転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



いよいよ明日はマンションに移る予定で、
嬉しいには違いないが、荷造りが終わらないと出られないわけで、
昨日今日はもう、文字通り家の中じゅう修羅場と化している。
荷造りは今までも随分やったが、結局は、
直前にならないと詰められないものが非常に多いので、
最後の二日が大変なことになるのは、避けられない事態だ、
と既に私は諦めている。

それにしても、現代はIT時代などになり、世の中が、
ほんの数十年前とはかなり違って、随分と便利になったものだが、
引っ越しだけは、十年一日のごとく、手持ちのものを箱に詰める、
という作業以外の何ものでもあり得ないということに、
私は、改めて驚かざるを得ない。

私の記憶に残る人生最初の引っ越しは、私が8歳のときのことだが、
あの頃も、私の両親は家中ひっくり返し、大汗をかいて、
やまほどの段ボールに箱詰め作業をしていたものだった。
荷物が全部出てしまった部屋で、父がひとり大の字になっていて、
天井みながら何を感慨にふけっているのかと思ったら、
「(疲れすぎて)気分が悪くなった(T.T)」
と言っていたのが、今も、おぼろげに思い出される。

娘が赤ん坊だったとき、一度だけ、「お任せパック」というのを
試したことがあって、といっても予算がないから、
台所だけ荷造りを業者さんにやって貰う、というコースだったのだが、
あれは確かに、直前の修羅場がいくらか和らげられたとは思う。
荷造りが間に合わなかったものは、全部最後に台所に蹴りこんで、
結構、ズルいこともさせて貰った(^_^;。

だが、荷造りを業者さん任せにする、という引っ越しの最大の欠点は、
不要品の処分が不十分になる、ということだ。
業者さんは当然のことながら自分の判断でモノを捨てられないから、
極端な話、ゴミでも全部、梱包して箱に入れてくれてしまう。
お陰で私は、直前がラクだったぶん、荷解きで死ぬ思いをした。
新居ではゴミの出し方がすぐにはわからなかったから、尚更だった。

さて、今、事態をもっと困難にしているのは、明日の午後、
荷物が出てしまったあと官舎の「退去点検」があるということだ。
マルサの女みたいな人が役所から来て、
「ここに手あかのあとが」「ここにカビが」「ここに破れが」
と重箱のオモテから隅に至るまでことごとく点検し不備を指摘し、
私たちから清掃費や修繕費を徴収する、という行事だ。
これが怖くて私は、荷造りと並行して、鬼のように掃除をしている。

おとーーさーーーん、ユーレイでもいいから出てきてくださーい、
と私は朝からなんべんも唱えた。
『おまえ、不細工なのう。貸してみぃ!』
と舅がくわえ煙草で掃除の手本を見せてくれたことを
私は懐かしく思い出さずにいられない。
ああ、本当に、じーちゃんは、掃除の達人だった。
ポルターガイストでもいい、助けて~~(T.T)。


追記:だが今回の引っ越しでただひとつ、とても良いことがある。
それは、トラックが出たら我々は徒歩で新居に行ける、ということだ。
これまでは、荷物を出したあと、我々が新幹線や飛行機で、
他県への移動をせねばならなかった。
ったく、どこの誰が、引越と旅行をセットでしたいと思うものか。

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