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ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル 【感想】

2018-04-13 08:00:00 | 映画


前評判に違わぬ面白さ。シンプルに楽しめる久々の娯楽作。ボードゲームであった20年前から、大幅にスケールアップして内容も充実。とめどなく押し寄せる馬鹿馬鹿しいギャグに笑い、大袈裟なアクションについ熱くなってしまう。冒険するのは3人のオッサンとお姉さんであるが、その中身はあくまで高校生たちだ。彼らが現実世界と異なる人格を体験することで新たな生き方を発見し、それぞれの成長へと繋がっていく。意外な青春ドラマの旨みあり。時代をズラさなかったエンディングが良心的で、彼らの再会シーンにグっときてしまった。あと、吹き替えによるローカライズが見事にハマッた稀有な例でもあり、プロの声優でまとめたキャスティングは英断だった。

子どもと一緒に観にいったため、吹き替え版で鑑賞。というか、そのシネコンでは吹き替え版のみの上映だった。ファミリー映画として売り出す戦略だろうが、公開2日目にも関わらず空席が目立っていた。大作といえど、実写映画のヒットは難しい時代になったと感じる。

学校で居残りをさせられていた男女4人の高校生が「ジュマンジ」のテレビゲームをやり始めた途端、その世界に吸い込まれ、現実世界に戻るためにジャングルでのゲームクリアを目指すという話。

ポイントは、4人がゲームの世界に入った途端、現実世界とは正反対のキャラクターに変わってしまうという点だ。ゲームオタクな主人公は筋肉ムキムキのロック様に変わり、アメフト部のスポーツマンは背の低い動物学者に変わり、内気な女子は露出度の高い女子に変わり、インスタ&自撮りが大好きな女子はなぜか太ったオッサンに変わる。ゲームの中の4人のキャラは勇者、従者、武道家、賢者に置き換えられ、典型的なロープレゲームのメンバー構成だ。

姿の変化によるギャップに戸惑うなか、最も落胆するのは太ったオッサンこと、ジャック・ブラックに変わってしまった女子だ。外見をことさら気にする今どきの女子にあって皮肉を仕込んだ匂いがする。一方、喜んだのはロック様こと、ドウェイン・ジョンソンに変わった主人公だ。はち切れんばかりの筋肉と、いかついタトゥーをそのままに「凄いぜ!」と、ドウェイン・ジョンソンが自分の肉体を自分でイジる。日本人の感覚では「セクシー」と少し違うけれど、この人はコメディも上手だからスターなのだ。

ステージごとのミッションは、ゲームのあるあるを盛り込みつつ、それぞれが持っているスキルが活かされていく。アクションの多くはCGに頼っているとはいえ、迫力十分で大スクリーン向けである。しかし何といっても本作の醍醐味は、ドウェイン・ジョンソン、ジャック・ブラック、ケヴィン・ハート、3人のオッサンたちの掛け合いだろう。止まらない会話劇はコメディに寄せていて、外見はオッサン、中身は高校生という役柄を自虐ネタも織り交ぜ、楽しんで演じている。

久々に吹き替え版で見たが、稀にみる成功例といえる。日本向けのセリフと吹替版の音声が映画の色と見事にマッチしている。字幕版ではどう訳されているかわからないが、「ぶっとび」「マブい」など、途中で仲間に加わるワケあり青年との世代ギャップを示すセリフなど、巧くローカライズされている。また、実力のあるプロの声優を配したキャスティングによって、それぞれの個性が一層際立っているようだ。コメディがベースにあるため、字幕ではここまでストレートに笑いが響かなかっただろう。

演者たちのなりきりぶりによって、あくまで「高校生」であるという視点は揺るがない。ジャングルでもう1人の自分を体験したことで、新たな自分を発見する物語でもある。早く現実世界に戻りたいキャラもいれば、現実世界に戻ることをためらうキャラも出てくる。しかし、いずれも「ジュマンジ」を体験したことで現実世界の生活が好転する結末になっている。また、冒頭シーンでの伏線でもあった、5人目のメンバーの帰還には作り手の優しさが感じられ、時代を超えた5人の再会シーンに思わずホロリとする。そのハッピーエンドが気持ちよかった。

【70点】

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