にっぽんの文化的アイデンティティを発掘、発見、発信する会 ( JICP )

世界共通言語のひとつ「映像」でつながる、ひろがる、深まる!
日本の文化的アイデンティティを楽しく再確認しましょう。

第59回JICP会合 「雅楽を学ぶ」(要旨)

2018-10-11 10:23:13 | Weblog
第59回JICP会合 「雅楽を学ぶ」(要旨)

日時:平成30年9月14日(金)19:00〜20:30
場所:長願寺
講師:住職 新發田恵司氏



「雅 楽」
◯雅楽とは 雅正(がしょう)の楽。俗楽に対する音楽である。

◯いつ伝わってきたのか。約1400年前、推古天皇の時代に、仏教とともに聖徳太子の命により秦河勝(はたのかわかつ)が招来した。
              ↓
外国よりお越しになった仏様は外国の音楽によって供養すべきである。
当初は、伎楽と呼ばれた。歴史上で雅楽の最初は、奈良の東大寺の大仏開眼供養のとき、インドからバラモン僧を迎え、そのときの仏教の法要に雅楽と取り入れた。それが最古だと言われている。

「最古の記録では、天平勝宝四年(750年ごろ)の東大寺の大仏開眼法要の際には雅楽や伎楽が壮大に演じられる」

◯いまは仏教寺院の法要に、雅楽を取り入れることはあまりしていない。大規模になるので予算や人員の関係でなかなか難しい。その中で続けている1つが四天王寺。
4月22日は、聖徳太子のご命日。この日に聖霊会(しょうりょうえ)という法要を行っている。六時堂の前にある石舞台の上で舞う。
仏教儀式では、唄・散華・梵音・錫杖という声明で構成された四箇法要が最も正式な儀式である。
各声明の合間に雅楽・舞楽を奏する舞楽四箇法要が最も壮大な法要となる。それが聖霊会である。

◯平安時代に大成し、現在演奏されている曲の大半はこの頃に作られる。
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この頃が雅楽にとって最も華やかな時代となる。もともとは宗教音楽だったものが宮廷音楽として花が咲いてくる。


「天王寺楽所」(てんのうじがくそ)

◯三方楽所の成立。
もともとは天王寺に伝わり、都が奈良の平城京に移って、南都方ができ、京都の平安京に移って、京都方(宮中)ができる。天王寺・南都・宮中にそれぞれ演奏団体が存在し、江戸期には三方楽所と呼ばれていた。各々の楽所は宮中の行事には上京し演奏していた。
それぞれが独自には発展していくので、独自の演奏形態がある。その中の天王寺楽所についてお話する。

住吉大社では5月に石舞台の上で卯之葉神事が行われる。ここでも天王寺楽所が舞楽を行っている。
広島の厳島神社でも、天王寺方の伝承が行なわれている。それは、平安時代に平清盛が広島の安芸の地域に赴任し整備するときに、厳島神社で舞楽をしようとしたときに、天王寺の楽人に指導をさせたことが始まり。いまでも交流を続けている。

◯天王寺舞楽の舞は独特。
いまの雅楽のスタンダードは、宮内庁。これは室内での演奏のため、ゆったりと優雅に舞う。
天王寺の舞態はどうかというと、四天王寺に設置されている石舞台が東西10メートル、南北13メートルぐらい。縦に非常に長くて広いのでダイナミックに舞うのが、天王寺流の舞楽の特徴。

吉田兼好 『徒然草』220段
「何事も、辺土は賤しく、かたくななれども、天王寺の舞楽のみ都に恥ぢず」


大阪には何もないけれど、天王寺舞楽は都の舞楽に負けないほど美しい、と兼好法師が言うほどきれいな洗練された楽だった。

◯伶人
東儀・岡・薗・林の四楽家が、雅楽を招来した秦河勝の流れを伝承し、太秦、または秦を姓と名乗り四天王寺の雅楽を担う。そのため、天王寺楽所の舞を「秦姓の舞」ともいう。

楽人=伶人・・・現在の天王寺区伶人町に名残を残す

◯明治〜現在

明治時代になると、当時は宮内省楽部というところが演奏するところだった。いまは宮内庁式部職楽部と名称を変えている。そこがすべて皇室の行事に関わっている。
明治になって共通の譜面を作ることになり、明治選定譜というのができた。それまでは1000曲ぐらいあったが、それが約100曲に絞られる。以来、宮内庁では、この譜以外は一切演奏しない。天王寺はそれから漏れた曲も演奏している。

明治時代の東京遷都や廃仏毀釈により壊滅状態になるが、木津の願泉寺住職小野樟蔭をはじめ、在野の雅楽人が協力し、天王寺楽所の伝統を引き継ぎ現在に至る。




【雅楽の構成について】

雅楽の一番の特徴は指揮者がいないこと。皆が息を合わせて演奏する。
世界最古のオーケストラではないか。

楽器編成  龍笛・篳篥・鳳笙(吹奏楽器)
      鞨鼓・太鼓・鉦鼓(打楽器)
      楽筝・楽琵琶(絃楽器)
     *絃楽器は、糸偏の漢字を使う。雅楽は絹糸を爪で弾くか、
      ばちで弾くので弓偏の漢字は使わない。

舞の構成  左方舞(唐楽:主に大陸系の曲)― 赤系の装束  
      右方舞(高麗楽:主に朝鮮半島系の曲)― 緑系の装束

舞人の人数は曲により変わるが一人で舞う以外は偶数の場合が多い。四天王寺は現在のところ例外を除き4人まで。

日常で使う雅楽用語・・・(諸説ある)
野暮(17本ある鳳笙の竹のうち、「也」「毛」だけ音が出ないようになっている)・コツをつかむ(コツが一番遠い穴。これをうまく押さえて初めてコツをつかんだことから)・打合せ(打楽器で今日はこのぐらいのスピードでやろうと事前に調整することから)・塩梅(いったん音を下げてから次の高い音に移る篳篥の演奏方法)・頭取(音頭取りの略)・ヤタラ(一拍抜いた、夜多羅(やたら)拍子から)・千秋楽(法要が終わり退出するときの退出音声『まかでおんじょう』の演奏から)など。


【管楽器について】

「龍笛」(りゅうてき)
漆の塗った竹の管で作られ、表側に歌口と7つの指孔を持つ横笛。2オクターブの音程を使い分けて演奏する。歌口に息を当てて音を出すためリードは使わない。
楽曲の最初は必ず龍笛から始まる。
 ↑
「天と地を行き来する龍の咆哮」

「篳篥」(しちりき)
漆を塗った竹の管に、表側に7つ、裏側に2つの指孔を持つ縦笛。葦で作った舌(した)を差し込んで演奏する。
非常に音程が不安定な楽器で、雅楽の主旋律を担当する。
             ↑
「大地に立つ人の声」

*リードに最も適した葦は淀川沿岸の鵜殿に群生する。近年治水工事や高速道路の橋脚ができることで川の流れが変わって葦の生育が早くなりすぎて音に適さなくなってきている。

「笙」(しょう)
翼を立てて休んでいる鳳凰に見立てられ、鳳笙とも呼ばれる。
17本の竹の先にそれぞれ金属製のリードが付いており、匏(ほう)と呼ばれる木製のお椀に刺さっている。
演奏は匏についている歌口より息を吐いたり吸ったりして音を出す。
基本的には、11種類の和音で演奏する。
             ↑
「天から差し込む光」


【唱歌(しょうが)を歌ってみよう】

雅楽は口伝が基本のため、楽器演奏の前に唱歌を歌って、曲全体の雰囲気やテンポを確認する。
各管楽器につき独自の譜面がある。
絃楽器や打楽器は基本的には主旋律である篳篥の譜面で練習する。

*越殿楽を皆で歌ってみた。(黒田節と似ていることがわかった)



【笙の演奏・勉強会の感想】



最後に、ご住職が「調子」という曲を演奏してくださいました。この曲は整った曲ではなく、カノンのような曲。仏教的に言えば、カオスのような状態から、舞人が登壇して秩序をつくっていくような曲。四季に応じた曲があり、9月は秋でもあり、秋の平調(ひょうじょう)という曲で私どもを送り出してくださいました。
パイプオルガンのようにも聞こえ、東洋や西洋という枠を超えて、心にしみる演奏で聞き入りました。
日常用語にも使われているものが多々あり、改めて、雅楽というものが知らず知らずのうちに我々の生活になじんでいることがわかり、知れば知るほど奥の深い雅楽。まだまだ学びたいです。
新發田ご住職、ご講義と演奏、ありがとうございました。



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第59回 JICP会合『雅楽を学ぶ』(9/14)のご案内

2018-08-21 14:07:55 | Weblog
【第59回 JICP会合『雅楽を学ぶ』(9/14)のご案内】

 雅楽は、日本芸能の源流と言われています。
 写真家エバレット・ケネディ・ブラウンは著書「失われゆく日本」の中でこう書いています。
「明治以来の『支流』に迷い込んでいる。まず『本流』に戻ってみることが必要ではないだろうか」と。
 1000年以上の歴史を持っている雅楽。古代アジア大陸諸国の音楽と舞が仏教文化の渡来と前後して中国や朝鮮半島から日本に伝わり、日本古来の音楽と融合した芸術です。指揮者はおらず、呼吸で合わせる音楽でもあります。今回は、日本文化のエッセンスが詰まっている日本古来の古典音楽、雅楽を学びましょう。
 是非ご参加くださいますようお願いいたします。



◯日時:2018年9月14日(金)19:00〜20:30 (18:30受付)
◯会場:長願寺 本堂
   大阪市天王寺区上汐4丁目1-22
   http://chouganji.or.jp
  (地下鉄「谷町9丁目」駅から南へ徒歩5分)

◯講師:長願寺住職 新發田(しばた)恵司氏 
◯内容:雅楽の歴史と楽器について
    笙の実演あり
(情報:9月24日に住吉大社で観月祭、10月22日に四天王寺で経供養が行われます)

◯参加費:1,000円(JICPサポート会員は無料)
◯お申込:参加希望の方は、9月12日までに下記メールアドレスにお申込ください。
    JICP事務局:info.jicp@gmail.com

◯主催:JICP www.jicp.org

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第58回JICP会合「ハンブルク・パリ報告会」のご案内(6/26)

2018-06-04 15:38:35 | Weblog
第58回JICP会合のご案内

映像「Matsutani Stream in Venice」上映
ハンブルク・パリ報告会
 
日本の文化的アイデンティティを探るJICPの協力プロジェクトの一つである「Matsutani映像化プロジェクト」。パリ在住の美術家松谷武判氏の映像の制作を藤原次郎と奥村恵美子が始めてもう12年になります。昨年のベネチアビエンナーレの設営風景を中心に構成した映像「Matsutani Stream in Venice」がドイツの映像祭ワールドメディアフェスティバルで銀賞を受賞しました。
その報告をするためパリの松谷さんのところへ立ち寄り、その後、授賞式に、代表して奥村恵美子が出席いたしました。パリでは松谷さんの展覧会も開催されており、またポンピドゥセンターではコレクション展に作品が展示されていました。パリの松谷さんの現在のご様子も紹介いたします。
Matsutani映像シリーズは「4」の完成に向けてエンジンをかけてまいりたく、皆様と意見交換できればとお待ちしております。是非ご参加ください。
                         

日時:2018年6月26日(火)19:00〜20:20(18:30〜受付開始)

会場:FLAG STUDIO / フラッグスタジオ
   〒550-0006 大阪市西区江之子島2-1-37
    阿波座ライズタワーズ フラッグ46  1階
    http://enokojima.info/studio
    地下鉄中央線・千日前線「阿波座」駅
    8番出口から西へ約150m。
    http://enokojima.info/access

内容:映像「Matsutani Stream in Venice」上映
   ハンブルクのワールドメディアフェスティバル授賞式参列報告
   パリの松谷さん報告(展覧会やポンピドゥセンターなど)
   「Matsutani 4」に向けて意見交換

参加費:1,000円(JICPサポート会員は無料。当日入会もできます)
参加申込:6月22日までに下記メールアドレスまでお申し込みください。

E-mail: info.jicp@gmail.com (JICP事務局)

主催:日本人のアイデンティティ文化発信実行委員会 (JICP)
   www.jicp.org

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JICP特別企画「太陽の塔 内部見学」(5/27)

2018-05-09 16:05:28 | Weblog
JICP特別企画

~48年ぶりの再生~
[太陽の塔に見る 日本の息吹]

 太陽の塔は、芸術家の岡本太郎がデザインし、1970年に開催された日本万国博覧会のシンボルゾーンにテーマ館として、母の塔・青春の塔・大屋根(長さ(南北)292メートル、幅(東西)108メートル、高さ約40メートル)とともに、つくられました。
 「太陽の塔 内部再生」事業では、塔の耐震工事の実施とあわせて、内部も万博当時に展示されていた「生命の樹の生物群」や「地底の太陽」とともに復元し、48年ぶりに平成30年3月19日より一般公開となり、予約殺到になっております。そこで、JICPでは、いち早く、岡本太郎の情熱が今も燃え続けている“太陽の塔の内部見学”を皆様と見学できるよう、セッティングいたしました。
「太陽の塔」の1階から最上階まで高さ41mに亘り観賞できるとのことで、48年前の展示も復元され、岡本太郎のクリエイティビティとドラマチックな演出を堪能します。
見学を通して、原初のエネルギーや自然とともにある日本人の精神文化を、もう一度考えてみる機会にしたいと考えています。是非ご参加ください。

■日時:2018年5月27日(日)

■予定:
19:10  太陽の塔 入り口にご集合ください。(入館料 700円)
19:30   太陽の塔 内部見学(12名限定)
20:00   解散

+参考情報
1)万博記念公園内の国立民族博物館では開館40周年記念特別展「太陽の塔からみんぱくへ―70年万博収集資料」を開催していますので、事前に見学されるのもよいかと思います。
2)万博記念公園の日本庭園では蛍の夕べが開催中。(21:30まで)

■参加申込:2018年5月21日(月)までに、下記事務局E-mailへお申込みください。
      定員になり次第、申込を終えますので、お早めにお申し込みください。


JICP 事務局
E-mail: info.jicp@gmail.com
URL: www.jicp.org 
  
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第57回JICP会合『「My day, May day」プレ上映会 in 東京』(4/20)

2018-04-15 18:40:10 | Weblog
51プロジェクト「My day, May day」プレ上映会 in 東京

一人ひとりの「5月1日」の記憶を記録した映像を一緒に見ませんか?

 今年で8回目を迎える“51プロジェクト”。
「心の祭日=5月1日(May Day)」の自分の日常を、映像で記録し積み重ねていく
参加型の映像コミュニティプロジェクトです。

 このプロジェクトのきっかけは、2011年3月11日の東日本大震災でした。
映像で、できることは何だろう。そう考えた私たちは、5月1日【心の祭日】に、今という時間の断片を映像で記録し、「My day, May day」と題した一本の映像作品に毎年まとめています。
 撮ってみようと思うときは、心が動いた瞬間。
それはたぶん自分の時間にとって大事な瞬間。それは百人百様。さりげない時間、でも特別な時間。
5月1日その日その場所で生きている私たちの “日常という宝物”を収めたこの映像作品を積み重ねていきたいと考えています。
 昨年までの映像をご覧いただきながら、このプロジェクトへの映像参加者を広く募集したく、皆様のご参加をお待ちしております。 
 
日時:2018年4月20日(金)19:00〜20:30 (18:30受付)

会場:m plus plus Co., Ltd
   東京都品川区荏原2丁目3-9  RK戸越銀座ビル
  (この会場は、毎年映像参加いただいている中田さんのご厚意により事務所をお借りすることになりました。感謝しています)

内容:My day, May day 上映と意見交換会

参加費:1,000円(今回は、同伴者1名 参加費無料)
     JICPサポート会員 無料

参加申込:メールで下記までお申し込みください。
     jicp51project@gmail.com

主 催:JICP・51プロジェクト実行委員会 
https://jicp51project.jimdo.com
    http://www.jicp.org
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