昨日は娘の誕生日だった。22歳になった。
…のだが、私は朝、LINEで祝ったのみで、
東京に来てまっすぐ歌舞伎座に行った。
海老蔵の助六を観るために。
海老蔵は美しかった。
登場時の花道七三での姿は圧倒的だった。
助六の存在感としてはもう、理屈ぬきで海老蔵は
ほとんど完璧であったと思う。
にもかかわらず、後半になって菊五郎の白酒売が登場して初めて
舞台が生き生きと動き始めたことを私は感じた。
ああ、音羽屋のおやぢ様はやはり桁が違う!
目の前の舞台にいちばん必要な部分をくまなく埋め、
真ん中の助六を輝かせるために菊五郎のしてみせたことは
あまりにも鮮やかだった。
勿論、私は長年の音羽屋贔屓だ。
だから他のどのような役者より菊五郎の芝居に
自分が最も敏感に反応するという面があるのはわかっている。
しかしそれを割り引いてもなお、
昨夜の舞台で私にとって最も印象的だったのは、
音羽屋の力量の大きさ・深さだった。
音羽屋と芝居をしたときの海老蔵には
助六としても最も魅力があったと思う。
海老蔵が自分を最高のかたちで発揮するためには、
これから、歌舞伎座で優れた役者たちと
もっと数多く共演してほしいとつくづく思った。
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