
野田総理大臣は、政府の原子力災害対策本部であいさつし、東京電力福島第一原子力発電所の事故について、「原子炉は『冷温停止状態』に達した」と述べ、事故の収束に向けた工程表の「ステップ2」を完了したことを宣言しました。
しかし、冒頭の図と下の図のように格納容器が損壊し漏水が続き、東電は原子炉内の圧力も水位も訂正をしつづけるし、原子炉の底に溜まっている溶けた燃料の状態もほとんど分かっていないのが現状です。
このように、今も福島原発の本当の状態ははっきりわからない状況にもかかわらず、事故収束の工程表が進んだなどとよくも言えたものです。そもそも『冷温停止』とは正常に動いている原子炉を止めたときに使う用語です。
「冷温停止状態」は、本来の「冷温停止」と異なるんだなんてわけのわからない言い訳をしていますが、核燃料の大半がメルトダウンで原子炉外に落ちてしまっているのだから、原子炉が100℃以下の「冷温」なのは当たり前じゃないですか(怒)。
放射能汚染水の処理施設も故障に次ぐ故障で、おまけにストロンチウム入り汚染水が海に出てしまったりしているのに、なにがステップ2達成か(激怒)。
放射能汚染水が減らない!福島原発事故の原子炉冷温停止・工程表ステップ2の年内前倒しは楽観できない
東京電力は、福島第一原発の1号機から3号機で、メルトダウンで溶け落ちた燃料の状態を調べるため、原子炉への注水や温度の変化から解析しました。
下の図のように、このうち1号機では、最悪の場合、溶け落ちた燃料のすべてが原子炉の底を突き破り、格納容器に落下して、格納容器の底にあるコンクリートを溶かし、65センチの深さまで浸食したと推定しています。
コンクリートは最も薄いところでは、格納容器の鋼板まで37センチしかないということで、事故の深刻さが改めて浮き彫りになりました。
また2号機と3号機でも、最悪の場合、それぞれ57%と63%の燃料が格納容器に落下し、2号機で12センチ、3号機で20センチの深さまで格納容器の底のコンクリートを浸食したとしています。
福島原発事故 冷却機能停止→炉心溶融・メルトダウン 原因は津波ではなく地震 受電鉄塔倒壊と復水器停止
今分かっている範囲でも、下の図のように、水位は予測より5メートル低かったし、溶けた核燃料は底に溜まっている状態です。
この冷温停止宣言について、ニューヨークタイムズは、
「専門家は『冷温停止状態』の宣言を強く疑問視している」としたうえで、「年内にステップ2を達成するという公約を果たすための、現実を無視した宣言であり、原子炉の安全性への脅威から目をそらせることがねらいだ」と伝えています。
アメリカだけならまだしも、中国国営の新華社通信も、
「損傷した原子炉内の温度を正確に測定することはできず、原子炉がどれほど安定した状態にある かを断定することはできない」としたうえで、「世界の人々に間違った印象を与えるおそれがあり、日本政府はステップ2を年内に達成するということに固執しすぎるべきではない」
とこれも冷静な正論を伝えています。
大見出しで「冷温停止」と伝える日本のマスメディアはアホなんですか。
保安院のやらせを産んだ原発推進利権 自民党・経産省・財界・マスメディア・自治体の癒着の構造
ところで、東京新聞の取材によると
福島第一原発事故で、何度も放射性物質を含む汚染水が海に漏出したが、経済産業省原子力安全・保安院は「緊急事態」を理由に、法的には流出量は 「ゼロ」と扱ってきたことが本紙の取材で分かった。今後、漏出や意図的な放出があってもゼロ扱いするという。
というのです。なんじゃそりゃ!
放射性物質の抑制はステップ2の重要要素なのに、それが原発事故以来今に至るまで「ゼロ」だというのなら、そんなもん、ステップ2だろうが3だろうが進んで当たり前でしょう。
だいたい、いまだ緊急事態と認めるなら、事故収束が進んだって言うな!(猛怒)。緊急事態なら放射能汚染水が何千兆ベクレル漏れても法的にはゼロって、意味が分からないというか言葉を失うというか。
ああ、もう、国民を危険にさらして、世界中に恥をさらす野田政権には全く怒りを通り越します。
国民の了解を得ずになんでも公約する野田政権こそ独裁だ 普天間、原発再稼働・輸出、消費税増税、TPP
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福島第一原発事故で、何度も放射性物質を含む汚染水が海に漏出したが、経済産業省原子力安全・保安院は「緊急事態」を理由に、法的には流出量は 「ゼロ」と扱ってきたことが本紙の取材で分かった。今後、漏出や意図的な放出があってもゼロ扱いするという。政府は十六日に「冷温停止状態」を宣言する予 定だが、重要な条件である放射性物質の放出抑制をないがしろにするような姿勢は疑念を持たれる。
原子炉等規制法により、電力事業者は、原発ごとに海に出る放射性物質の上限量を定めるよう決められている(総量規制)。福島第一の場合、セシウムなどは年間二二〇〇億ベクレルで、年度が変わるとゼロから計算される。
しかし、四月二日に2号機取水口近くで高濃度汚染水が漏出しているのが見つかり、同四日には汚染水の保管場所を確保するため、東京電力は建屋内のタンクに入っていた低濃度汚染水を意図的に海洋に放出した。
これら二件の漏出と放出だけで、原発外に出た放射性物質の総量は四七〇〇兆ベクレル(東電の試算)に達し、既に上限値の二万倍を超える。
試算に対しては、国内外の研究機関から「過小評価」との異論も出ている。
今月四日には、処理済みの汚染水を蒸発濃縮させる装置から、二六〇億ベクレルの放射性ストロンチウムを含む水が海に漏れ出した。
さらには、敷地内に設置した処理水タンクが来年前半にも満杯になる見込み。この水にもストロンチウムが含まれている。東電はできるだけ浄化して海洋放出することを検討している。漁業団体の抗議を受け、当面は放出を見送る方針だ。
保安院は本紙の取材に対し、事故への対応が最優先で、福島第一は損傷で漏出を止められる状態にない「緊急事態」だった点を強調し、総量規制を適用せず、四七〇〇兆ベクレルの漏出をゼロ扱いする理由を説明した。
「緊急事態」に伴う特例扱いは「事故収束まで」続くとも説明したが、具体的な期間は「これからの議論」とあいまい。
今後、仮に放射性物質を含んだ処理水を放出したとしても、ゼロ扱いを続けるという。
26日までに25000人集めなければならないのでご協力お願いします。
http://sekaitabi.com/whitehouse.html