ラッコ庵日乗

「不思議な話」や「ヘンな話」が大好きなラッコ庵の日記。

「非現実の王国で―ヘンリー・ダーガーの謎」

2008年10月31日 | 映画・ドラマ・マンガ・アニメ
TSUTAYA DISCUSに入りました。
DVDやCDを1980円で月8枚まで借りられます。申し込みはネットで。郵送で送られてきて、返却はポストに。延滞料なし。
家の近くやいつも通る場所にレンタルショップがある人には必要ないでしょうが、うちのようにわざわざ行かなくてはならないものには結構便利です。元をとらなければ、というわけではありませんが、見そびれた映画とか古いアニメとか借りています。

今回借りたのは、公開の時に見そびれた、
「非現実の王国で―ヘンリー・ダーガーの謎」
http://henry-darger.com/

この感想を一言で言えば、
「世界にはいろんな謎があるけど、最大の謎は人間だ」
ということ。
幼くして孤児になって施設で育ち、17歳で逃亡して病院の掃除夫となってそのまま80年の生涯を終えたヘンリー・ダーガー。友人も家族もなく、誰にも心を開かず、孤独な頭のおかしい老人と思われていた彼の死後、アパートの部屋から15000ページに及ぶ空想の世界を描いた極彩色の絵物語が発見されました。
60年に渡って描きつづけられたのは、ヴィヴィアンガールズという7人の少女に率いられた子供の王国とそれを蹂躙しようとする大人の国の戦いの物語。
それを全部読みたいとは思わないけれど、彼が長年の間に編み出した独特の技法と、水彩で塗られた色づかいのセンスは彼の尋常ではない美意識を感じさせます。映画ではそれをアニメのように動かして見せるのだけれど、自由を求める戦いというテーマとあいまって、びっくりするほど「イエローサブマリン」に似ていました。

同じくTSUTAYAで最近借りて見たドキュメンタリー「ミリキタニの猫」の主人公、NYのホームレス画家ミリキタニ(三力谷という日系人)は反骨の人で、本心では回りの人との関わりを望んでいたと思います。映画の撮影を通して人との関係を回復して行くところが見どころのひとつですが、ヘンリー・ダーガーにいたってはもともとほとんど関わりなんかなかったし、望んでもいなかった。仕事を終えて帰った屋根裏部屋の「非現実の王国」こそが彼の本当の人生だったのです。
人とのかかわりを拒み、しかし最後は回りの人々の善意に見とられて亡くなったというところは、ちょっと「ヨコハマメリー」のメリーさんをおもいだしました。

それにしても、彼のアパートの大家さん夫妻(奥さんは日本人)が情のある人で、しかもアートを見る目のある人でよかった!そうでなかったら、彼の死後、この膨大な作品群はただのガラクタとして処分されていたことでしょう。(見方によればアブナイ人のアブナイ妄想以外の何ものでもないものね)
この作品を世に出し、ヘンリー・ダーガーの存在を知らしめたラーナー夫妻に感謝です。

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