臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

今週の「朝日歌壇」から(12月26日掲載分・其のⅢ)書き込み中

2016年12月31日 | 今週の朝日歌壇から
[馬場あき子選]
○ 口閉ざしゐし蛤のやはらかき朝光にふとくちびる開けぬ (前橋市)荻原葉月

○ 真っ暗な殻にこもれる「すずめの担桶」刺蛾よ凍みる冬はこれから (岐阜県)棚橋久子

○ 白き山羊みどり少なき川べりに冬のごとくに立ちおるが見ゆ (岡山市)奥西健次郎

○ 水槽に入りゆくごとき美術館冬のアリアの低く流れて (福島市)美原凍子

○ へこんでも大学芋でよみがえる妹は強いそしてしなやか (富山市)松田梨子

○ 邪魔があることが恋だと悟りけり君と暮らして愛育めば (筑後市)近藤史紀

○ 大根はずぼんと抜けてほの暗い穴の底から気魂が昇る (蓮田市)斎藤哲也

○ まだ少し黒髪残る母の髪をボランティアさんがやさしくカットす (佐世保市)近藤福代

○ 柊の白く小さき花咲けり師走の香り濃く漂わせ (名古屋市)諏訪兼位

○ 今朝もまた小鳥集いて囀れり壊さずにある廃線の駅 (石川県)瀧上裕幸

○ 息白し一番ホームの蕎麦屋からようやく湯気が揺らぎ始める (秦野市)関美津子

○ あららぎの大樹にのぼりくれなゐの実をむさぼりて食ひゐし戦後 (埼玉県)酒井忠正


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。