rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

ワクチンに係わる「燻製ニシンの虚偽」

2021-10-15 20:16:20 | 医療

重要な事柄から情報の受けての注意を逸らそうとする技法をRed herring(赤いニシン)、日本語では「燻製ニシンの虚偽」と言い、大衆に信じさせる情報を操作する「スピンドクター(情報操作に長ける者)」の常套手段の一つです。Wikipediaの説明にもある様に、ミステリー作品において、無実の登場人物に疑いが向かうよう偽りの情報を強調したりする手法です。

 

拙ブログの「科学の衣を着た政治的プロパガンダ」でも言及したように、多くの人には先端科学や専門的な医学は理解できないので、新型コロナワクチンについての「解明しきれていないリスク」を科学的に説明され、ワクチン接種を躊躇してしまう人が増えるのを危惧した体制側は、キャッチーで判りやすい「偽情報」を一般の人達にあえて広めてから後で「これはトンでもない嘘」と暴いて見せることで「ワクチンリスクの疑惑全てが飛んでも情報なのだ」と否定しようとしていると思われる状況が見えてきており、サイエンスに基づいて正しい情報を発信しようと考える医療者として憂慮しています。

 

明らかな偽情報の例

1) ワクチン接種部位が磁石のように鉄が付くようになる。LEDランプが灯る。

(昔スプーンが曲がる人が続出したテレビがありましたが、中にはそのような人もいるかもしれませんが、ワクチンとは関係ないでしょう)

2) ワクチン接種をするとBlue toothの固有番号を発信するようになる(ありえません)。

3) ワクチンにマイクロチップが埋め込まれている。

(同じ製造ロットやバイアルの人は全て同じチップということ?2回接種すると2種類チップが入る?実際私や看護師が瓶から新しいディスポ注射器に分注してその場で注射しているのに)。

 

論文などでも明らかでない疑惑情報

1) ワクチンを打つと不妊になる(科学的に証明されていない、理論的には成分などからはありえない)。

2) ワクチンを打つと呼気や汗にウイルス(やその断片)が排出される(スパイク蛋白は体内で作られるので喀痰などに少し混ざるかも知れませんが、だからどうだというのでしょう)。

3) 含まれる酸化グラフェンが有害。

(微量物質がどの位有害かは未定、微量でもシアン化合物がヘモグロビンの酸素化を障害とか、ウランの1億倍放射能があってα線を出して隣接細胞を殺すポロニウム同位体などならばわかるが)

 

一方でワクチンを打たせたい体制側も大衆が良いように勘違いしてしまう情報操作をしています。その例として

1) 妊婦にも安全(安定期の中期、後期については問題ない様だが、薬剤や放射線被爆でも一番問題になるのは妊娠初期、受精から1か月位であり、それについての安全性は一切確認されていない)。

またワクチンは投与部位だけでなく、卵巣、精巣を含むからだの全臓器に血流にのって分散されることは本邦承認時に用いたファイザーの公開文書等(16ページ)からも明らかになっており、それらが諸臓器に長期にわたり何の影響も及ぼさないという実証はされていない。

2) 遺伝子に取り込まれる事はない。(以前示したようにレトロトランスポゾン化して取り込まれる可能性はある、が科学的には正しい。もともと動物の遺伝情報の多くはウイルスなどから取り込まれた物である)

3) 2回接種することで免疫が高まる。

(2回目接種の意味は、偽感染によるブースター効果で、1回接種したことで付いた細胞性免疫が賦活化されて液性免疫由来の中和抗体が無理やり大量に作られるだけであり、免疫が高まる訳ではない)

 

最近の論文化された研究でわかってきた事

1) ワクチンは免疫を乱す

ワクチンでいきなり発がんすることはないと思いますが、限られた体内の免疫機能が無理やり大量のコロナスパイク蛋白に対する中和抗体作成に駆り出されるため、眠っていたウイルスが活動を始めたり(EB, ヘルペス=帯状疱疹, サイトメガロウイルスなど)、もともとあった癌の進行が早まったりする。これは私自身、実臨床でも経験しますが、ワクチン接種後の1週間以上の発熱継続などで体調が悪化して脱水症状で入院といった例も複数経験しています(多系統炎症症状)。

 

2) ADE(抗体依存性免疫増強)について

以前から懸念されていた事項ですが、スパイク蛋白のレセプター結合部への抗体は感染抑制の中和抗体として働くが、その周囲にあるN末端部(N terminal domain)への抗体は感染を増強させる効果があると阪大などの研究で明らかになりました。Covid19に対する遺伝子ワクチンはスパイク蛋白全体をターゲットにしたものなので中和抗体だけでなく、N末端部への抗体も作られることになり、中和抗体量が低下してくると逆にコロナに罹りやすくなる可能性があります。

AMED(日本医療開発機構)のプレスリリースで示されたコロナスパイク蛋白の抗体接合ドメインから引用

変異種はワクチンによる中和抗体よりADEの方が強く出るかもという論文(Jounal of Infection 2021.8.16)からの図

 

3) 自然感染による免疫がワクチンよりも数倍効果がある

これは以下の論文で示されました。自然感染の結果、種々のドメインに対する抗体でコロナを撃退した方が強い予防効果を持つようになるのは当然の様に思います。

 

4) 細胞性免疫も考慮するとワクチン一回接種で77%、2回接種で+10%予防効果がある。

ワクチンの効果を検討する方法は種々あり、検討方法によって予防効果(~%)が変わります。ワクチン承認の際に拙速的に用いられた「単純にワクチンを投与したヒトとしていないヒトの間で一定の期間内にコロナに罹った人数を比較」してその差を予防効果とするのはやや無理があります(ワクチン使用の有無に関わらず、罹患しないヒトがあまりに多い)。これがより正しい結果と断定はできませんが、信頼できる雑誌であるNew England Journal of Medicineに罹患リスクの高い米国医療関係者で「コロナ類似症状を呈してコロナ検査を行った者」を対象に、ワクチンの有効性を検査したtest-negative case-control studyの結果は上記のとおりで、多くはファイザー製のワクチンでしたが、1回接種で77.6%、2回接種で88.8%というのは通常のインフルワクチンの効果とも類似しており、現実的な効果を表していると思いました(インフルワクチンも2回目の追加接種は+10%の効果)。

NEJMの論文抄録からワクチン効果を示した結果部分

 

これらを踏まえたrakitarouとしての考察

1) ワクチンは「感染を防がないが重症化は防ぐ効果がある」は本当か?

第五波を病院で経験した実感からは、上記は真実とも思われます。しかしこれを科学的に証明した論文はまだ見かけません。イスラエルなどではワクチン投与後でも重症化例は沢山報告されています。しかし考えられる機序として、ワクチンは増殖の速い変異種の感染自体は防げないが、体内でウイルスが増殖して重症化する事は、ワクチン接種によってT細胞免疫が既に感作されているため、素早く反応して種々の抗体が作成されて重症化は防げたのだ、という説明はありえます。

 

2) 今後の変異種には効果があるか、逆に減るか

これは変異種の性質によるので何とも言えませんが、検査をスルーする(検査用抗体の認識部位やPCRのプライマーにあたる部位が変異している)変異種が既に見つかっており、コロナ感染症が今後も継続する予感はありそうです。

 

以上、ここ2か月ほどで第五波に日本が揉まれている間に分かってきた事をまとめてみました。日本のワクチン接種率がほぼ世界一のレベルになっている事は良いとも悪いとも言えません。ただ既に古くなったワクチンの接種で、安全を保障するようなワクチンパスポートの導入は意味がないだけでなく、有害であり、個人の「行動管理」をしたい政府の意向しか反映しない政策だと私は思います。諸外国では人権侵害として反対意見も増えています。

米国におけるワクチンパスポート導入状況(青系はむしろ人権侵害として禁止している)日本では何故か導入に積極的なNYなどのニュースしか流さない。

 

ワクチンに関わる「燻製ニシンの虚偽」は理系思考で考えれば見抜くことはできると思いますが、なかなかそう行かないのは、日本の大学生の半分は理系で、本来ならば科学的思考に慣れた大人が日本人の半分はいるはずなのに、実際には実学的な技術や知識の習得ばかりを大学で教えられ、基本となる「思考法」を叩き込まれていない事が原因だと思います。私も一大学人として理系の思考法を十分教育してこなかった点を反省するべきと思っています。

コメント (5)
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