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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

トランプ大統領が、かつてアメリカ合衆国が日系人12万人を強制収容所に入れた「敵性外国人法」をベネズエラ人数百人に適用し、連邦地裁の差し止め命令も無視して国外追放。トランプ政権の「法の支配」無視を許すな

2025年03月17日 | 米国史上最低の大統領 ドナルド・トランプ

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 2025年3月3日に国際司法裁判所(ICJ)の所長に日本から同裁判所の裁判官になっていた岩沢雄司氏が互選で選出されました。

 すでに、2024年3月には国際刑事裁判所(ICC)の所長に検事出身で同所裁判官だった赤根智子氏が日本人として初めて就任しています。

 2022年2月からロシアが国連憲章に違反してウクライナに侵略を開始してすでに3年以上、2024年10月にハマスによるイスラエル攻撃をきっかけにイスラエルがガザ地区で国際法違反の民族抹殺(ジェノサイド)を展開して1年半。

 そして、2025年1月にアメリカ大統領にむしろロシアやイスラエルを公然と支援するドナルド・トランプ氏が就任したという、国際社会における「法の支配」の貫徹にとって最も難しい転換期に国連の両裁判所所長に日本人が就任している、このことを偶然と捉えず、チャンスと考え、我々日本人ももう一度法の支配について考えてみます。

国際裁判所ICJとICCのトップになぜ日本人? 「法の支配」に意義 - 日本経済新聞

国際裁判所ICJとICCのトップになぜ日本人? 「法の支配」に意義 - 日本経済新聞

申 惠丰(シン・ヘボン)先生の新著『私たち一人ひとりのための国際人権法入門』。ジャニーズ事件など日本で実際に起きた人権問題を取り上げ、生き辛さや理不尽さの要因を国際人権法の視点から考察する

 

 

 法の支配(rule of law)とは、専断的・恣意的な国家権力の支配(国王などによる「人の支配」)を排し、権力を法で拘束する英米法系の基本的原理です。

 その内容は

  1. 法の優越:全ての統治権力が法によって拘束されます(憲法98条1項で日本国憲法が最高法規とされ、それに違反する下位の法規範や行政行為全てが向こうと規定されている)

  2. 個人の権利・自由の擁護:被治者の権利や自由を保障することを目的としています(憲法の最高法規に関する最初の条文である97条で「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」と規定され、第3章に基本的人権が詳細に規定されている)

  3. 適正手続の保障:公正な法的手続きが保証されます(憲法31条が刑事手続きに関して「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」と規定)

  4. 裁判所の役割重視:司法の独立性と重要性が強調されます(三権分立が徹底され、憲法76条1項で司法権の独立、同3項で裁判官の独立が規定され、さらに81条で裁判所に違憲立法・行政審査権が与えられている)。

 

 

 このようにみると、法の支配と立憲主義は非常によく似ていることがわかります。

 すなわち、両者とも

  1. 権力の制限:両原理とも、政府権力の恣意的な行使を制限することを目的としています。

  2. 人権保護:個人の基本的人権を保護することを重視しています。

  3. 憲法の重要性:両者とも憲法を最高法規として認識しています。

  4. 民主主義との結びつき:両原理とも民主主義的な政治体制と密接に関連しています。

 結論として、法の支配と立憲主義は相互に補完し合う概念であり、現代の民主主義国家の基盤を形成しています。

 ちなみに、立憲民主主義とは多数者支配的な民主主義と対置されるもので、少数者の人権をも尊重する民主主義のことを言いますが、これは憲法が一人一人の基本的人権を保障していることで多数者と言えども少数者の人権を奪えないことが中核になっており、法の支配が立憲主義を担保しているのです。

 そして、法の支配がより広範な法システム全体に焦点を当てるのに対し、立憲主義は特に憲法の役割に重点を置いているという点で区別され、国際社会では「法の支配」がますます強く求められていることになります。

国連総会でウクライナとヨーロッパ諸国が提案したロシアの侵略を非難する決議にトランプ政権とプーチン政権が一致して反対。国連憲章など国際法を遵守しない超大国が手を組んで世界を支配することに反対しよう

 

 

 トランプ大統領は対外的にはネタニヤフ首相のガザ侵攻を支持し、プーチン大統領のウクライナ侵略を後押ししています。

 そして、国内でも2025年1月29日に不法移民3万人を収容できる施設をキューバのグアンタナモ米海軍基地に建設するよう命じました。

 さらにトランプ氏は連邦地裁の差し止め命令を無視して「敵性外国人法」を適用して、ベネズエラの「ギャング」数百人をいきなり国外追放にしました。

 これは一見法の根拠があって法の支配に則っているようですが、そもそもこの敵性外国人法は戦時中に敵国の出身者や市民を裁判所での手続きを経ることなく拘束したり国外退去にしたりすることを可能にするものです。

 200年以上前の1798年につくられた法律を持ち出して、ベネズエラの「ギャング」がアメリカ合衆国に「戦争」を仕掛けているから戦時の特別な法律が適用できるという解釈・運用がめちゃくちゃで、法の支配からはほど遠い態度です。

参考記事 村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより

米トランプ政権の報道官が日本について呆れたフェイク・デマ・嘘・虚偽を発信。

 

 

 現に、この敵性外国人法が適用されるのは200年間で3度目で、アメリカの全体主義の表れとされています。

 1917年4月6日、第一次大戦でアメリカがドイツ帝国に宣戦布告した際、敵性外国人法に基づいて大統領令が発せられ、ドイツ出身者(約250万人)に対する制限が実施されました。

 第2次世界大戦中では、1941年12月の真珠湾攻撃後にルーズベルト大統領が署名し、アメリカに住む日系人が敵とみなされ強制収容されました。

 この時には約12万人の日系人が対象となって強制収容所に入れられましたが、この適用は後に差別的であったとして1988年に米政府が公式に日系人らに謝罪しています。

 これら2回の適用では、曲がりなりにも法律に書いてある通り戦時に適用された敵性外国人法を、トランプ大統領はベネズエラのギャング組織によるアメリカへの「侵略」を防ぐためと言い出して、平時にいきなり適用したのですから法の支配もへったくれもあったもんじゃありません。

 



 その法律を現代社会で適用するというトランプ大統領の今回の発表について、アメリカの有力な人権団体であるアメリカ自由人権協会が

「日系人の強制収容の正当化など、戦時中のこの法律の適用は当然ながら根強い批判を招いてきた。それを平時に国内法を回避する手段として適用するのは根本的な間違いだ」

と批判しています。

 何より連邦地裁が法の適用要件が具備しているか慎重な判断が必要だとして差し止め命令を出したのに、トランプ大統領は強行突破してしまったのですから、人権保障のために裁判所の役割を重要視する「法の支配」の理念に真っ向から反する態度だと言えるでしょう。

 

 

 いま、日本では日本政府に憲法を守らせ市民の人権を保障するとしてきた日本の自称護憲派の一部が、ロシアが法の支配を踏みにじったウクライナ戦争において、ロシアによる国連憲章違反を軽視し、戦争犯罪を無視して、ロシアに対する経済制裁にもICCによるプーチン大統領らへの逮捕状の発令にも反対しています。

 これは、トランプ大統領がネタニヤフ首相らに逮捕状を出したからとしてICCの裁判官や職員に制裁を加えた発想と全く一緒です。

 法の支配は近現代の憲法の根本原理であり、立憲主義と同じく権力者の手を縛って市民の基本的人権を保障することに存在理由がありますから、トランプ大統領やプーチン大統領のように国内外で専制支配をもくろむ権力者には一番邪魔な法理念です。

 それを尊重しない彼ら自称護憲派の護憲には、実は魂が入っていなかったのだということがよくわかります。

 だからこそ、彼ら自称護憲派の即時降伏論・徹底侵略論者たちは、トランプ大統領によるウクライナへの圧迫や、トランプ氏がウクライナに降伏を求めているも同然の「即時停戦」論も支持できるのでしょう。

トランプ信者はトランプはネオコンと違って第一次政権で戦争を起こさなかったから平和主義者だなどと言ったりするが(-_-;)、トランプ政権時代のアフガニスタン空爆は凄まじいものだったし、イランに対する強硬姿勢もひどかった。

そしてネタニヤフ政権を援護するためフーシ派に対する攻撃を始め、イエメンで子どもを含む130人が死傷している。

トランプ大統領が法の支配に挑戦状。イスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出した国際刑事裁判所(ICC)に制裁を加える大統領令に署名。ICC加盟約80か国が抗議の共同声明を出したのに日本は参加せず(怒)

 

 

 ところで、トランプ大統領は明日3月18日にプーチン大統領と電話会談することを公表しましたが、国際社会における「法の支配」の貫徹による小国や少数民族の人権保障を真面目に考えている良心的な市民は、これからもトランプ・プーチン・ネタニヤフら専制支配をもくろむ権力者に対して断固として抗議していかなければなりません。

 ICCがプーチン大統領やネタニヤフ首相らに逮捕状を出したことは歴史に残る快挙でしたし、フィリピンで麻薬戦争と称して裁判なしに数千人を殺したことを公然と自慢していたドゥテルテ前大統領が逮捕されてICCで今裁判を受けていることは画期的な出来事です。

 国内法に比べるとまだまだ法制度が整備されておらず、法の執行力の担保も弱い国際法ではありますが、ICJとICCがこれらのならず者国家や無法者権力者に対峙している限り、真の護憲派・リベラル派は世界市民として裁判所を支えていくべきだと思います。

 それが国内の無法者である自民党や日本維新の会や立花孝志ら一派に対して法の遵守を求めていくためにも必要な、法の支配を尊重する一貫した態度と言えるでしょう。

フィリピンのドゥテルテ前大統領(79)は2025年3月14日、オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)で、初審理にオンラインで参加した(ICCによれば、裁判官はドゥテルテ氏の長距離移動を考慮してオンラインでの参加を認めた)。

安倍首相はフィリピンのドゥテルテ大統領に、法律無視の麻薬撲滅戦争を止めるように申し入れるべきだ。

 

 

編集後記

トランプ大統領によるベネズエラ人の国外追放のニュースについて、日本の公共放送NHKが『トランプ政権「敵性外国人法」適用でギャング数百人を国外追放』という表題で報じていたのには呆れました。

彼らが「ギャング」だというのはドゥテルテ氏の麻薬の売人と同じでトランプ政権の一方的な決めつけであり、一人一人が本当にギャングなのかを含めて、本来裁判所が判断すべきことではないですか。

アメリカの経済紙ブルームバーグがトランプ政権が戦時法適用、判事の差し止め構わず数百人を逮捕・移送」という見出しで、

トランプ米政権は16日、ベネズエラの犯罪組織トレン・デ・アラグア(TDA)のメンバーであるとの疑いで数百人を逮捕し、収監のためにエルサルバドルに移送したと発表した。これより先、連邦地裁判事は一部の国外移送を差し止める判断を下している。」

と抑制的に報道しているのと比べると月とスッポン。

こんなことだから、自称護憲派でも法の支配を知らずにトランプやプーチンを支持するような人間が出てきてしまうのだと思わずにはいられません。

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[会員限定記事]日本経済新聞
ロシアのウクライナの侵略を非難するアイルランドのデモ(2月23日、ダブリン)=ロイター

すべての権力に対して法の優越を認める「法の支配」の概念が国際社会で揺らいでいる。そんなタイミングで日本人が世界の権威ある2つの司法機関のトップを同時期に務めることになった。日本が世界の法の支配を守る意義を問い直す。

「国際司法裁判所(ICJ)の発展に協力し、国際社会における法の支配の推進に積極的に貢献していく」。ICJの新しい所長に同所裁判官だった岩沢雄司氏が選出された3日、岩屋毅外相は歓迎する談話を発表した。

力による一方的現状変更を許さず

法の支配は国連憲章が一条一項で掲げる国際の平和と安全の維持の基盤をなす。そのもとでは、各国が国際法を順守し、力による一方的な現状変更の試みを認めない。

ICJは国家間の紛争を平和的に解決する国連の常設司法機関で法の支配を支える。1945年に設立し、オランダのハーグに拠点を置く。国家間の裁判を担うほか、国連機関の求めに応じて法律問題に勧告的意見を述べる。

岩沢氏は18年に15人で構成するICJ裁判官に就く前、東大大学院の教授などを歴任した。日本人が所長になるのは皇后さまの父である小和田恒元外務次官以来、2人目だ。

1年前の24年3月、国際刑事裁判所(ICC)の所長に検事出身で同所裁判官だった赤根智子氏が日本人として初めて就任した。ICCはジェノサイド(集団殺害)のほか人道、戦争を巡る重大な犯罪を犯した個人を訴追・処罰する常設裁判所だ。

11日には麻薬犯罪の取り締まりに絡んで国際法上の人道に対する罪を犯した疑いでICCが捜査していたフィリピンのドゥテルテ前大統領を同国地元警察が逮捕した。

ICCもICJと同様、法の支配の根幹を担う。日本は人材や財政の面から両機関を支援してきた。裁判官は独立した立場で、出身国を代表しないとはいえ、外務省幹部は日本人がトップをおさえた背景をこう解説する。

「ICJとICCの所長はともに裁判官の互選で選ばれるため信頼感が要る。日本が国際法を大切にして誠実に解釈・適用していることも考慮されたと推察できる」

仲間をつくる結集軸に

日本は法の支配に重きを置く外交を展開している。特に安倍晋三首相(当時)が16年に日本独自の構想として「自由で開かれたインド太平洋」の実現を唱え始めてからは、法の支配を国際社会で仲間をつくる際の主な結集軸に据えてきた。

東京に駐在する東南アジアの外交官は「小国にとって法の支配は死活的に重要だ。日本のように国際社会に影響力のある国が訴えることに意義がある」と話す。

国際社会では大国が法の支配を軽んじる例が相次ぐ。

ロシアは14年、ウクライナのクリミア半島を併合し、22年には同国への侵略を強行した。国連安全保障理事会の常任理事国でありながら、国際関係における武力の行使や威嚇を禁じる国連憲章を踏みにじっている。

中国も国際仲裁裁判所が16年に下した同国の南シナ海を巡る主権の主張に法的根拠を認めない判断に対し無視を続ける。台湾の武力統合も選択肢に入れる。

1月に政権に復帰したトランプ米大統領が法の支配をさらに揺るがす。力による平和を前面に掲げ、ウクライナを侵略したロシアを擁護する言動を繰り返している。2つの世界大戦を経て、法の支配に基づく国際秩序の形成を主導してきた米国の面影は薄い。

法の支配の主張は日本の国益に合う。日本は安全保障を究極的に核戦力を含めた同盟国・米国の軍事力に頼り、世界が「力の支配」に変貌すれば、立場は弱い。法の支配の追求は大国の横暴を嫌う新興・途上国「グローバルサウス」を味方につける手段にもなる。

同時に日本は米国への配慮が欠かせないのも現実だ。

石破茂首相とトランプ氏が2月の首脳会談後に発表した共同声明には「法の支配」の文言がなかった。岸田文雄前首相とバイデン前大統領による前回の首脳間の共同声明は「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持し強化する」と明記した。

慶応大の鶴岡路人准教授(国際安全保障)は「各国が『力の支配』ではなく『法の支配』が重要だと言い続けなければ、法の秩序の歩みは止まる」と警鐘を鳴らす。「米国に法の支配の重要性を訴えることが同盟国の責任だ」とも語った。

国際司法システム、執行に強制力なし

イスラエルにガザ攻撃の中止を求める暫定措置命令について審理した際のICJ法廷内(24年1月、ハーグ)=ロイター

ICJとICCはともに国際社会での正義の実現をめざすものの、理想は現実と遠い。各国の国内裁判は最終的に国家が判決を強制力をもって執行する。国際裁判は司法の判断を担保するシステムがなく、当事国の同意に委ねるしかない。

ICJは22年2月にロシアがウクライナに侵略した後、軍事行動の即時停止を命じる暫定措置命令を出した。24年5月にはイスラエルにパレスチナ自治区ガザ南部のラファへの攻撃を止めるよう同命令を発出した。

ICJの暫定措置命令には法的拘束力がある。ロシアは無視して現在も侵略を続ける。イスラエルも25年1月にハマスと停戦合意に至るまで命令を聞き入れることはなかった。

ICJの裁判システムは同意を前提とし、裁判での解決を求める紛争の当事国間の合意があって初めて審理を始める。日本は相互主義を前提に置きつつ、相手国が一方的に提訴した場合も、ICJが裁判を始めることを受け入れると事前に宣言している。

こうした「強制管轄権受諾」と呼ばれる宣言をした国は74カ国に過ぎない。国連の5安保理常任理事国では英国のみだ。

ICCも加盟国・地域が125にとどまる難題を抱える。

23年3月、ロシアがウクライナから子どもを連れ去ったことを巡りプーチン大統領に逮捕状を出した。24年11月にはイスラエルのネタニヤフ首相にガザでの人道に対する罪と戦争犯罪の容疑で逮捕状を発行した。

ロシア、イスラエルともICCに加盟しておらず、逮捕は実現していない。同じく非加盟国の米国もICCに敵対的な態度をとる。トランプ氏は同盟国のイスラエルに違法で根拠のない行動をとっていると主張し、ICC職員への制裁を可能にする大統領令に署名した。

南アフリカやマレーシアなど9カ国は1月末、ICJとICCの判決の尊重を求める組織「ハーグ・グループ」を立ち上げた。南アのラモラ国際関係・協力相(外相)は「法の上に立てる国などない」という。

法の支配の後退は司法機関の権威が失われたからではなく、米国の価値の揺らぎや指導力の低下とかかわるとの見方もある。国際司法システムの機能不全が叫ばれながらも、ICJへの付託件数は25年3月時点で25件と増加傾向にある。

記者の目 日本に米国の離反を防ぐ役割

トランプ米政権が法の支配を軽視することにほくそ笑んでいるのは中国だろう。戦後、国際社会のルールづくりを主導しながら、自ら破ろうとする米国の「二重基準」に怒るグローバルサウスを取り込もうとしている。

王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相は7日の記者会見で「大国は利益追求のみに走ってはならない」と暗に米国を戒めた。中国を利する事態はトランプ氏も避けたいはずだ。日本は価値を共有する欧州などとともに米国を説得する必要がある。

法の支配(rule of law)が崩れた後、待ち受けるのは弱肉強食(law of the jungle)の世界だ。日本が防波堤になることができれば、国際社会で再び存在を高められる。

(馬場加奈、カイロ=岐部秀光)

 

 

アメリカのトランプ大統領は南米ベネズエラのギャング組織によるアメリカへの侵略を防ぐためとして、裁判所の手続きなしに外国人の拘束や追放を可能にする「敵性外国人法」を適用すると発表しました。

この法律は第2次世界大戦中に日本などからの移民を拘束するために使われたことで知られ、法律の適用は国内で物議を醸しています。

トランプ大統領は15日、ことし1月にテロ組織に指定したベネズエラのギャング組織「トレン・デ・アラグア」がアメリカの領土への侵略や強引な侵入を試みているとして「敵性外国人法」を適用すると発表しました。

アメリカに帰化していない14歳以上のベネズエラ人のギャング組織のメンバーは敵性外国人として、拘束・追放するとしています。

敵性外国人法は1798年につくられた法律で、戦時中に敵国の出身者や市民を裁判所での手続きを経ることなく拘束したり国外退去にしたりすることを可能にします。

この法律が過去に適用されたのは3回のみで、第2次世界大戦中には日本などからの移民を拘束するために使われました。

今回の発表についてアメリカの有力な人権団体「アメリカ自由人権協会」は「日系人の強制収容の正当化など、戦時中のこの法律の適用は当然ながら根強い批判を招いてきた。それを平時に国内法を回避する手段として適用するのは根本的な間違いだ」と批判していて、法律の適用はアメリカ国内で物議を醸しています。

全米日系人博物館が非難の声明

アメリカのロサンゼルスにある日系人の歴史を伝える施設、全米日系人博物館はトランプ大統領がことし1月にテロ組織に指定したベネズエラのギャング組織「トレン・デ・アラグア」に対し敵性外国人法を適用したことを受けて非難する声明を出しました。

声明では「1941年、ルーズベルト大統領はこの法律を利用して日本、ドイツ、イタリア人を拘束し、適正な手続きなしで収容した。さらに、1942年には大統領令を出し、12万5000人を超える日系人の大規模な収容につながった」と説明したうえで「法の執行機関と司法制度は犯罪に対処するための適切な憲法上の手段であり、犯罪の疑いがある者が、出身の国を理由に適正な手続きを拒否されてはならない」と指摘しています。

そして日系人の強制収容などの歴史を挙げ、「私たちはこのようなことが決してほかの人々に繰り返されてはならないとの誓いのもと設立されたが、きょうの出来事は、その約束が脅かされ、歴史は繰り返さないと確信を持って言えなくなったことを思い知らせるものだ」と警鐘を鳴らしています。

アメリカの「敵性外国人法」とは

アメリカの敵性外国人法は敵国の出身者や市民を裁判所での手続きを経ることなく拘束したり国外退去にしたりすることを可能にしますが、この法律を適用できるのは宣戦布告が行われた戦争中や外国による侵略を受けているときに限定されています。

公共政策などを研究するニューヨーク大学のブレナン司法センターによりますと、過去にこの法律が適用されたのは1812年の米英戦争と第1次世界大戦、そして第2次世界大戦の3回です。

このうち真珠湾攻撃の直後の1941年にはルーズベルト大統領がこの法律に基づいて日本、ドイツ、イタリアからの移民を敵性外国人として拘束するよう指示しました。

日系アメリカ人団体によりますと、当時拘束された日系人はおよそ3か月で2000人を超え、多くが移民1世の日系アメリカ人の地域や団体の指導者だったということです。

第2次世界大戦の終わりまでにこの法律に基づき、日本、ドイツ、イタリアからの移民や家族、あわせて3万人以上が収容施設に入れられました。

また第2次世界大戦中はこれに加えておよそ12万人の日系人が別の大統領令によって強制的な立ち退きを命じられ、各地の収容所に送られています。

 

 

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1 コメント

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Unknown (暗黒大将軍)
2025-03-18 12:14:30
トラ公の「マフィア掃討」ポーズは毎度白々しくてウンザリしますが、こんなの真に受けるアホも結構いるんでしょうね

大統領選でもニューヨーク5大ファミリーの1つ、ガンビーノ家のナンバー2がトラ公を絶賛支持しました
またガンビーノ家のボス、ジョン・ゴッティの顧問弁護士だったロイ・コーンはトラ公生涯の恩師です

それとも縁故のあるニューヨークのヤクザは良くて、対立するコロンビアのヤクザは許せないってのならそれこそご都合主義のネポティズムでしょう(笑)

あとトラ公とボルソナーロと並んでネトウヨに愛されたドゥテルテの近影を見ましたが、元々アホづらだったのがさらに生きたままミイラになったような感じですね

80近い高齢なんで無理もないですが
「桃太郎侍」や「破れ傘刀舟」は実在しないからエンターテイメントになるわけで、こういう勘違いしたアホを御用にするICCは目に見えるいい仕事をしましたね
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