ある男が出張先と称したラヴホテルで寝ていると、
真夜中に電話がかかってきた。
「ロッド様ですか? 執事のアーネストでございます」
「ああ、アーネストか。何かあったのか? こんな夜中に」
「そうなんです。貴方の飼っているオウムがお亡くなりになりました」
「オウムが死んだ? あのオウムは国際コンクールで優勝したオウムだぞ!」
「はい、そのオウムでございます」
「なんてこった! あのオウムは5万ドルで買ったのに! なぜ死んだんだ!」
「腐った肉を食べたからです」
「腐った肉……だと? 誰がそんな肉を与えたんだ!」
「誰も与えておりません。亡くなった馬の肉を食べたのです」
「死んだ馬? どの馬だ?」
「ロッド様が "クリスタル・ボーイ" と名付けたサラブレッドでございます」
「え! 俺のクリボーが死んだ……だと!」
「はい、水槽を移動しようとして、
馬に引かせたら亡くなってしまったのです」
「水槽? 何の水槽だ?」
「はい、防火用の水槽です。火を消すために必要だったのです」
「火! 火って……何の火だ?」
「ロッド様の家です。ロウソクが倒れて燃え広がったのです」
「俺の家が火事……だと!!! バカなことを言うな!」
「いいえ、残念ですが、貴方の家は全焼しました」
「オーマイガッド! なぜロウソクなんか使ったんだ!」
「葬儀のためでございます」
「葬儀? って、誰の葬儀だ!」
「奥様の葬儀です。先日の夜遅くに奥様が帰宅されたのですが、
私はてっきり泥棒と思って、ロッド様が大切にしている
特注高級ゴルフドライバーで殴ったら死んでしまったのです」
「……アーネスト! まさか、俺の特注ゴルフドライバーを
折ってしまったなんて言わないだろうな!」