ダメオタRの徒然雑記
ダメオタRankeが大好きなアニメ・漫画・ゲームの感想を、「“良かった”探し」をモットーにつらつらと書いていきます
 



崩れゆく稟と楓の日常──ココロとカラダをすり減らす日々に決着を付けるべく、稟の下した結論とは?

[公式サイト]

亜沙と楓。
かつて自分と世の中に絶望し、近しい人を全否定することで逃げていた二人が、長い時間を経てどうしてこのような差となってしまったのか。
それは、自分の時間をどう生きるか、二人はどう生きてきたか、そこに集約されるように思える。
亜沙は、体力が付いてから自由にできるようになった身体と時間を、毎日が忙しくなるほど楽しいことのために、言ってみれば自分のために生きてきた。
楓は、自分の贖罪のために、自らの意志を捨てて稟に尽くし続けた。第1話での「私はもう、稟君に身も心も捧げたんです!」という台詞も、今思えば冗談や言い訳でもなく、完全に本気の台詞だったわけだ。「捧げたつもりですの間違いです」と言い直しはしているが、結局のところ楓が自分の意志を稟に捧げていることは変わりない。
これは前回の感想でも書いた事だが、楓は、稟を害する事から稟に尽くす事に反転しただけで、実際その精神は完全に稟の存在に依存したまま、自立できていないのだ。
自立した亜沙と、依存したままの楓。一見過去を克服したように見えて、その結果は大きく異なっていた。

ここで問題にするとすれば、稟の気持ちの問題か。
稟は、小~中学生までの決して短くない時間を死と隣り合わせで過ごし、それでも誰にも言わず耐えてきた。逃げたりすることもしなかった。逃げてしまえば、また楓の心が壊れることを知っていたからだ。そして中学時代、楓は真相を知った。その後から楓は稟に尽くし始める。稟にとっては、ここで楓の心がある程度修復されたものと思ったのかも知れない。その後の、物騒ながらも平和なバーベナでの学園生活、プリムラという新しい家族の加入と、それが失われるかもしれないことを危惧しての魔界遠征。そこでも楓は普通だった。
稟が自分に課した使命は、執着心を自分に向けさせる事で生き返らせた楓の心を、楓自身が自由にできるようになるまで見守ること、というのも無意識にあったものと考える。
そこで稟は、遅くとも15話終了時点で一旦見切ってしまったのかも知れない。「もう楓は大丈夫だろう」と。

「楓は自分から自立したはず」
 そう思いこむ稟は亜沙と積極的に接した。しかし楓の心は未だ立ち直っていなかった。全裸で夜這い、「遠くに行かないで」と自分への依存心を剥きだしにして縋る楓に自分の思いこみを完全に覆された稟は、自分の選んできた選択肢の是非を自問する。

「その気はない。でも一緒にいる。そんな中途半端な態度で──」という樹の言葉が、ここ数話の自分の行動に返ってくる。稟にとってそれは、「みんなで一緒に楽しく」するための言行。でも、それではどうしても、「自分へ向けられた恋心」には倫理的にも対処できないからこそ、ネリネへの返答を保留し(実質振ってる)、シアにも応えなかった。そしてまた亜麻の問にも返答しなかった。
「みんなが幸せでいられたらそれでいい」と思ってても、明確な返答を避け続けた自分の行動で、いったい何人を幸せにできたか。何も出来ていなかったからこそ、稟は自分に怒る。
何も出来ないなら、自分から何かを成さねばならない、と。そのためには今まで通りでは駄目だ、と。
結果稟の取った選択は、芙蓉家を出るということだった。出て何処に行くつもりかは解らないが、楓の想いに応えることの出来ない、応える資格が自分にないと思っている稟にとって、楓の傍に居続けることは何も変えられないのと同じだからだ。
逃げかも知れない。でも、これが今まで見てきた「土見稟」という一人の人間の取れる、いや取るべき行動の一つであると思う。

// 追記
TBしていただいたKUREさんの感想を読んで改めて「確かに楓以外の当事者二人が楓の事を話題にしないのは変だよなー」とは思ったんですが、場合が場合ですし(『死んじゃえばいいんだ!』)亜沙なら稟が話題にするまで自分から話題にはしないだろうなと思ったり。

楓役の後藤さん自身も語っておられたことで、前回今回と「楓の精神的な未熟さが、親しい相手を傷つけるという一番悪い形で出てしまった」ということですが、なぜ原作で出なかったそれがアニメで出たかと言えば、「アニメだから」なんですよね。これは悪い意味ではなく。
原作では裏シアは悪さする前から稟に自分から存在と正体バラしてますし、キキョウという名は稟が付けてますし(ただしシアルートで)、リコリスとネリネのネタばらしも稟が気付く(ネリネルートで)のではなくネリネ自身が語っています。亜沙は楓の、料理部入部までの経緯を知りません。原作では、彼女らの事情を知るのは全て彼女ら専用のシナリオに入ってからなんですよね。
そしてアニメではどうかというと、こちらも、まだ亜沙どころか亜麻の事情にすら踏み込んでいない。全てが原作と微妙に違う、まさにアニメならではというか、誰か特定のルートに入らない或いは特定のルートに入った後、それ以外のヒロインがどう動くか、というシミュレーションをかなり綿密にやった結果なんだろうなと思います。

・楓は好き嫌いの分かれるキャラ
楓というキャラは、制作者サイドでも、「同性には嫌われる」「ユーザ内でも、好き派と嫌い派が両極端に分かれるだろう」と言われていたらしいですが、それを初めて読んだとき「なぜ?」と思ったのが自分の正直な反応。しばらく後になって楓の極端な依存心が、子供の頃から形をかえてずっと存在し続けているという事に気付いてから、なるほどと思ったわけですが。ただ、もう少し踏み込んだ理解に至ったのは、先週今週の話を見てからだったり。制作者サイドのコメントは原画の西又葵・鈴平ひろ両先生のもの(うろ覚え)ですが、自分たちでは描かなかった部分までしっかり理解していて、流石産みの親という感じですね。
それはともかく、楓には何かしらの形で「稟からの精神的自立」イベントが無ければアニメ版として話が締められないので次回以降がかなり重要なんですが、どのような描かれ方をするか、かなり楽しみです。
// 追記ここまで




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コメント ( 7 ) | Trackback ( 19 )



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コメント
 
 
 
良い感想です…… (KURE)
2005-12-03 20:18:08
今回の話では稟があきらかに楓の異変に気づかないといけない場面で気づいてなかったので「稟がめちゃめちゃ叩かれる感想が多くて辛いだろうなぁ」と思っていたのですが、冷静に場面を見つめて、さらに共感できるものがある感想で素直に感動してました。

私は稟という人間が好きなので、こういう感想を読むのは本当に楽しいです。これからの感想も楽しみにしていますので、これからもよろしくお願いいたします。
 
 
 
ありがとうございます (Ranke@管理人)
2005-12-03 22:20:03
感想文自体を誰かから褒めてもらえるのはなんとなくこっぱずかしいですね(笑)

私はどちらかといえば楓が好きなんですが、だからといってニブチンの稟が嫌いというわけではなく。

なぜ稟が楓の危険シグナルに気付けなかったか、というその「なぜ」の部分について本文で考察させて

頂きました。この観点でいえば、KUREさんの「稟ちゃん援護論」と趣旨は同じかも知れませんね。



表面的に作画崩壊がどうこうとかライターが糞だとか萌え~だの萎え~だの言うのも楽しみ方の

一つは思いますけど、こんな風に真面目に考えてみる、というのもなかなか楽しくて、今では

病み付きです。



KUREさんの感想・考察は毎回濃くて読み応えがあるので、自分も頑張ろうという気分にさせてくれます。

こちらこそ楽しみにしてますので、今後ともよろしくお願いしますね。



それと、いい機会ですので、BOOKMARKに追加させていただきました。
 
 
 
こちらこそ (KURE)
2005-12-05 11:16:25
いえ、こちらこそ読んでいただけて嬉しいです。

>なぜ稟が楓の危険シグナルに気付けなかったか

そうですね。ここが今「稟がへたれだ」と簡単に言われてる大きなポイントなんですよねぇ。なので、20話を見たときに「うわぁ、ここまで気づかないと稟叩かれるなぁ……OTL」と感じたわけですが(苦笑)

私自身は、もうちょっと楓の狂気を強調してもよかったと思うんですよね。楓の印象を悪くという意味ではなく、ここでとことん問題点を浮き彫りにしないと、またいつかこの狂気が吹き出してしまう。楓にとってに亜沙という良い見本が、目の前にいるんですから今ここで楓自身が変わらないと。



しかし、本当に考えさせられる脚本になってます。それも、見てる人が深く考えれば考えるほど気づく点が次々見つけられる。「自立と依存の対比」については、Rankeさんの感想を見て「ああ、あのBパートの冒頭の会話はそれか!」と気づかされました。

「何をたかがアニメで真面目に考えてるんだ」と言われそうですが、真面目に考えるに値するものを出してくれてますから、私も最終回まで真面目な感想を突き詰めていこうと思います。最終回終わったら1話から感想を書いていこうかな。それも、基本的に真面目な感想で(笑)
 
 
 
忘れてました(苦笑) (KURE)
2005-12-05 11:18:14
ブックマーク、ありがとうございます。

ウチのブログはなんかブックマークの機能がないというか……まだよくわかってないので、もしブックマークの機能ができるようでしたら、私のほうからもブックマークしますので、そのときはよろしくお願いいたします。
 
 
 
いえいえ(笑) (Ranke@管理人)
2005-12-05 16:36:47
フルーツブログには確かにブックマーク欄が無いみたいですね。

なんだか強請ってるみたいで恐縮ですが、「リンク」カテゴリを作成して、普通のHPみたく別ページにするというのもアリかと思います。



が、ブックマーク登録はこちらで勝手にやったことですので、お気になさらず。

してくださるなら大歓迎ですが(どっちだ
 
 
 
Unknown (どんたく)
2005-12-05 17:57:17
楓の稟依存症は、大きな問題では無いと思う。



大切な人が居ないと生きていけなくなるのは、人間なら当たり前だから。





問題なのは、罪の意識が邪魔をして、素直な心を伝えられないことでは無いでしょうか?



楓に必要なのは、自立することでは無く、許されると。

そして、自分自身もありのままの自分を許せるように成ることのように思います。



でも、残り数話でそれが描けるとも思えないし・・・・

まじで気になる。 神シナリオを見せてくれ!



 
 
 
Unknown (Ranke@管理人)
2005-12-05 18:09:00
どんたくさん初めまして。コメントありがとうございます。



管理人の19話の感想に、楓の問題解決には「許し」が必要だということを書いてますので、

そこには同意です。



でも最後の2行はチラシの裏にどうぞ(笑)
 
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