酔っ払ったジェームズが、日本人の経営する骨董品店に入った。
「親父、いるかい?」
「ジェームズか、いらっしゃい。なんか用かい?」
「日本の刀をくれないかい?」
店主は奥から日本刀を持ってジェームズに見せた。
「これでどうだい? しかし何に使うんだ? こんなもの」
ジェームズは酔っていたので、つい口を滑らせた。
「いやね、今日カミさんに浮気がバレちまってね。離婚だ離婚だって言い出すんだ。
俺だってあいつには嫌気が差してて、離婚したいのもやまやまなんだが、
あいつの親父の遺産を頼りに借金抱えちまっててよ。離婚したら俺のこの先は真っ暗だぜ。
だけど幸い、保険には入ってる。だから今夜、この刀で・・・」
そこまで言ってジェームズは言い過ぎたと気づき、計画を断念しようと思った。
「ははは、なんてな」
しかし店主からは意外な言葉が返ってきた。
「おめぇさんも苦労してるんだな・・・。
よし、俺も協力するぜ。
遠慮するこたぁねぇ。男が一度決めたことをやらねぇんじゃいけねぇや」
ジェームズは驚いたが、これは好都合だと思った。
このお人好しは日本で剣道をやっていたとどこかで聞いた憶えがあるし、
捕まってもこいつにそそのかされたと言えば罪は軽くなると思ったからだ。
「うぅ、ありがてぇ。そうだな、やっぱり男が一度言ったことを引っ込めちゃいけねぇよな。
決めたぜ、あんたが手伝ってくれるなら俺はやるぜ」
「うんその意気だ。安心してくれ、私が介錯してあげるから」
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