「歌謡新詩壇」紹介ブログ

歌謡詩の全国同人誌「歌謡新詩壇」の紹介

「歌謡新詩壇」第71号

2011年02月11日 | 歌謡詩
 2月になり、節分とともに春めいてきました。1月いっぱい吹き荒れた上州名物の空っ風もやっと峠を越えたようです。これからは、ひと雨(雪?:この辺りでは、雪は低気圧が太平洋側を通るときに降ることが多いのです。早速9日には初雪があり、よいお湿りになりました。今日もまた朝から雪模様です。)毎に暖かくなるでしょう。
 
 それでは、歌謡詩の全国同人誌「歌謡新詩壇」の第71号を紹介します。歌謡新詩壇第71号は、平成7年9月に発行されました。第71号からは、「会員」山下宇一さんの作品を紹介します。

        ハネムーンはベネチアで

                        作詞 山下 宇一(会員)

      夏のベニスは 夜明けが早く
      夢を見ぬ間に 朝が来る
      抱いてほしいの もう一度
      マルコ広場の 教会の
      祈りの鐘が 鳴る前に
      水の都の ハネムーン

       カフェテラスの 流しが唄う
       カンツォーネも 愛の歌
       胸にもたれて 甘えれば
       店の中から カンターレ
       言葉はみんな イタリア語
       水の都の 昼下がり

        窓につるした 洗濯物が
        風にゆれてる 裏通り
        細い運河を ゴンドラで
        通りぬければ 青い海
        ふたりで書いた 絵のような
        水の都の ハネムーン

 山下さんは、前身の「新歌謡界」からのお仲間で、センス溢れる実力者でした。本来ならば、この時点で「特別同人」になっていてもおかしくないくらいの方ですが、後にご本人が話されているように、休稿の期間が長く、昇格が遅くなったようです。ただし、この頃から一気に挽回されあっという間に「同人」から「特別同人」になられました。
 この詩は、異国情緒の漂う、おしゃれな感じのする山下さんのお得意のジャンルをいかんなく発揮されている歌です。71号の「会員」選評は千葉幸雄先生でしたが、「会員」欄トップに据えられ「着想が素晴らしい。題材がよい。」とべた褒めでした。なお、山下さんは翌72号でも「会員」トップを占められました。

 続いては、最新号からの作品を紹介します。 
 最新160号からは、昨年7月、豪雨により被災された北野じゅんさんの作品を紹介します。

           愛しき人生

                             作詞 北野 じゅん(特別同人)

         ふるさとの
         春は早苗の 青き波
         秋は稲穂の 黄金(きん)の波
         遠き祖先の 昔から
         受けてあと継ぐ ふるさとの
         土砂の被害に 捨てる身の
         ああ悲し別れを しのび泣く

           ふるさとの
           夏は涼しき せせらぎに
           声もにぎやか 小魚(さかな)とり
           共に過ごした あの小川(かわ)も
           今は 過去(むかし)の語り草
           幼な 友達 散り散りに
           ああ 胸に切なさ 男泣き
              
               ふるさとの
               昔 笑顔の 夢いくつ
               酒で 涙を ごまかして
               遠くさびしく 離れても
               つきぬ 想い 気にかかる
               口にゃいえない ことばかり
               ああ 涙かくして 新天地
               (歌謡新詩壇160号発表)

           生まれきて 代々つぎし郷土(さと)
           我が世にて捨て 去る涙 冥土にやまず

 北野さんは、昨年7月広島県庄原地方を襲ったゲリラ豪雨のため、新築間近の家は半壊、田畑は流され、現在は仮設公舎住まいとのことです。159号では被災された当時の状況を詩にされて発表されました。実体験に基づくあまりにも生々しい詩に言葉もありませんでした。この詩はその続編とでも言うのでしょうか。ふるさとを失ったかのような心境が詩われています。添え書きにもありますようにその無念さが伝わります。
 今も住居や、田畑の復旧にあたられているようです。当分ご自宅に戻れないとのことですが、一日も早く元の暮らしに戻れますよう祈っております。
コメント