「歌謡新詩壇」紹介ブログ

歌謡詩の全国同人誌「歌謡新詩壇」の紹介

「歌謡新詩壇」第113号

2012年03月10日 | 歌謡詩
 やっと春めいてきました。ここ上州では、春と冬がせめぎ合っていますが、さしもの冬将軍も少しずつ退却を始めたようです。1ヶ月に1度の「歌謡新詩壇」更新です。
 「歌謡新詩壇」113号は平成14年6月に発行されました。113号からは昨年の東日本大震災で被災された鈴木昭一先輩の作品を紹介します。

         江戸っ子 サンバ

                                作詩 鈴木 昭一(特別同人)

       男の俺らの 気持ちなぞ
       女に分って たまるかい
       泣いたり吠えたり するもんか
       俺らチャキチャキ 神田の生まれ
       爺さまの代から 江戸っ子だい
       くよくよめそめそ するものか べらんめい

       そりゃ俺らが 先に惚れ
       口説いたあの夜の 笛太鼓
       祭りの酒の あの旨さ
       ついついああして こうなって
       だけど後追う 野暮はない
       くよくよめそめそ するものか べらんめい

       浴衣はしょげて 豆絞り
       ねじり鉢巻 いなせだぜ
       今年も来た来た 三社さま
       何処かとあの娘を 目で探す
       おっと未練は 棄てたはず
       くよくよめそめそ するものか べらんめい

 歯切れのよい詩です。浅草の三社祭が目に浮かぶようです。こういう軽妙な詩は案外難しいものです。さすがに鈴木先輩です。「くよくよめそめそするものか」といいつつ、実は胸の内では、という感じが私にはするのですがどうでしょうか?
 東日本大震災から、ちょうど1年が経過しました。被災された皆様の言葉では言いようのない悲しみや、苦しみをお察しします。私もあの日以来、自律神経の不調から涙目になってしまいました。悲しくないのに涙が出てくるのです。テレビの震災のニュースはもういけません。正視できません。
 鈴木先輩は南相馬市にお住まいでした。震災後、しばらく音信不通になったようですが、今はまた連絡が取れるようです。(新詩壇の三宅先生と)まだまだ後輩の手本になって欲しいと思います。