転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



西区民文化センター新ピアノ設置記念ピアノ開きリレーコンサートに、
仮装ぴあにすと様がご出演になったので、聴かせて頂いた。

仮装ぴあにすと様が演奏なさったのは、ベートーヴェンの某ソナタで、
以前にも別の場所で、この曲を聴かせて頂いたことがあったのだが、
なんだか、きょうの仮装ぴあにすと様は、とても大胆だった。
ステージマナーからして前とは違い、歩き方まで大股だった。
演奏も気持ち良いほどバシバシ決まって、かっこいいのなんの。

仮装ぴあにすと様の演奏は、なんともいえない颯爽とした良さと、
「重心が低い」という感じの厚い手応えの両方があって、
私は以前から大好きなのだが、きょうのは、
更に挑戦的・挑発的な雰囲気があって面白かった。

終わって仮装ぴあにすと様いわく、
「ちょっとポゴちゃんいれてみました」

ははは、なるほど!入ってましたとも!恐れ入りました!

それにしてもきょうの演奏者は皆さん素晴らしかった。
どういった方々のお集まりなのか私は詳しくわからなかったが、
大人から子供まで、たとえ初歩の小品でもそれぞれに主張があり、
確信を持って演奏していることが聞き取れて、
とても楽しく、聴き応えがあった。

最後にゲストとして演奏した中学生の本山麻優子さんは、
圧巻としか言い様のない見事な演奏で、本当に驚かされた。
モーツァルトのソナタやショパンのエチュード、
チャイコフスキーの「くるみ割り人形」の小品のあと、
メインとしてリストの「波の上を渡るパオラの聖フランチェスコ」
が演奏されたのだが、これが物凄かった。

決して、モーツァルトやショパンが簡単だ、と言いたいのではないのだが、
私の感覚だと、モーツァルトやショパン、チャイコフスキーに関しては、
子供や若い学習者がそれなりの感性で理解し把握する、
という状況が、まだしも想像できるものがある。
これらは、幼くても未熟でも、その時点なりの演奏というものが成立する、
という気が、私にはするのだ。
だがリストの、特に後期作品は、そのようなものとは違うと思う。

普通の人が年齢や学習の蓄積で解決しようと努力する部分を、
中学1年生の女の子にあのように、あっさりと弾かれてしまうとは。
ああした特殊な才能に恵まれた人は、幼くても若くても、
作曲家の声を聞きとり、その世界に迎え入れられるものなのだなと、
きょうはまた、つくづくと思った。

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