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毎日、泣いて笑って喜んで哀しんでる、かなりラテンの血の濃い、そんな宮武嶺のエブリワンブログです!

「自己責任論」で誤魔化される「イスラム国」事件を引き起こした安倍政権の失敗

2015年01月22日 | 海外の話題

こんな状態の方々に、自分でなんとかしろ、と突き放す人間がいるのが信じられない。

「イスラム国」日本人人質殺害警告事件の衝撃 「人命尊重」と「テロとの断固たる戦い」は両立しない


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迂闊なことに、今回の人質事件では前回と違って「自己責任」という嫌な言葉を耳にすることがなくなったな、日本人も少しは成長したんだな、なんて思っていたら大きな勘違いだったようです。

もちろん、「前回」、とは2004年のイラク戦争下で起こった人質事件です。






この時は、フリーカメラマンや人道支援ボランティアの日本人3人を拘束した武装勢力が、当時イラクのサマーワに駐留していた自衛隊の撤退を求めました。

しかし、当時の小泉純一郎首相は早々に自衛隊を撤退しないと明言しました。

これに対し人質家族たちが会見で家族の救出を訴えると、なんと人質と家族に対して猛烈なバッシングが始まったのです。

あの頃は、すでに半ば聖域化していた北朝鮮の拉致被害者の会でさえ、小泉首相に注文をつけたらバッシングされるという小泉人気の絶頂期でした。

ですから、小泉首相に逆らうものはお上に楯突くものとして「非国民」扱いだったのです。







特に、3人の被害者の方々がいずれもイラク戦争への日本の加担を反対する立場で、いわば人間の盾になって戦争を阻止しようと渡航したものでしたから、小泉政権の方針に敢然と異議を唱えたと言える人達でした。

そこで、それでなくとも人権感覚に乏しい人達が寄ってたかって彼らとご家族に対する虐めを開始しました。

「人質になったのは自己責任」

「自己責任が取れないなら危険地域に行くな」

「迷惑を掛けた国民に謝れ」






また、被害者がイラク戦争反対のためにわざと捕まったふりをしているなどという「自作自演説」まで流されました。

3人の被害者の方々は、北朝鮮による拉致被害者と全く同じく拉致という犯罪の被害者なのに、もはや犯罪者扱いでした。

さらには、「週刊新潮」「週刊文春」などの週刊誌も激烈な人質バッシングを展開し、人質のプライバシーを書き立て、親族に「共産党員がいる」などという虚偽の情報までふりまきました。







いや、それが虚偽でなくて、親族どころか本人が共産党の人だったとして、それが何か関係するのでしょうか、などと言う発言もかき消される異様な雰囲気でした。
 
そして、読売新聞や産経新聞などの保守系新聞も人質を責め立てました。

「自己責任の自覚を欠いた、無謀かつ無責任な行動が、政府や関係機関などに、大きな無用の負担をかけている。深刻に反省すべき問題である」
(『読売新聞』04年4月13日付朝刊「社説」)

「日本政府はもはや人質犯の要求には応じないという原則であり、国民が政府の勧告を無視して行動する場合は、自己責任を負わなければならないということだ。

解放された三人は帰国後、各メディアに多く登場することだろうが、こうした責任の自覚としかるべき感謝の表明なしに政治的主張を続ければ、国民の反応は冷ややかなものとなろう」
(『産経新聞』4月16日付朝刊「主張」)

このような人権感覚を全く欠いた読売・産経のヒステリックな姿勢は、両紙の汚点として永遠に残るでしょう。







まるで日本全体が発狂したようになり、被害者であるはずの3人が加害者であるかのように、日本中から袋だたきにあってしまいました。

このような日本のありさまを見かねて、湾岸戦争の時の軍のトップである統合参謀本部議長で、このイラク戦争当時は国務長官をしており、次の大統領候補とまで言われる人望を誇ったコリン・パウエル米国務長官が、こう話して日本人を諭しました。






「もし誰もリスクを引き受けようとしなかったら、私たちは前に進むことはできなくなる。彼らのような市民や、リスクを承知でイラクに派遣された自衛隊がいることを、日本の人々はとても誇りに思うべきだ」

「私たちは『あなたはリスクを冒した、あなたのせいだ』とは言えない。彼らを安全に取り戻すためにできる、あらゆることをする義務がある」

3人の方々が戦争阻止のために戦地に赴いたことを、米軍側の最高指揮官だった人が

「日本の人々はとても誇りに思うべきだ」

と言ってくれたのでした。

本当に恥ずかしいことでした。







軍人のパウエル氏でさえ、人間の盾になってまで身体を張って平和を希求した日本人を「誇り」と称えました。

しかし、肝心の日本人は小泉政権と保守マスコミの手口にまんまと乗ってしまって、政府の方針の邪魔になる被害者の方々を痛めつけ続けたのでした。

あれで、大量破壊兵器なんてなかったイラクへの「大義なき」戦争に加担した小泉政権の責任なんて吹っ飛んでしまいました。

お前が自分のやったことの責任を取ってから言え。











さて、今回の「イスラム国」人質殺害予告事件では、被害者の方々は別に安倍政権の中東政策に反対した、などという事情は全くないのですが、それでも特にツイッターや巨大掲示板などネット上で、「自己責任」だと叩かれているのだそうです。

全くネット民のやる事には意表を突かれてばかりです。

しかし、今回の人質バッシングも自然発生的なものではないでしょう。

前回の自己責任論が何も出来ない小泉政権から目をそらせて救ったように、今回もこの事件を招いた安倍外交の失態とその無力を覆い隠す、絶好の目くらましになっているのですから。






そのネットでは、

「危ないとわかって行ってるんだし、自己責任でしょ」

「そもそも行くなって言われてんのに行ったのは自己責任でしょ」

「危険地帯を承知で行っているのだから、身代金は自分で払わせれば良い」

「もし払うなら自己責任は明白なので自分で払わせれば良い。危険地帯を承知で出かけているのだから」

「拘束された奴の命がどうなろうと、現地へ行った奴の自己責任なんだからほっときなよ」

などという意見が氾濫しており、挙句の果てには

「戦場ジャーナリストと傭兵は死ぬのも仕事のうちだろ?」


などという人間さえ現れる始末。






そして、10年前と同じく、

「二人の人質はイスラム国とグルなのでは?」

「捕まったやつはイスラム国の仲間で日本から資金得るため演技してんだよ」

といった陰謀論、自作自演説までが流されています。

なんて、人間って学ばず、成長もしないんだろう。











これに便乗してさらに煽るタレントも続出して、

「まあ自己責任だろね」
(堀江貴文。タレントかどうか知らんけど昔の六本木ヒルズの人)

「この時期にあの地域に入るのには、それなりの覚悟が必要で自己責任」
(フィフィ。うーん、説明が難しいが明石家さんまのテレビに出てたエジプト出身の煽り系タレント)

などと言っているんだとか。



説明不要だった。





一国の民度なんて、一朝一夕で良くならないとは百も承知ですが、それにしても10年前のデジャビュを見ているようで、ほんとにガッカリです。

芥川賞作家の平野啓一郎さんが、上のタレントたちと同じくツイッターで2015年1月22日に、

「スポーツなどで国際的に活躍すると、『同じ日本人』として思いっきり共感するのに、紛争地帯で拘束されたりすると、いきなり『自己責任』と言って突き放してしまう冷たさは何なのか」

と呟いてくれているのが、同じ道具を使ってもゲスなタレントとはやはり違うなあという救いでしょうか。







さて、そもそも被害者のはずの人達に自分の責任だから国の救いを求めず、自分でなんとかしろ、という自己責任論のおかしさは、次のような例でお分かり頂けるでしょうか。



お母様の言葉を完全に忘れてしまったホリエモン。





海外旅行をしていたあなたは、旅先で入ったレストランで、運悪くパスポートやクレジットカードやお金を盗まれてしまいました。

「落ち着け。こんな時こそ落ち着くんだ!」

と、焦る自分に言い聞かせて、あなたは片言の英語で周りの現地の人に地元の警察署の場所を尋ねます。

警察署に行って盗難証明書を発行してもらわないとパスポートの再発行をしてもらえないからです。

警察署でさんざんすったもんだして、ようやく盗難証明書をゲットしたあなたは、パスポートの再発行手続きをするために、「地球の歩き方」で行き方を確認した日本大使館に、やっとたどり着きました。

なにしろ、パスポートを再発行してもらわないと日本に帰れませんし、クレジットカードの再発行も無理なんです。







こうしてやっとの思いで着いた大使館でもずいぶん待たされましたが、ようやく担当者と面談できるところまで漕ぎつけたあなた。

地元のレストランでパスポートなどを盗まれた事情を説明して、パスポートの再発行をお願いしました。

そしたら、なんと、その大使館員(仮に、ホリエ、としましょう)が、

「盗まれる人が悪いんです。自己責任ですからパスポートは出せません」

と言い出したのです!

どう見ても普通じゃない。






血の気が引くほどうろたえたあなたは、裏返った声で、

「いや、私は窃盗事件の被害者ですよ!悪いのは犯人です!」

と半ば叫びます。

すると、落ち着き払ったホリエ大使館員はいけしゃあしゃあと、

「あなたにも油断した落ち度があるんじゃないですか?」

自分でなんとかしなさい

と言い放つのでした。

これがホントの自己責任。




自分でなんとかするって、個人でパスポートなんて発行できないよ!

むしろ、できたら犯罪だろ!

白目を剥きそうなほど逆上したあなたは、もう藁にもすがる思いでホリエ大使館員の靴をも舐めんばかりの勢いで、

「とにかくお願いしますから助けてください!これからはきっと気をつけますからぁぁああ!!」

と絶叫するのでした。

すると、ホリエモン、じゃなかった、ホリエ大使館員は

「こんな治安の悪い物騒な国に来るのが悪いんです。外務省のホームページを見なかったんですか。

それこそ自己責任ですよ。自己責任。」

と、とてつもない責任回避をし出すのでした。







とうとう、完全に頭に来たあなたは、

「おいおい、こっちは日本で税金払ってあんたらの給料出してやってるんだよ!

そもそも海外の邦人を保護するのは日本国の義務じゃないか!」

と法的にも極めて正しい、これまた文句のつけようのない正論で迫ります。







すると、ホリエ大使館員、なぜか電話の受話器を取り上げながら、

「あなたね。

自分のことは自分で責任取れって親に習わなかったの?

だいたい、そんなにしつこいのは怪しいね!

現地の犯人とつるんで盗難保険金詐欺をするつもりだろう!!」

と、とんでもない言いがかりをつけて、あろうことか警備員を呼んだのでした。

 

 

という感じですか。










いい加減にしろよ、日本人。

 

 

 

すみません、自己責任論で失態を隠蔽した安倍政権の話まで行きませんでした。

明日、必ず!

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追伸

今回の自己責任論は、拘束されたジャーナリストの後藤健二さんが拘束前に

「これからイスラム国の支配地域に入ろうと思う。全ての責任は自分にある」

との動画を残していたことで、さらに過熱しています。

ネトウヨ、単純か!?

あのね、後藤さんがそんな動画を残した相手はご家族だったり、お友達であったり、お仕事の同僚でしょ。

その動画には、自分の行動は誰のせいにもしないという潔い決意が述べられているに過ぎなくて、どんな重大犯罪に巻き込まれても助けなくていいからほっておいて、という意味じゃあないでしょうが。

ふんとに、鬼の首でも取ったみたいに、都合のいい利用の仕方するんじゃねえよ。

 

 

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「身代金、自分で払わせれば良い」「危険承知していた」 拘束された2人にネットで吹き荒れる「自己責任論」


2015/1/21 18:31 JCASTニュース

「イスラム国」を名乗る集団から殺害が警告されている湯川遥菜さんと後藤健二さんに対し、ネットでは「自己責任論」が噴出している。

2004年、紛争地だったイラクで日本人3人が武装勢力の人質となった当時を思い起こさせる状況だ。

後藤さんは「責任は私自身に」と話していた

2人がイスラム国に拘束されるまでの経緯は2015年1月21日現在はっきりしないが、これまでの報道をまとめるとシリア入りの目的が少しずつ明らかになってきた。

北部アレッポで拘束された動画が8月に公開されて以降、消息が分からなくなっていた湯川さんに関して、軍事会社の関係者は「実績が作りたかったのではないか」などと各紙の取材に答えている。一方の後藤さんは、知人で現地ガイドの男性が「友人の湯川さんの情報を得るために行った」と話しているとし、救助のために現地入りしたと各紙が報じている。

2人は現地での危険を認識していなかった訳ではない。湯川さんは最後の更新となった7月21日のブログで「今までの中で一番危険かもしれない」と書いた。後藤さんも、ガイドの男性が撮影したという動画の中で「これからラッカ(シリア)に向かいます。どうかこの内戦が早く終わってほしいと思っています。何が起こっても、責任は私自身にあります」と話している。

しかし結果は人質として拘束され、日本政府には計2億ドルという法外な身代金が要求されることとなった。ツイッターをはじめ、ネットでは「そもそも行くなって言われてんのに行ったのは自己責任でしょ」「もし払うなら自己責任は明白なので自分で払わせれば良い。危険地帯を承知で出かけているのだから」と「自己責任論」が吹き荒れている。

「拘束された奴の命がどうなろうと、現地へ行った奴の自己責任なんだからほっときなよ」という書き込みや、「そもそも後藤、湯川両氏はイスラム国と意を同じくしているのではないか?とすら思う」「捕まったやつはイスラム国の仲間で日本から資金得るため演技してんだよ」とイスラム国と共謀した自作自演を疑う人までいる。

「『自己責任』という言葉を使わないことを願う」

同様の見解をする著名人もいる。タレントのフィフィさんは「この時期にあの地域に入るのには、それなりの覚悟が必要で自己責任」とツイート。元衆院議員の渡部篤氏は、2人について「日本政府が要請してシリアに行ったのではない」と突き放す。「冷酷かもしれないけど、イスラム国のテロに屈してはならない。ここで妥協すれば、世界中の日本人がテロに狙われることになる」と持論を書いた。

被害者に批判的な「自己責任論」は、04年にイラクで日本人3人が拘束された当時と似通っている。外務省から渡航自粛勧告が出されていたにもかかわらず現地入りした3人へ批判は強く、今回と同様に共謀説も飛び出した。

当時の関係者は今回の事件についてツイッターで見解を示している。被害者の弁護団だった神原元弁護士は「あのとき、政府関係者が『自己責任論』を唱え、日本社会は被害者家族へのバッシングに覆われた。あれは狂気だった。狂気にとりつかれるな。被害者とその家族をサポートせよ!」という。

18歳で拘束され、現在NPO法人の共同代表を務めている今井紀明さんは「今回の人質事件で『自己責任』と彼らを切り捨ててはいけないことだと思う。海外では様々なことが起こりえる、守られていても殺される時だってある。どんな人でもあっても切り捨てず、最後まで国は対応してほしい。そして国の関係者が『自己責任』という言葉を使わないことを願う」としている。



イスラム国事件「自己責任論」噴出の裏で安倍政権が日本人拘束を隠蔽していた!?

2015.01.22 リテラ

 日本中に大きな衝撃を与えた「イスラム国」による日本人二人の殺害予告動画の公開。当初、沸き上がったのは、安倍首相への批判だった。というのも、イスラム国による殺害予告と身代金要求が明らかに、安倍首相の中東歴訪中の「2億ドル支援」演説を受けてのものだったからだ。

 政府は今頃になって慌てて「2億ドル支援は人道目的」などと釈明してるが、安倍首相はエジプト・カイロの演説で「イスラム国の脅威を食い止めるために2億ドルを支援する」とはっきり宣言していた。

イスラム国はその後に、「日本の首相へ」とした上で、「『イスラム国』と戦うために2億ドルを支払うという馬鹿げた決定をした」などと宣告して、同額の身代金を要求してしたのだ。

安倍首相の不用意な発言がイスラム国側を刺激し、利用されたのは間違いない。

 ところが、安倍首相や政府の失態を追及する声はすぐにかき消え、かわってまたぞろ噴き出てきたのは被害者である人質の「自己責任論」だった。

「戦場ジャーナリストと傭兵は死ぬのも仕事のうちだろ?」
「危ないとわかって行ってるんだし、自己責任でしょ」
「危険地帯を承知で行っているのだから、身代金は自分で払わせれば良い」

 ネットを中心としてこんな声があがりはじめ、さらには「2人の人質はイスラム国とグルなのでは?」「日本から資金得るため(2人は)演技してる」といった自作自演説までが流されたのだ。

 そして、この自己責任論は、拘束されたジャーナリストの後藤健二氏が拘束前に「これからイスラム国の支配地域に入ろうと思う。全ての責任は自分にある」との動画を残していたことで、さらに過熱。匿名の批判だけではなく「まあ自己責任だろね」(堀江貴文)、「この時期にあの地域に入るのには、それなりの覚悟が必要で自己責任」(フィフィ)と同調する著名人たちも出現している。

 どうも彼らは、近代民主主義国家における国民と国家の関係というものをまったく理解していないようだ。そもそも自国民の生命保護は国家の義務なのである。それは国民の思想や言動とは関係がない。仮にその人物が日本の利益に反する行動をしていたとしても、政府は救出のために法の範囲内で最大限の努力をする義務があり、国民はそれを国家に要求する権利がある。

 ましてや、後藤氏は、8月にイスラム国に拘束されながら、日本政府やメディアが無視していた湯川遥菜氏の消息確認のために取材を決行した可能性が高い。そんな人物を「自己責任だ」と突き放すのは、自分たちの「知る権利」さえも踏みにじる行為に他ならないだろう。


 ところが、この件ではマスコミまでが浅薄な「自己責任論」を煽っているフシがある。例えば東京外国語大学総合国際学研究院教授の伊勢崎賢治氏はツイッターでこんな興味深いことをつぶやいている。

「イスラム国邦人拘束。毎日から電話取材。個人が危ないところに行き、国に迷惑をかけるのはどう思うかと。社の責任で人を送らない大手メディアが何も言える立場にないと言っておいたが、書かないだろうな」
 
 ようするに、毎日新聞の記者が「国に迷惑をかけるな」とコメントするよう誘導していたというのだ。大手マスコミは自社の社員記者には安全地帯にとどまらせ、戦場などの前線取材はフリージャーナリストに依存している。にもかかわらずそのフリー記者の取材行為を貶めるというのは、いったいどういう神経をしているのか疑いたくなるが、これがこの国の言論の現実らしい。

 実際、ご記憶の方もいると思うが、2004年のイラク人質事件でもまったく同じような事態が起きている。フリーカメラマンや人道支援ボランティアの邦人3人を拘束した武装勢力が、当時イラクのサマーワに駐留していた自衛隊の撤退を求めた。しかし、当時の小泉純一郎首相は早々に自衛隊を撤退しないことを明言する。これに対し人質家族たちが会見で救出を訴えると、今度は人質と家族に対して猛烈なバッシングが始まったのだ。

「人質になったのは自己責任」「自己責任が取れないなら危険地域に行くな」「反省しろ」「迷惑を掛けた国民に謝れ」、さらには今回と同じように「自作自演説」も流された。

「週刊新潮」「週刊文春」などの週刊誌も激烈な人質バッシングを展開。人質のプライバシーを書き立て、親族に「共産党員がいる」などという虚偽の情報までふりまいた。
 
 そして、読売新聞や産経新聞などの保守系新聞も人質を責め立てた。

「自己責任の自覚を欠いた、無謀かつ無責任な行動が、政府や関係機関などに、大きな無用の負担をかけている。深刻に反省すべき問題である」(『読売新聞』04年4月13日付朝刊「社説」)
「日本政府はもはや人質犯の要求には応じないという原則であり、国民が政府の勧告を無視して行動する場合は、自己責任を負わなければならないということだ。解放された三人は帰国後、各メディアに多く登場することだろうが、こうした責任の自覚としかるべき感謝の表明なしに政治的主張を続ければ、国民の反応は冷ややかなものとなろう」(『産経新聞』4月16日付朝刊「主張」)

 こうして、被害者であるはずの3人は、まるで犯罪者のように日本中から袋だたきにあったのである。

 この状況は海外から見ると、非常に奇異に映ったようで、米「ニューヨーク・タイムズ」が「深層には、この島国を何世紀にもわたって支配し続けてきたヒエラルキー構造がある。お上(okami)にたてつくことが、人質たちの罪となったのだ」と報じたのをはじめ、海外メディアは一斉に人質バッシングを批判。パウエル米国務長官(当時)までが「もし誰もリスクを引き受けようとしなかったら、私たちは前に進むことはできなくなる。(略)彼らのような市民や、リスクを承知でイラクに派遣された自衛隊(soldiers)がいることを、日本の人々はとても誇りに思うべきだ」と語り、「私たちは『あなたはリスクを冒した、あなたのせいだ』とは言えない。彼らを安全に取り戻すためにできる、あらゆることをする義務がある」と言及したほどだった。

 まさに日本という国の人権や表現の自由への意識の低さが明らかになった騒動だったが、しかし、実はこのとき、人質バッシングに火をつけたのは、政府・自民党だったという見方がある。たしかに、かなり早い段階から小池百合子環境相(当時)をはじめ、小泉内閣の閣僚、自民党幹部がオフレコで人質や家族批判を口にしていたし、週刊誌が書き立てた「(人質の)親が共産党員」というような情報もほとんどが、内閣情報調査室や公安からリークされたものだった。また、2ちゃんねるの書き込みも明らかに政府関係者でないとわからないものもあり、バッシングは自衛隊のイラク派兵への反対世論が盛り上がるのを恐れた政府・自民党が仕掛けた可能性がかなり高いといっていいだろう。

 そう考えると、今回のイスラム国の事件で噴き出ている自己責任論も、政府・自民党の情報操作である可能性は否定できない。今回の事件の対応をめぐっては、冒頭で述べた安倍首相のイスラム国への挑発的発言以外にも、政府は決定的な失態を犯しているからだ。

 それは、拘束事件そのものを放置・隠蔽してきたことだ。湯川氏の拘束が判明したのは昨年8月、さらに後藤氏も昨年11月には消息不明となり、同時期に妻への身代金要求もあった。しかし日本政府は本格的な交渉には動かず、後藤氏の拘束や身代金要求をひた隠しにした。一説には「後藤氏のイスラム国拘束の可能性を公表すると衆院選に不利」との思惑さえあったといわれている。そして、水面下でこうした事態が進行していたにもかかわらず、安倍首相は中東の地で「イスラム国がもたらす脅威を食い止めるために2億ドルを支援する」という挑発的な演説をぶったのである。この責任はきわめて重大だろう。
 
 もちろん今回の問題の根源はイスラム国の卑劣なテロ行為にあり、それに対してきちんと非難をするのは大前提だ。しかし同時に、事件の背景には、国家と自らの政権のためには国民の生命など一顧だにしない、安倍政権の体質がある。マスコミやネットが流す浅薄な自己責任論に踊らされてそのことを忘れてはならないだろう。
(伊勢崎馨)

 

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コメント (36)   この記事についてブログを書く
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36 コメント

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自己負担論は目眩まし (ミキコ)
2015-01-22 20:22:20
まさにそのとおりです。あの当時、三人があれほどまでに叩かれたのは、三人の中にアメリカにとって不都合な真実、劣化ウラン問題を明らかにしようとしていると見られていたからだと私は考えています。だから目眩ましのために叩かれたのだと。あと、あの当時、安倍さんのポジションはどこだったでしょうか。それも含めて考えると見えてくるものがあります。
Unknown (Unknown)
2015-01-22 20:33:47
自己責任と吐き捨てる感覚が、理解できない。。悲しい。
責任が誰にあるかより、まずは命を救うことが第一ではないの?もしも何かの間違いで自分や自分の大切な人が同じ状況になった時、自己責任だ、と同じことが言えるのでしょうか?

職場の同僚が、2人の命で助かるのなら、仕方ない、と言い放ちました。
そんな 仕方ない の一言で、簡単に解決できる問題?大切な命が今にも奪われそうなのに?自分はそもそも危ない場所にいかないから関係ない?


自己責任だから、見殺し?


感覚や考え方が、本当に信じられない。
責任追求は後にして、先にどうやって助けるかを考えるのが普通ではないか。
絶対に、尊い命、助けてほしい。
ありがとうございます (ray)
2015-01-22 20:54:11
ミキコさんに指摘されて思い出しましたが、イラク戦争では劣化ウラン弾の問題が初めてクローズアップされたのでしたね。
そしたら、小泉純一郎、プルサーマルと劣化ウランで二重に脱原発言う資格ないやん。
と思いました。

もうお一方、unknownさん。
素晴らしいコメントありがとうございます。
良かったら素敵なハンドルネームを携えてまた戻ってきてください。
お願いします。
Unknown (12434)
2015-01-22 21:48:35
http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/0a4e07f8f9468309a68168ef62575536?guid=ON

一説によると、安部総理がイスラエル寄りの中東外交をしたせいで、今回の事件が起きたらしいですね。
確かにイスラエルに武器輸出している可能性もあるようです。
http://blog.m.livedoor.jp/corez18c24-mili777/article/36767664?guid=ON
コリン・パウエルが (H.KAWAI)
2015-01-23 11:18:13
○当時そんな事を言ってたとは知りませんでした。軍人って勇敢な戦士に対してはそれが例え敵であっても敬意を払うんですね。

○でも私は軍人じゃないし、軍人気質でもありませんので、「あーあ、また捕まりよったんかいな。」って気分が先立っちゃうんですよね。但し、バッシングしようって気は有りませんからね、そこは誤解なさらないで下さいね。

○只、思うのは今回のように要求がおカネだったら、人命尊重の観点から要求を受け入れるって選択も有り得ると思いますが、これが前のように自衛隊の即時撤退だったらちょっと難しいでしょうね。

○自衛隊はイラク戦争に直接には加わっていませんから、撤退しようと駐屯を続けようとどちらでもいいようなものですが、撤退なんかすれば「国際社会」の信用まる潰れですからね。

○これがアメリカの場合で、要求が空爆の中止だったりしたら、人命第一で要求を受け入れるなんて選択はあり得ませんよね。何しろ軍事介入はアメリカの生命線みたいなものですから。

○所で、「自己責任論」ってやつですけど、一理はあるんですよね。ダッカ事件だと人質にされた乗員・乗客は別に体を張って飛行機に乗っていた訳じゃないけれど、今回シリアで捕まった人達の場合だと危険は十分に予想されてたんですよね。

○また前回のイラク人質事件の場合だと、イラクは内戦状態にあったとは言え、危険度は今より低かったんじゃないでしょうか。ですから捕まった人達は必ずしも無謀だったとは言えないと思うんですよ。

○でも今は違いますよね。イスラム国は反政府勢力なんてものじゃなくて、イスラム原理主義を前面に押し出して、味方以外は全部が敵みたいなものじゃないですか。

○そして日本は、そのイスラム国を壊滅させるべく空爆を強化しているアメリカの同盟国であり、直接的な関与こそしていないものの、カネはあると見られているし、敵視される資格は十分に持っていますよね。そりゃ狙われて当然ですよ。飛んで火に入る夏の虫ってところじゃありませんか。

○いえね、その後藤さんって方は真面目な方みたいですから、助かって欲しいって気もするんですが、助けられたらまたバッシングに遭うんでしょうね。

○所で、「イスラム国」が「カネが欲しくてやっているんじゃない。これは精神的な戦いだ。」と言っている事について青山繁晴が、これは「金額はまけてやってもよい。」という意味だって解説してましたがホントですかね。

○向こうだって日本政府にはカネを払う気が無いことは分かってますよ。アメリカだってそうしてるんだし、日本はアメリカの子分だって向こうも知っているでしょうからね。
人道支援? (kei)
2015-01-23 19:59:59
http://ameblo.jp/mitani-h/entry-11979767586.html

戦争支援だということが見え見えのようです。

人質になった湯川氏も軍事会社で一旗揚げようと政府のお墨付きで入った可能性があります。だとすると人質になったのは戦争を出来る国にししたい安倍政権の責任でしょう。湯川氏が内情を暴露したら政府は大変なことになる。ISILはそのことも利用しているはず。

安倍ちゃんはどうか支援を撤回し、尻尾を巻いて辞任表明して、人質を救ってください。
政治生命より人命が大事です。
そうすれば少しは評価します。
keiさん (ケイ)
2015-01-24 09:32:28
(人質になった湯川氏も軍事会社で一旗揚げようと政府のお墨付きで入った可能性があります。)

これって誰が言ってるの?
是非ソースを教えてください。
私は後藤さんは勇敢なジャーナリスト。
湯川氏は変わった人だと思っていました。

『湯川氏が内情を暴露したら政府は大変なことになる。』
何を暴露するの?
湯川氏のブログです。 (ケイ)
2015-01-24 10:44:39
http://ameblo.jp/yoshiko-kawashima/

『理想は上場目的の会社を作り、3年で上場させて会社を売って引退したい。50億ぐらいで売却できる会社を作りたいね。』

ブログ見ましたが、私には誇大妄想狂の
ウヨクを名乗る軍事オタクにしか思えませんが。
男装の麗人川島芳子は彼(彼女?)の前世だそうです。

こんな人物に政府がお墨付きを与えたって?
信じられないね。
田母神氏とのツーショット写真があるからかな(笑)

まさかソースはこれですか?

『私は、これは安倍晋三とJ-NSAがJ-CIAの海外拠点を創設し、機関工作員を養成するプロジェクトの一端を示すものではないかと疑い、Blogでそう書いてきた。湯川遙菜は、その機関工作員の初代の見習生で、言わばテスト・パイロットだったのではないか。最も危険な地域に送りこみ、リスクがどの程度あるか、その瀬踏みをさせる使い捨ての派遣道具だったのではないかと、そのように想像を巡らせている。見習生を現地実習で教育するには上司たる教官が要る。その中東における上司教官が、ジャーナリストである後藤健二ではなかったのか。』
後藤さんはスパイだそうです。
ほんまかいな(呆9
http://critic20.exblog.jp/23360557/
単なる誘拐ビジネスでしょ! (はんかくさい苦情の会員)
2015-01-24 21:33:34
 ものの見方人は色々あるので、「決めつけや」先入観から出発すると誤った方向に走りがちになる。

 今回の件も、拉致の時期や適当な要求金額をみれば、「イスラムに敵対する安倍首相に対するため日本人を拉致して要求を突きつけた」という話でないことは
明確であるが、安倍首相憎しの御仁たちは、そういう話に持って行きたいらしい。

 「○○の広報室」という左翼バカ(あえて言わせてもらう)のブログでは、今回の拉致身代金要求は、「すべて安倍政権のせい」「安倍が対人すれば解決する」「イスラム国を間接的に資金援助しろ」等「敵」の「敵」は味方の意見が踊っている。
 本人か騙りか分からないが結構有名な「山口二郎」までも意見を載せている。
 誰が考えたって拉致をして、身代金を要求してくる者が悪いに決まっている。 にもかわらず、これらの御仁は「悪いのは米国や安倍首相」でありイスラム国の行為は当然の行為と、イスラム国を擁護し続けている。
 このブログでは、無抵抗の者を大量殺戮し、女性を奴隷としたりと言う悪行には一切触れず、それを止めよう、敵対する米国や追随する日本政府が一番の悪と決めつける。

 決して安倍首相や日本国政府に非はないと言うつもりはないが、「安倍総理憎し」から出発するとここまで、
曇った考え方になるのか、正直あきれてしまう。

 今回の件では、このブログもそのような御仁の色に染まっていることを残念に思う。

 今回の事件は単なる誘拐ビジネスで、安倍首相の訪中東にかこつけたものでしかない。

 私が見た中で今回の件を的確に論説している新聞の記事を転記するので、一度、参考にご覧いただきたい。


「邦人殺害予告にどう対応」 千葉大 酒井啓子教授

 イスラム国によるとみられる日本人殺害予告で、イラク戦争後、2004年のイラクでの日本人拉致事件を想起した人は少なくないだろう。
 イラク戦争後、イラクに入国した日本人が人質となり、その解放条件としてイラクに派遣された自衛隊を撤退させよとの要求が突きつけられた。そこには、イラク戦争とその後の外国軍による占領が、イラク国内のみならずアラブ、イスラム世界で広範に反感を生んでいたという背景がある。
 その経験から類推して「安倍晋三首相がイスラム国に対する対抗姿勢を明確にしたことがアラブ、イスラム社会で反発を受けたのではないか」と考えられがちだが、今回、それは当てはまらない。
 中東でイスラム国に同情ないし支援する者は、個人では存在しても国家レベルでは存在しない。むしろ周辺国はイスラム国の拡大に危機感を抱くとともに、シリア内戦の結果出現した大量の難民への対応に窮している。
 事件発覚直後の安倍首相の記者会見がイスラエル国旗の隣でなされたことが、アラブ、イスラム諸国にマイナス印象を与えたという難はあるものの、周辺国への支援そのものはアラブ、イスラム諸国の要望に応えたものである。その点で、イラク戦争後の対米追随の
自衛隊派遣とは異なる。
 さらに04年時点と異なるのは、イラク戦争後の拉致事件が自衛隊の撤退という政治的目的を掲げたものであったのに対して、今回の要求は基本的に営利目的という点である。安倍首相の中東歴訪のタイミングとなり、政治性が加味され、要求金額がつり上がった。
 イスラム国をはじめ、世界中の武装勢力にとって、外国人拉致と身代金要求は「誘拐ビジネス」ともいえるほど大きな収入源となっている。イスラム国の財政は、2割が身代金で賄われているといわれる。主要な収入源である石油の密輸や制圧地域からの略奪に限界
があることを考えると、身代金収入により多くを依存せざるをえない状況にあるのかもしれない。
 さまざまな目的で人質を必要とするイスラム国は、世界中の誘拐ビジネス界を活気づける上客となりうる。
 イスラム国は、日本を狙ったのではなく、利用できる相手はすべて利用する。欧米人であれば政治的取引に使えるし、そうでなければ金銭目当てに利用する。  忘れてはならないのは、現地の住民もまた、そうした対象になっていることである。身代金を支払えなくとも、自爆テロ要貞としての利用価値がある。ナイジェリアでボコ・ハラムが子供たちを誘拐するのはそのためである。
 立てるべき問いは「日本がこうした行為に遭わないようにするにはどうするか」ではない。誘拐ビジネスの被害者は日本人などの外国人だけではなく、現地住民をも含めて全世界に広がっているからだ。そうしたケースでは、脅迫対象となる国がその政策を改めれば誘拐の対象にならないというものではない。
 イスラム国にいかに対応するかは政治と安全保障の問題ではあるが、軍事行動に目をくらまされて地道な犯罪対策を怠るべきではない。こうした行為を犯罪として扱い、誘拐ビジネスや人身売買ネットワークをはびこらせる環境を撲滅するための国際的体制をいかに
構築すべきか、考えるべきだ。
質問します (たろう)
2015-01-26 08:58:14
keiさんへ

質問します。

>人質になった湯川氏も軍事会社で一旗揚げようと政府のお墨付きで入った可能性があります。

あなたの言う政府のお墨付きの根拠は?

>だとすると人質になったのは戦争を出来る国にししたい安倍政権の責任でしょう。

前提が正しいならそうかも?ただしくなかったらおかしな事になりませんか?

>湯川氏が内情を暴露したら政府は大変なことになる。ISILはそのことも利用しているはず。

そうですか?そう思う根拠は?

>安倍ちゃんはどうか支援を撤回し、尻尾を巻いて辞任表明して、人質を救ってください。

なぜそんなおかしなお願いを?

>そうすれば少しは評価します。

誰の?

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