そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

『極北』 マーセル・セロー

2012-06-29 23:04:03 | Books
極北
マーセル・セロー(著)村上 春樹(訳)
中央公論新社


読み進めるうちに、この世界観は『ナウシカ』なのだなと気づいた。
主人公は姫様ではないし、蟲も出てはこないけれど。
そして、バイオレンスぶりには『マッドマックス』か『北斗の拳』が入っているけれど。

「訳者あとがき」によれば、村上春樹は原書を読んですぐ、これはぜひとも自分が訳さなければ、と気に入ったようだけど、『ナウシカ』や『北斗の拳』だと思えばそれもよく理解できる。
この人の世界観って良くも悪くも30年前から変わってなさそうだもの。

物語世界は確かに魅力的。
ディストピア世界をたった一人で生きていく主人公の、絶望的な孤独と、強烈な生命力の描出は素晴らしい。
コメント
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