「名跡最後の錦秋特別公演」で中村勘九郎が来ていたので、
広島厚生年金会館で午後二時の部を観た。
……と言うと、いかにも趣味人を気取っていて格好良いが、
私、実は、日本舞踊というものが全然わかりませんの(^^ゞ。
歌舞伎を観るのは好きだが、舞踊三れんちゃんというのは、
素養のない私にはかなりキツいものがあった。
しかも、それを知ったのが、会場に行ってからだった(爆)。
勘九郎が来る、というだけで、演目も見ずに券を買っていたので、
演しもの全部が舞踊だということに全然気づいていなかったのだ。
最初は、七之助による『藤娘』。
小さい子だと思っていた七之助も、もうそろそろ二十歳だ。
化粧した顔を見たら、角度によってはいかにも成駒屋系の目鼻立ちで、
血は争えない!と感心してしまった。
細かいところはわからないが、初々しさ十分で、
実に愛らしい藤娘だったのではないかと思う。
後半、酔ったあたりでそれなりの色気も出ていたようだったし、
何より、藤の枝を「担ぐ」という感じではなくて、
可憐に、そっと肩に置くような風情だったのがとても良かった。
次が、橋之助の『供奴』。
私は初め、幕が開いた時、どうして正面に松が無いのか?と首を傾げ、
橋之助はひとりでやるのか?太郎冠者は?と更に不思議に思い、
さんざん疑問符を飛ばしたのち、
花道に出てきた彼を見て、ハタと合点が行った。
開演前、チラシで演目をちゃんと確認したにも関わらず、
私は独りで勝手に『高坏』を見る気になっていたのだ(爆爆)。
勘太郎と七之助が小さい頃に、勘九郎と一緒に『高坏』を踊ったので、
頭がタイムスリップしていたのではないかと思う。すみません。
そりゃもう、橋之助の足拍子は見事でした。はい。
最後が、勘九郎・七之助の親子共演による『連獅子』。
今度こそ松羽目物(正面に松(^_^;))。
巴、だったか、あの、獅子の毛を豪快にふり続けるところが、
連続的で凄い迫力で、これは大いに盛り上がった。
客層はあまり良いとは思えなかったのだが、
『連獅子』のラストでは大変な拍手喝采になり、
予定外(多分)のカーテンコールまであって、勘九郎も嬉しそうだった。
長唄の面々のほうを丁寧に客席に示して、自らも拍手を送る勘九郎と、
ちょっと戸惑った様子の七之助とが、なんとも言えず、微笑ましかった。
結局、それなりに楽しい公演だった(殴)。
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