らくたこマックの行雲流水

たまには漕ぐかと言いつつ川を離れ、熊と隣り合わせで野山を駆け巡る。なんて外遊びは楽しいんだろうw

Back to the GREECE

2010-05-29 20:50:31 | 家庭菜園
猫の額畑改め " Cat's forehead Farm " の今年のテーマはコンパニオンプランツ。互いに影響を与え合う野菜やハーブを寄せ植えすることで、病害虫の発生を防ぎ成長を促進させるという栽培方法。その代表といえばトマトとバジル。トマトを害虫から守るだけではなく、生育も促進させたうえに風味も良くするらしい。去年のトマトピュレに気を良くして、今年はジェノベーゼも手作りしようと思っていたので好都合だ。この影の立役者バジルだが原産地とされるインドでは、最も神聖なハーブとして " ホーリーバジル " と呼ばれている。ヒンズー教徒はバジルを寺院や家の周りに植えて幸福を願い、法廷では宣誓する時にも使われたという。今でも天国の扉を開けるものとして、亡き人の胸に一葉を置いて埋葬するらしい。で、このバジルがどのようにして西欧に広がったかというと、どうやらアレクサンダー大王のインド遠征がきっかけらしい。さぁ!紀元前4世紀のギリシアにBack to the Future

当時のギリシアはポリスと呼ばれる都市国家が、互いに同盟を結んだり戦ったりしながら覇権を争っていた。ある時はアテネであったり、スパルタであったりといった具合だ。紀元前4世紀になるとエーゲ海北岸のマケドニアが勢力を拡大し始めた。北部の山岳地帯に位置し、アテネから見ると辺境の地といった認識だったらしい。前338年夏、軍事的天才と謳われたマケドニア国王・フィリポス2世がアテネ連合軍を破ると、史上初めてギリシア全土(スパルタを除く)の統一を果たした。しかし偉業を成したフィリポス2世も、2年後には暗殺されこの世を去る。そして王位を継承したのが20才になったばかりの次男・アレクサンドロス3世。そう、かの有名なアレクサンダー大王である。その5年後にはペルシア侵攻のためにギリシア連合軍を組織し、自ら馬を駆って騎兵の先頭にたって突進したという。その姿はギリシア軍の信頼を勝ち得るとともに、カリスマ的指導者としての立場を不動のものとした。

アレクサンダーはペルシアに次いで地中海東岸のシリア・フェニキアを屈服させ、地中海における海上輸送の拠点を支配下に置いた。さらに南下すると、翌年にはペルシアに抑圧されていたエジプトを占領。解放者として大歓迎されたアレクサンダーはファラオとして認められるとともに、太陽神・アメンの子とする神託も得たという。ナイル川河口には新しい都市が築かれ、現在のアレキサンドリアとして発展した。巨大なアレクサンドロス帝国の建設は着々と進んでいったのだ。その後も中央アジアのバクトリアまで侵攻し、前326年にはインダス川を越えてインドに侵入した。そう、この時のインド遠征で持ち帰ったバジルが、西欧に広がるきっかけとなったのだ。ふぅ~、エライ駆け足で息が切れたので、続きは次回にw

東を向いて笑って食べる

2010-05-18 21:54:33 | 山菜
古平漁港から小高い丘を上った所に、ふるびら温泉「一望館」がある。ここで一汗流すのも、美国で山菜採りをする楽しみの一つだ。旧古平高校の校舎を活用した温泉施設で、男湯は元の職員室だったらしい。あまり純でなかった高校時代の職員室を思い出す。泉質は塩分を多く含む高張泉で、赤茶色のお湯がナントも趣がある。源泉はほぼ透明らしいが浴場でお湯が空気に触れ、鉄分が酸化して赤茶色に変色するそうだ。うさぎちゃんが「効能は?!」と言っても、ナンにも見えないので殿方の不満はつのる(古っ!)。浴槽に白いタオルを入れると、アッという間に染まるのでご注意を。

温泉でマッタリして漁組の直売所に立ち寄る。500gで680円の激安甘エビを見つけて、残り3パックの一つをすかさず手に取り帰路につく。厄介な山菜の下処理は帰宅後すぐにも始めたいが、今日のところは甘エビでビールとなるのは致し方ない。ん~!旨い。身が締まって臭みのない絶品の甘さだ。北海道に生まれ育ったことに素直に感謝。酔っぱらう前に下処理に取りかかる。そして食卓に並んだ見事な山の幸。まずは東を向いて笑ってから箸をのばす。旬のものを有り難く食べるという感謝の気持ちだ。旬とは厳密に言うとたった10日間しか与えられておらず、初物を食べると75日寿命が延びるらしい。いやはや、歳を重ねると迷信やら格言が妙に気にかかる。

ウドがタケノコ背負ってやって来た

2010-05-17 21:30:11 | 山菜
余市市街を過ぎて出足平峠を越えると、稜線の美しい積丹岳が真正面に姿を現す。積丹半島の最高峰・余別岳に次ぐ、標高1225mの名山だ。夏は登山、冬は山スキーと人気の高い山でもある。中腹に乗り入れたスノーモービルが、雪崩に巻き込まれた死亡事故は記憶に新しい。例年になく今年はその上部まで残雪が占め、一抹の不安が頭をよぎる。そう、今年最初の山菜採りで美国某林道のウドの沢に向かっているのだ。ウドを漢字で書くと『独活』。風もないのに自分から動いているように見えることから、この名が付けられたという。背丈が3mもの大木に育っても、軟らかく不安定に揺れる姿を充てたのだろう。

林道脇をチョロチョロと雪解け水が流れているが、積丹岳の様子とは違って辺りに雪は残っていない。涸れ沢をゆっくりと登っていくと、額にジンワリと汗が浮かぶほどの陽気だ。立ち止まると一斉に小さな虫がまとわりつく。今年も吸血虫との戦いが始まった。肝心のウドは芽を出し始めたところで、10~15cmほどに成長している。どうやら来週あたりに旬を迎えそうだ。山菜鎌を根元にあてて切ると、あの独特の香りが漂ってくる。山の春をヒシヒシと感じる瞬間だ。今年もこの感覚を味わえたことを感謝しつつ、太いのを選んで袋に詰めていく。

揚々と沢から下りて林道に戻ると、釣師匠に突然拿捕される。深夜2時に出発するという釣師匠にはつき合いきれないので、全くの別行動だったが抜群のタイミングだ。蛇を踏みそうになりながらタラの芽を採り、下見がてらに松林奥のタケノコ平に向かう。あちこちにある鹿のフンを避けながら、まだ早いよねぇ~と言いつつ竹林にもぐり込む。それにしても蛇だの鹿だの、野趣満天の山菜行だ。そういえば去年は熊も出たらしいし。這いつくばって目を凝らすと・・あら!もう出てるじゃん。こちらも出始めたばかりで、来週には旬を迎えるだろう。例年は2週間ほどの時間差攻撃だが、まるでウドがタケノコを背負ってやって来た感じだ。いい大人がニンマリとほくそ笑む。来週は野菜の苗を植える予定なんだが、この様子に気持ちは激しく揺らぐ。

Dutch Oven Magic

2010-05-08 22:25:33 | キャンプ
今シーズンも洞爺湖でキャンプ事始め。いつもの年だとカヌーの上から湖岸の桜を肴に花見酒となるのだが、今年は全く気配すらなくて酔いどれパドラーの本懐を遂げられない。道すがらのミズバショウの群生地でも、ようやく花をひろげ始めた状態だった。身に実感する寒さは野山の花にも同じようだ。曙公園のキャンプサイトも正直なもんで、いつもの半分ほどの人入りじゃないだろうか。若い男女が湖岸から一番離れたサイトに、こじんまりとした装備で設営した。手慣れた様子で男が食事の用意をし、小さな椅子で向かい合う二人は楽しそうだ。軽ワゴンの荷台にはスノーボードが見える。ニセコ辺りで最後の雪山を楽しみ、洞爺湖畔で静かにキャンプ。とてもシンプルで素敵なスタイルだと思う。最近の装備過多をチョットだけ反省する。

キャンプでは料理にこだわれば、遊ぶ時間がなくなってしまう。思い切りカヌーや釣りを楽しみたいので、料理に費やす時間は後回しだ。ところがダッチオーブンの登場で、その両方を満足できるようになった。鉄鍋の中に下ごしらえした食材を入れて火にかけておけば、あとは放っといても勝手に料理にしてくれる。ましてや出来上がった料理がやたらと旨い。焚火の爆ぜる音に耳を傾け、舞う火の粉を見ているだけ。ジュッと油の落ちる音や、蓋の間から漏れる匂いを嗅いでいるだけでワクワクする。愛好家のあいだでは使い込んだダッチを、ブラック・ポットと呼んで自慢し合うらしい。「女房とピックアップトラックは貸すが、俺のブラックポットは駄目だ」というアメリカン・ジョークの世界だ。

今回の料理のほとんどはダッチオーブンで賄った。初日は「ローストポーク」と「チキンのトマト煮」の二品。ハワイアン・ケイジャンで味付けした豚ロースは絶品で、添えものをして洒落た皿に盛れば立派なビストロメニューだ。2日目は「ローストチキン」と「牛肉の赤ワイン煮」の二品。箸でほぐれるチキンの身に大感激。これだけの料理をダッチオーブンが勝手に作ってくれると、酒好きにとってはビールだけでは物足りなくなってしまう。普段は飲むことのない、白ワインなんぞのコルクを開けてしまう。装備は増えるわアルコールのボトルは増えるわで、装備過多の反省を生かす日は来るのだろうかw

古代の海遊民族ラピタ人

2010-05-05 07:50:06 | ローカルフード
英国士官のキャプテン・クックがニュージーランドからタヒチをを経由して、ハワイ諸島カウアイ島にたどり付いたのは1778年のことである。その時、カヌーで近づいてきた先住民の最初の言葉にクックは耳を疑ったという。その挨拶は今までの航海中の島々で聞き慣れた言葉で、太平洋全体に共通する文化の存在に驚愕したという。クックの日誌には「この民族は一体どのようにして、かくも広大な太平洋を広がったのか」と記されている。

ハワイ諸島に人々が来たのは5~7世紀の頃だと考えれている。ポリネシア・マルケサス諸島から、双胴船の航海カヌーで渡ってきたようだ。彼らは今日のポリネシア人の遠い祖先で、古代の海遊民族・ラピタ人と呼ばれた。夜は星を昼は太陽を見て自分の位置を割り出す、スターナビケーションの技術に長けていたらしい。うねりの方向や積乱雲、渡り鳥の動きで、どこに島があるかを知ることができたという。文字も航海計器も持たなかったラピタ人は、知覚できる自然環境のすべてを利用して針路を定めたのだ。家畜やタロイモの苗木、石器などの生活に必要なものすべてを携え、家族と共に船団を組んで新世界を目指して旅立ったのである。ここ最近、マッタリ漕いでばかりの軟弱パドラーには真似のできない芸当だ。ということで、久しぶりの「ローカルフードで世界を旅する」はハワイ料理・ポキです。

ポリネシア系先住民の単一国家であった古代ハワイでは、神は絶対唯一のものではなく全てのものに宿ると考えられていた。森羅万象に無数に神があるという考えである。彼らは神から与えられた自然の恵みを食することで、自然に帰るという神話を信じていた。特に神聖な海からの恵みは獲れたてを捌き、塩で味付けして海藻とともに食べる習慣があったようだ。ちなみに、ハワイでも日本の習慣と同じくお清めや儀式の際には塩や海水が用いられてる。海を畏怖することの現れであろう。そう、航海者たちが持ち込んだこの魚の食べ方が、ハワイ伝統料理の一つ「ポキ(poke)」の原型である。本来は " ポケ " と発音するが今は英語式の読みが一般化し、ハワイ語で「切る」「スライスする」「みじん切りにする」といった動詞。最もポピュラーなポキはマグロ(アヒ)にタマネギやネギ、海藻(オゴ)をハワイアンソルトで和えたものである。他にもカツオ(アク)やタコ(ヘエ)なども使われ、今は味付けも移民の土地らしく和・中・韓とバリエーション豊かだ。

今回はちょっと贅沢してメインのマグロの他にも、サーモンやホタテなんかをミックスして作ってみた。タマネギ、ネギ、シソ、唐辛子をスライスしてポキシーズニングで和える。このシーズニングはスパイス商人が現地で調達してきたもので、乾燥した海藻も入っている優れものだ。さすがスパイスにかけては目利きである。基本的には和食の「漬け」やイタリアンの「カルパッチョ」と同じ発想の料理なので、日本人にとっては違和感のない料理だ。日本とは違った独特の海藻の味わいがハワイアンぽい。もちろん冷えたビールとの相性もバッチリで、にわかロコを気取って思わず「ONO!」と叫んでみるw