SENgoKU anD VISIon -乱世を追う-

2106 根津美術館 茶入と茶碗

今回も

根津美術館

茶入と茶碗『大正名器鑑』の世界
期間:6月1日(火)~7月11日(日)

実業家で茶人でもあった高橋箒庵が編集した『大正名器鑑』刊行百年を記念した展覧会。


肩衝茶入 銘 松屋
大名物。漢作唐物茶入。大和の塗物師松屋に伝わり徐煕白鷺図、存星長盆とともに松屋三名物のひとつ。
伝来は松本珠報、足利義政、珠光、古市播磨守澄胤、松屋、薩摩藩島津家。
利休瀬戸茶入 銘 不聞猿
中興名物。瓢箪形で、「不聞猿」の名の通り猿が耳を塞いでいる姿を想わせる。
瀬戸後窯の作者のひとり宗伯の作。仙台藩伊達家伝来。
高橋箒庵は『大正名器鑑』の編纂にあたって根津嘉一郎の所蔵品の調査を行っている。
この「不聞猿」も調査対象であったが根津嘉一郎が所持しているのを知らず結局『大正名器鑑』には掲載されなかった一品。
丸壺茶入 銘 石河
大名物。漢作唐物茶入で頸部と胴部に沈線がまわり、白味のある二筋のなだれが裾まで流れる。
石河宗因が所持した事からその名が付く、後に加賀藩前田家に伝来した。
大海茶入 銘 金森
名物。古瀬戸。所持していた高橋箒庵曰く「内外共に釉色光沢多く、無疵にして最も完備したる大海なり」。
金森出雲守可重の所持で、、小堀遠州、神尾備前守、仙台藩伊達家伝来。
二見手茶入 銘 即色
中興名物。撫で肩のむっくりした姿で、総体に柿金気釉に黒金気釉を二重掛けしている。
江月宗玩箱書。小堀遠州所持の後、松平備前守正信らに渡り、姫路藩主・酒井宗雅の有となった。
新兵衛瓢箪茶入 銘 空也
中興名物。二代有来新兵衛の作。瓢形で市中を瓢箪を叩いて念仏踊りをしたとされる空也上人を連想して銘命された。
小堀遠州所持で土屋相模守政直、三井八郎右衛門、姫路藩酒井家と伝わった。
共筒茶杓 銘 大津 高橋箒庵作
昭和4年4月に催された「箒庵翁慰労会」の際に箒庵が関係者30人に自作の茶杓を贈呈したうち根津青山(嘉一郎)に贈られた茶杓。
茶杓の銘には『大正名器鑑』に掲載されている各人所有の茶入・茶碗の名称を用いているが根津青山の「大津」は、
松花堂昭乗筆・ 沢庵宗彭賛の「大津馬図」(今回展示あり)からだから当然『大正名器鑑』には掲載されていない。
これは「大津馬図」を秘蔵し、中々披露しなかった青山に対し、この機会を使って早く披露するよう箒庵が催促をしている訳で、青山も驚いたのか同年10月、この絵を茶会で披露している。


室町時代から江戸時代には茶道具名物記が多く刊行されているが、近代に入っては高橋箒庵の『大正名器鑑』こそが白眉であり、現在もその価値を失っていない。現代にこれだけの時間と熱意をもって名物記を編纂できるのか?なかなか難しい事でしょう。
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