心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」

2012-09-16 09:14:11 | Weblog
 先日まで暑い暑いと思っていたのに、いつのまにか秋の気配が漂う今日この頃、すっきりと晴れ渡った秋の空を眺めながら、久しぶりに自宅でのブログ更新です。夏に録音しておいたグレン・グールド特集のFM放送番組を聴きながら、さあてきょうは何を書こうかと......。

 実は、この3連休を利用して、夏に帰省できなかった長男君一家がやってきました。近くに住む長女一家も合流して、2+4+4=10人の大家族です。走り回る孫の姿を追いながら、同じように以前は子供たちが走り回っていたことを、なんとなく懐かしく思います。そういえば数日前、滋賀県の不動産屋さんから電話がありました。かつて休日のたびに家族と出かけていた湖北の山小屋を売ってくれないかとの相談です。最近は行く時間もないし、一瞬その話に乗りかけて、でも待てよ。リタイア後の姿を描ききっていないのに、と思い留まりました。人里離れて晴耕雨読の理想郷、夏休みには孫たちが遊びにくる、そんな生活も悪くはない。.....そろそろあるべき姿に結論を出さなければなりません。

 さて、きょうのテーマは村上春樹です。6月のブログで「ヤナ―チェックのシンフォニエッタ」をアップしましたが、例の「1Q84」を集中して読んだ頃です。全6冊を読み終えて、なんとなくぽか~んとした何とも不思議な感覚に包まれたものです。不思議な小説でした。でも、こんなことばかり考えていては仕事ができません。ぐうっと現実世界に引き戻されて、少し距離を置いていました。が、その後もなんとなく気になっていて、今夏、文庫本「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」をカバンに忍ばせて、北海道旅行に出かけました。稚内港から礼文島に向かう定期連絡船の2等船室の床に寝そべって、何気なく読んでいると、これがなかなか興味深い。心理学者の河合先生と村上さんの対話が目の前で踊っていました。

 第一夜「物語で人間はなにを癒すのか」に登場した「ねじまき鳥クロニクル」(全3巻)が気になって、実は2週間前、高知に向かう新大阪駅の本屋さんで、第1巻を手にしました。そして今、第2巻を読み進んでいますが、私と同世代の村上さんの世界に引き込まれていきます。思えば40数年前の学生の頃、小説家をめざしている友人がいました。彼も不思議な青年でした。木屋町界隈で呑んでいる最中も独特な雰囲気をもっていて、話が宙を舞っている、そんな友人でした。でも、彼は何を思ったのか3年の半ばでアメリカに留学してしまい、以後音信不通です。比べようもありませんが、そんな彼と村上さんが、私のなかでは混在しています。
 どうも、わたしは訳がわからないものが気になってしようがない性質(たち)のようです。マーラーにしても、そう。グレン・グールドとの最初の出会いも似たようなものです。そういえば、村上春樹の小説には、バックに音楽が流れています。「1Q84」はヤナ―チェックの「シンフォニエッタ」でした。「ねじまき鳥クロニクル」は、ロッシーニの歌劇「泥棒かささぎ」の序曲です。私のこれまで聞いてきた曲とは少し違う世界をお好みのようで、これがまた新鮮に聞こえるから不思議です。「かささぎ」の方は、とりあえずYouTubeで見つけてその雰囲気を確かめました。「シンフォニエッタ」同様、小気味よい曲想が気に入りました。いつかまたどこかで歌劇全曲を手に入れましょう。

 数日前の新聞に「村上春樹氏、ノーベル賞本命…文学賞のオッズ、最低倍率の8倍」の記事が目にとまりました。10月半ばに発表されるノーベル文学賞受賞を予測する賭率から有力候補なのだと。ここ数年、ずっと騒がれているようですが、さもありなん。「1Q84」をはじめ多くの作品が翻訳されて海外で出版されているようですから、この不思議な世界は万国共通のものなんでしょう。

 「おじいちゃん、まだぁ?」。痺れを切らしたのか、孫娘が部屋にやってきました。きょうはこれぐらいにしておきましょう。
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