『ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし』
鴨長明の方丈記。
平安時代末期、立て続けに京都の都を襲った、
地震、竜巻、飢饉などの災害の様子を、庶民の目線で描いた方丈記は、
800年前に記された、
日本最古の災害ルポルタージュである、
と番組は言う。
とすれば、
鴨長明は、いわば平安時代の“ルポライター”。
下鴨神社の神職の子として生まれるも、20代に悲惨な災害の数々を体験、
その中で世の無常と向き合い、人はいかに生きるべきか考える。
800年前、
伏見の山中に隠遁した鴨長明は、
一辺が1丈(約3m)四方の小さな庵で
『方丈記』を書き上げたという。
朗読は西岡徳馬さん。
被災地での朗読。
ジャーナリストの鳥越さんや作家の玄侑宗久さんが
学者を交え、解説、読み解いていく。
昨年、巨大地震と津波が東日本を襲い、
それに続く原発事故で、
日本中の誰もが大自然の猛威の前に無力な人間の姿を見せつけられた。
その後1年半経つも『将来に漠とした不安』がぬぐえない今、
読み解かれる日本最古のルポルタージュ。
番組は最後、こう締めくくられます。
方丈記が書かれてから800年、日本人は幾度となく大災害を乗り越えてきました。
去年の大震災後、あらためて方丈記の言葉が心に響きます。
財あれば怖れ多く、貧しければ恨み切なり
世に従えば身苦し 従わねば狂せるに似たり
いづれの所を占めて いかなる技をしてか
しばしもこの身を宿し たまゆらも心を休むべき
財産があれば欲にとらわれ心労も多く、貧しければ思うこともできず恨めしく切ない。
世に従えば重苦しく、従わずにいれば、変人扱いされかねない。
一体どこに住みどう暮らせば、しばしの間この心を休ませることができるのでしょうか?
『ETV特集』
今よみがえる“方丈記”~日本最古の災害ルポルタージュを読む~@Eテレ
2012年10月21日(日)22:00~22:59
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます