
現在、2015年9月18日午後11時です。
「安全保障関連法案」=戦争法案を巡って、民主党など野党5党が共同で提出した安倍内閣に対する不信任決議案は、2015年9月18日夕方から開かれた衆議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党や次世代の党などの反対多数で否決されました。
そのあと、参議院本会議が18日午後8時半から開かれ、民主党から提出された戦争法案を審議する特別委員会の鴻池委員長に対する問責決議案について、各党の討論が行われていて、このあと、採決され、自民・公明両党と次世代の党などの反対多数で否決される見通しです。
さらにそのあと、参議院本会議では、戦争法案の採決が行われる予定で、与野党の攻防は最終局面を迎えています。
「安保法案」に賛成だったり、安倍政権を支持する人たちが、本当に苛立っていたのが、自分たちが少数派になってしまったこと。
安保法案に反対する人は賛成する人の倍になってしまいましたし、安倍内閣を支持する人よりも不支持の人の方が多くなってしまいました。
そんな方々が特に苛立ったのが、「安保法案」反対集会やデモの規模の大きさ、多様性、そして楽しさ、明るさでした。
以下の私の記事に対するコメント欄を見ていただくとコメントが100以上になっているのですが、いかに安保法案賛成派、安倍政権支持者の方々が反対デモや集会に苛立ち、敵視しているかがわかります。
もちろん、これは安倍首相や安倍政権の人々の気持ちが鏡のように反映したものです。
松本人志の「高校生が安保法制反対だって言うのって、意見じゃない。平和ボケ。対案出せ」が平和ボケ。
「頭にウジが湧いてるんだね」。安保関連法案に反対するママの会のデモに、ホリエモンと高須院長が誹謗中傷
戦争法案反対デモや集会は何をもたらしたのか。逆に言うと、何がそんなに安倍首相らにとって都合が悪かったのか。
まず、第一に挙げられることは、あまり指摘されていないことですが、これらのデモ・集会の威力がまざまざと見せつけられたことで、自衛隊を派兵することが現実には非常に難しくなったことです。
だって、法律を作る段階でこれだけ大規模かつ多様な反対運動が起こったのですよ。
実際に例えば、米軍がどこそこで戦争しているので、その「後方支援」=兵站を担当しに自衛隊を派遣します、とか言ったら、物凄い勢いで反対運動が起きるに決まっています。
ましてや、アメリカがどこかの国と戦争しており、しかも、日本の存立危機事態なので自衛隊もその国と戦争します、などと言おうものなら、本当に存立危機事態なのか、とか、自衛隊が行く必要があるのか、とか、大問題になるのは必至です。
なにしろ、安倍首相は集団的自衛権の行使はこれしか考えていないと言っていたホルムズ海峡の機雷掃海について、最後には
「現実の問題として発生することを具体的に想定していない」
と言わされてしまったのですから、実際に集団的自衛権の行使だと言って自衛隊が出動するのは極めて困難になったのです。
2015年6月17日 衆院党首討論会。
2015年9月14日、参院安保特別委。
というわけで、戦争法案が成立するにあたって、反対運動がこれほどまでに盛り上がって安倍政権がもだえ苦しんだ結果、戦争法案は自衛隊を事実上派兵しえない、生まれながらにして死に体の法律になってしまったのが、反対運動の最大の効果、果実でしょう。
これ以外に、もちろん、日本の民主主義を大いに前進させたのもこの戦争法案反対のデモと集会です。
立憲主義という言葉がこれほど市民に浸透することになったのは、法律家の端くれとして、私も感無量です。
特に、学生団体のSEALDs、これに刺激を受けた高校生たちのT-ns Sowlといった若者たちがいつもデモや集会の先頭に立っていたのは多くの市民を励ましました。
そして、そこから素敵なママの会やミドルズ、オールズなど次々と多種多様なグループができていったことは、日本の市民の政治参加の歴史を画する画期的な出来事でした。
学生が立ち上がり、学者が違憲だと断言したことで、学者と学生のコラボが実現したのも素晴らしかったですね。
アベは辞めろ! 2015・8・30 写真と動画で見る戦争法案反対、35万人の記録。
もちろん、この戦争法案に反対するしなやかな集団が、全国で、あるいは国会前で大規模に集結している姿をマスメディアが、ネットが伝え、全国民の共通認識になったことが、この国の政治への市民参加の意識を変え、私を含めてこれまでほとんどこういう運動に参加していないとか、全く参加したことがない人を次々と巻き込んでいきました。
そのことが戦争法案に反対する政党、国会議員を励まし、マスコミも含めて鍛えたことも間違いありません。
民主主義のシナジー(融合)効果、相乗作用が最大に発揮されたのがこの戦争法案反対運動でした。
だからこそ、安倍政権も右翼論壇もネットウヨクも執拗に彼らを攻撃したのですが、彼らはめげるどころかどんどん膨れ上がり、戦争法案が成立しようがしまいが、これからも闘い続けると高らかに宣言しています。
まさに、安倍政権と右翼勢力は自分たちが敵視してきた戦後民主主義という虎の尾を踏んだのです。彼らは最も手ごわい敵、「自分の頭で考える主体的な市民」を大量に作りました。
法律一つを作るのにもこんなに苦労した彼らが、さらに改憲運動を展開する気力が出るでしょうか。
そう分析して見てたので、保守派・タカ派の方々がいきり立って書き込みに来られれば来られるほど、
「ああ、この方たちが無視できないほど、戦争法案反対運動は威力があるんだな!」
と内心、ニコニコしてます(笑)。
ただし、逆にこの法案を通そうとする勢力の執念、底力もまざまざと見せつけられましたので、派兵、改憲も含めてゆめゆめ慢心することはなりません。
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民主主義ってなんだ? |
高橋源一郎、SEALDs 著 | |
河出書房新社 |
『ぼくらの民主主義なんだぜ』がベストセラーとなっている作家・高橋源一郎と、安保関連法案に反対する国会前抗議を毎週金曜日に主催し、テレビ、新聞、雑誌他あらゆるメディアで大注目を集める学生団体SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)が、2日間・計8時間に渡って、「自由」と「民主主義」を考えた対談、緊急出版!
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SEALDs 民主主義ってこれだ! |
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あの砂川事件最高裁判決が、集団的自衛権の行使を憲法違反ではないという論拠になるはずがない。
安倍政権の戦争法案に関する合憲性の主張は明らかに間違っている。
こんな無茶なゴリ押しには弁護士として黙っていられない。
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憲法と平和を問いなおす (ちくま新書) |
長谷部恭男 著 | |
筑摩書房 |
反対派の方々もご苦労。
これからも正義面しながら誰かをぶっ叩いてください。
今回の法案に基づいて実際に自衛隊が派遣されると、もちろん活動内容に依存しますが、純粋なPKO/復興事業以外では死者が確実に出ます。そうすると、そんな危ない仕事には誰も就かなくなり、少子高齢化により、自衛隊の兵力は著しく減少するでしょう。こうなれば、絶対、徴兵制か経済的徴兵制が必要になります。
経済的徴兵制は貧富格差が必要で、それを生むような政策は日本経済を同時に弱めるので、兵力維持には無理でしょう。徴兵制も、シンちゃん自身で憲法違反とハードルを上げてしまったので、憲法改正が必要となり、これも事実上無理。
結局のところ、憲法9条を守って武力行使をしてこなかったおかげで、短期的にはともかく、中長期的には自衛隊の兵力は維持できなくなり、シンちゃんの狙いも破たんします。
♪(さっちゃんのメロディーで)お馬鹿だね、シンちゃん
いつもわたしたちに鋭い問題提起や、独りよがりではない法律を踏まえた説明、あたたかい励ましを下さるブログ主様。
これからもよろしくお願い申し上げます。
世界でも上位に数えられる自由な民主主義国から、アジアの辺境独裁三流国家への転落の、瀬戸際と思います。
もっと政治について考え、人任せにせず自らかかわり、むしろこれを奇貨としてより成熟した民主主義国家に成長させていかなくては。社会と共に、自分も成長するようがんばります。
弾薬等を提供、運搬することは国民の目がとどかない
ところで出来てしまうのでは、それをも阻止することが
できるのでしょうか?
でも今回の暴挙に抗議する意味で今後政権が代わるまで山口県産の商品は一切買わないことに決めました。
深夜にぶちギレると翌朝困るからね。
反対派に表向き花をもたせて
我々は中身を取る手法。
正に「実を取る」
これが如実に表れた安保法案成立でした。
憲法守って国が滅びてもいいかって言うけど、国を守って国民が滅びることはないですか?
何も終わっていません。私たちは声を上げ続けます。自分自身の頭で考えて、良心と良識に従って。