東日本大震災に被災した福島県いわき市の介護老人保健施設「小名浜ときわ苑」から、入所者約120人と職員ら計約190人が21日、千葉県鴨川市の「かんぽの宿鴨川」に集団避難した。
鴨川市の亀田総合病院が被災地の窮状を知って医療面の支援を申し出て、かんぽの宿との交渉を仲介。気心の知れた職員や入所者仲間と一緒に「施設丸ごと疎開」が実現したという。
厚生労働省災害対策本部は「福島第1原発周辺の介護施設入所者の避難を進めているが、受け入れ先は分散する場合が多く、100人規模の施設を1カ所に受け入れた例は聞いたことがない。大変ありがたい」としている。
ときわ苑の入所者たちは21日、約6時間かけてバス13台でかんぽの宿に到着。ボランティアらの手を借りながら車椅子を使い、広間や会議室、客室に急きょ並べられたベッドに落ち着いた。
鯨岡栄一郎施設長は「断水や食べ物の不足に加え、原発事故も起きて施設は瀬戸際だった。命からがらたどり着くことができた。感謝している」と安堵の表情を見せた。
かんぽの宿は避難者受け入れを優先し、新規予約を当面ストップするとしている。