2012年2月、思想調査アンケートを受け渡しする橋下徹市長と野村修也弁護士(当時・大阪府市統合特別顧問)。
野村センセイはロースクール教授で、最近、テレビによく出ていますね。いやはや。
大阪市が全職員に労働組合活動について尋ねたアンケートをめぐり、職員29人と五つの労働組合が市などに損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が2015年12月16日、大阪高裁でありました。
中村哲裁判長は、一審大阪地裁に続いてアンケートは違法と判断し、市の賠償額を計40万円から計約80万円の2倍に増額しました。
中村裁判長はアンケートの5つの設問について、プライバシー権(憲法13条)や労働者の団結権(憲法28条)に加え、政治活動の自由(憲法21条)を侵害すると判断し、過度に広範で、労組活動や政治的行為に強い萎縮効果を与えるなどと述べました。
つまり、コテンコテンに憲法違反で法律違反だということです。これが、橋下維新政治の本質的な問題です。
この遵法精神のなさ、憲法尊重擁護義務違反こそが橋下政治なのです。
この思想調査アンケートは、橋下徹市長から依頼された野村修也弁護士(当時・大阪府市統合特別顧問)らの第三者調査チームが作り、2012年2月に実施しました。
そして、橋下市長と野村弁護士は、教職員を除く約3万4千人に22の設問への記入を義務づけました。
(あとで引用するわたくしの記事にあるように、教育委員会に違法行為だから手伝えないと早々に言われ教職員へのアンケートは断念。今から思えばこれで損害賠償金が減って助かった)。
このアンケートについて、橋下市長は
「回答しない場合は処分対象になり得る」
と通知しました。
しかし、橋下市長らはこの思想調査は違法行為だとさんざん指摘されて調査結果の集計だけは諦め、調査内容は調査チームが見る前に破棄したということになっています。
この調査については一審判決も
「懲戒処分という威嚇力を背景に記名式で実施した」
「市長の通知は労組活動への参加を萎縮させる効果があった」
として違法な調査方法だったと断定しました。
また、このアンケートが労組活動への参加の有無や活動内容を聞く設問については
「職員が『答えると不利益を受けるのではないか』と懸念するのはやむを得ない」
として、労働者の団結権(憲法28条)を侵害したと指摘しています。
その上で、特定政治家を応援する活動への参加の有無に関する設問は、憲法13条が保障するプライバシー権を侵害したと認定しました。
大阪地裁、高裁とも、二重三重の憲法違反・法律違反をこれでもかと指摘していますから、これはそれだけ裁判所から見ても酷いということです。
さて、一審判決後、橋下市長は
「控訴して、司法の判断を仰いでいきたい」
と言っていたのですが、控訴審でも全面敗訴したわけですが、マスコミはこのことについてどう報道するのでしょうか。
今のところ、全国の地方紙に記事を配信する共同通信と時事通信が末尾のような記事を配信しただけで、いくつかの地方紙が報道しただけのようです。
ところで、明日、橋下市長は任期満了を迎え、政治家を引退するのですが、その直近に出たこの都合の悪い判決について、勇気をもって質問するマスコミがいるのでしょうか。
明日は、そこに注目したいと思います。
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「大阪都構想」なるものが実質的に「大阪市解体・5特別区設置」構想に他ならないこと。
また、その「大阪市解体・5特別区設置」構想をまとめた協定書の作成手続きに、さまざまな問題があったこと。
それゆえ、この協定書の内容に対する賛否を問う住民投票には、それ自体、問題が多いこと。
そして、カジノ推進構想等々、いま提案されている大阪維新の会の諸改革では、ほんとうに関西経済の活性化に至るかどうかあやしいこと。
新潮45 2015年 05 月号 [雑誌] | |
新潮社 |
【特集】「大阪都構想」の大嘘
・市民は「自治」を失い、大阪は破壊される/藤井聡
・これぞ戦後最大の詐欺である/適菜収
・私が「橋下維新」を離れた理由/村上満由
橋下徹大阪市長の職務命令で実施され、労働組合や政治活動への関与を市職員に問うアンケートの是非が争われた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は16日、一審に続き設問の一部について「憲法上の権利を侵害した」と判断し、市に79万5千円の損害賠償を命じた。
一審大阪地裁は22項目の質問中、5問について団結権、プライバシー権の侵害を認定。40万円の支払いを市側に命じ、双方が控訴していた。
高裁の中村哲裁判長も同じ5問を違法とした。(共同通信)
【 2015年12月16日 16時45分 】
大阪市が全職員に労働組合活動について尋ねたアンケートをめぐり、職員29人と五つの労働組合が市などに計約1400万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が16日、大阪高裁であった。中村哲裁判長は、一審大阪地裁に続いてアンケートは違法と判断し、市の賠償額を計40万円から計約80万円に増額した。
中村裁判長はアンケートの五つの設問について、プライバシー権や団結権に加え、政治活動の自由を侵害すると判断。過度に広範で、労組活動や政治的行為に強い萎縮効果を与えるなどと述べた。
アンケートを作成した野村修也弁護士に関しては、一審は賠償を命じていたが、公権力の行使に当たる公務員として民事上の賠償責任は負わないとした。
大阪市の黒住兼久人事室長らは「主張が認められず遺憾。判決の詳細を精査し、対応を検討したい」とのコメントを出した。
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仰せのとおりだと思います。
地方公務員の労働組合「自治労(全日本自治団体労働組合)」は1980年代「地域生活圏闘争」を取り組むという運動方針を掲げていました。一言で言えば、「自治体の発展と住民の幸せの向上のために住民とともに闘う」というものでした。残念ながら取り組みは全く不十分で、その結果がおっしゃる通りの現状です。
もし、しっかりと取り組んでいたら、地方公務員たたきも、橋下政治もなかったのだと思います。
自治体の発展のために働くべき地方公務員と住民が対立しているのは不幸なことです。
弁護士会や、弁護士の方は、答えるのは難しいでしょうから、私が、無責任ですが、代わりに答えましょうか。。。
凡そ、あらゆる職業、職種に就いておられる方々でも、その割合は別として、善と悪に範疇が大別出来るものであるのには変わりは無いでしょう。
例え、聖職であっても、況や、俗世間を相手にする警察官、公務員、等も含めて、悪徳の輩は、必ず存在します。
弁護士であっても、例えば、国家的・組織的不当労働行為を大規模に長期に繰り広げていた嘗ての国鉄を弁護された弁護士の方々もおられたところです。
最近の事例では、例のワタミも弁護士の依頼には、困ることはありませんでした。
以上の事例では、弁護士として依頼を受けた方々が悪徳とまでは言えません。 それが、弁護士の職業なのです。 刑事事件では、極悪極まる殺人犯にも弁護士をつけるのは、国法上の決りでもあります。
でも、御自分の信条から、一定の範疇の弁護の依頼を受けられない方々もおられますね。
私の知り合いの中には、それが弁護士の職業の良いところ、と言われる方もおられます。 必然的に、あまり収入が増えませんがね。 でも、私には、尊敬に値する弁護士、と思われます。
翻って、この事件ですが、大阪市の公務労働者には、全く非が無かったのでしょうか。 当該事件に関わってでは無く、公務労働者として、非難を受ける事象に関わった事例は無かったのでしょうか。
私の知る限りにおいて、大阪市の中心的公務労働者組合は、反市民的な行いをした事例がある、と思っています。 大阪市の公務労働者組合の少数派の公務労働運動を継続していれば、市民からは、違った評価を受けたであろう、と観測もしております。
自治労と云う公務労働者組合の主流は、過去から、利権擁護の意識が強固で、反市民的運動論に立っている、と共産党の影響の強い公務労働論からは、批判を受け続けているのですが、未だに、国民的協働論に立脚した公務労働組合運動に転換出来得ていないのです。
つまり、自分さえ、高い給料と豊かな福利厚生を受ければ、市民のことなど知らない、と言う訳です。
私から観れば、橋下・主流派職員労働組合とも、どちらもどちらで、両方とも潰れれば更に良い、と言わねばなりませんね。
地方自治の現場では、こうした現実が多いです。 職員も縁故情実で、採用され、配置され、昇格し、その結果は、無能で議員に遜るばかりの職員が多数派になり、市民の要求には応えることの出来無い自治体が増えています。
大阪市を筆頭に、府下では、一部を除き、そうした自治体が大半です。 八尾市等のように、長期で革新政権が継続したところでは、その変化は著しいのですがね。
因みに、八尾市の清掃現場は、民間委託されず直営が継続しています。 理由は、直営が合理的で経済的なのです。 それだけ、現場労働者と組合が頑張っている訳です。 大阪市の職員には見倣ってもらわないとね。
大阪弁護士会の皆さん、どうなんでしょう。
大阪市の強硬な野宿者排除で職務命令としてであれ行政代執行する現場にノコノコと現れた市公務”労働者”氏たちには、「命令に抵抗したり、”風邪をひいた”とこの場に来ない工夫をしたりする奴は一人もいないのか。遅かれ早かれ、貴様らもこういう目に遭わされる事に心してかかってこい」と大音声で怒鳴りつけてやったものですが、奴らがキッチリ総会屋市長にトドメをさされたという意味では「せやから、言ったやんけ」としか言えません。大阪市に従い野宿者に敵意をむき出しにした公僕どもは、他の貧困層にも容赦ない収用を行うと脅してみたりして今に至っています。いわば、貧困者に戦争行為を行った最前線の、最暴虐な兵士どもです。反戦集会などで彼らが組合旗を持って現れたとき、当方が「野宿者や貧困者に対するお前らの戦争行為を自己批判しろ、何が反戦だ!」と怒り爆発した事を鮮明に覚えています。
そういった状況を見透かしたその後に来た総会屋市長がとどめをさしたということに過ぎません。そんな事が出来るような力関係にその時点で成り下がってしまった市従などはもはやそれだけのものだと思います。
しかしながら、アイヒマンどもの中で闘った原告さんたちはよく頑張ったと思います。
総会屋市長は、プーチンに習ったかのように府知事から市長になり、大阪市を文字通りの大馬鹿市に模様替えしていきました。体育施設などに命名権、そこらの歩道橋にも命名権などと、勝手に命名権を売り、公園の運営企画権も売り出して、意味不明なイルミネーションを公園で行い、長居植物園などは場にそぐわないイルミネーションを行ってまで植物に何の興味も持たないイルミネーション目的の個々人を集客する始末です。
裁判闘争なんてのは、当事者にとっては本当に虚しい結果が後から来るだけのものですが、それでも闘おうとした原告には敬意を表し、お疲れさまでしたと素直に言いたいです。
ともかく、今もって「そんな大阪市に誰がした」のA級戦犯には勝手に死んで行ったイソムラ以降のクソ市長どもとその後の総会屋市長とその総ての追従者どもを吊るし上げたい気分で一杯です。
弁護士でなくても、違法との認識があるので普通でしょう? 多少とも、現行法令を学習した者ならば、この程度の違法性の認識が無ければ、可笑しいですよ。
そもそも、裁判所の言われる労働組合と組合員の「萎縮」効果そのものが彼の狙いであったので、敗訴は、当然のことと自認していたのでしょう。
負けても、損害の賠償は、自腹ではなく公費なら、彼自身は、何ともありません。 例え一時的にせよ、彼の指示した違法行為は、その威力を発揮したことになれば、公判闘争の結果がどうあろうとも、労働組合運動としては負けです。
凡そ、あらゆる労働事件では、公判闘争で爾後に救済されても、時、既に遅し、となる運命です。
従って、使用者側は何でもあり、が実態です。 不当労働行為のやり放題なのです。 労働法制そのものが、使用者側に有利に傾いているのです。
弁護士の彼は、その実態を知り尽くしている訳でしょう。
タイホー!!
ですね。
証拠の隠滅、逃亡のおそれがあれば拘束していますよね。
まあ、なくても逮捕してます。でも、容疑者が身内で、警察に都合の悪いことを世間にばらす恐れがなければ、逮捕しませんね。
だから、橋下氏は逮捕されない?