なる海ボウズ」で、相当に可笑しいわけなのだが、
話の中でポゴレリチが、皆の注目する、髪を剃った理由について、
『すごく癖の強い髪だったので剃ってしまっただけです』
と、なんともアッサリと説明していたのが、とても意外だった。
この人は、一見するとかなりミステリアスな振る舞いが多いのだが、
いざ、その理由が明かされてみると、実にくだらんことが結構ある。
以前も、リサイタルの際に、手元のあかり以外全部消して
舞台を真っ暗にして弾く彼の流儀について取り沙汰されたことがあって、
客としての私は、「黒ミサか?」と盛り上がり、びくびくしていたのに、
『ライトが明るいと、その熱で私のコンタクトレンズが乾くから』
などと、がくーと来るような理由を本人が述べていたことがあった。
で、今回の髪についても、仏門に入った・ラマ僧になった、
等々と言われるくらいのテッテー的なツルツル頭で、
私なんか「チャクラが全開しちゃったのか」とまで心配したのに、
『以前は(癖の強い髪だったために)毎日ドライヤーを
20分も30分もかけていましたから、大変だったんです。
今は(全部剃ってしまったので)それがなくなり、
その分ピアノの練習にまわせますから楽になりました』、
がっかりするほど健全そのものの方向で話は完結してしまっていた。
90年代前半のポゴレリチは大仏様かパンチパーマか、という短髪で、
90年代後半のポゴレリチは怪傑ライオン丸みたいだったけど、
あれって、ドライヤーを小一時間もかけて苦労していた頭だったのか。
話は聞いてみないとわからんもんだとつくづく思った。
また、ポゴレリチは今後、映像作品を積極的に制作して行きたい、
という話題から、昔LD制作では非常に苦労した、という話をしていて、
ピアノの演奏が完璧でも、現場でのビジュアル面での注文が細かくて、
演奏中に様々な中断の入ったことが、とても大変だった、と。
『(演奏には問題がないのに)髪の毛がちょっと立っていたりとか、
ちょっとお粉をはたかなきゃとか』。
お粉、お粉、お粉・・・・・(エコー)。
これからDVD制作をするとしたら、スキンヘッドだから、
少なくとも「髪が立ってる!」という理由で収録が止まることはないが、
もしかしたら、顔だけじゃなくて頭にも、『お粉』をはたかなきゃ、
ということに、なるのかな~~~~
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