Sukiyaki 2017 良かったねー Bilan 10 La musique et le halal...


 このワークショップの録音、途中で切れちゃってます。残念。とくに第三マカームの国歌演奏――ヌーラさんあきらかに気合が入ってました――は素晴らしかったのになあ・・・ えてしてこういうものですか。
 あとは簡単に、と思ったけど書いてみたらあんまり簡単じゃなかった。



 このグループのメンバーの出会いについて。
 ヌーラさんのお兄さんがウスマンさんと同じ学校に通っていたから、ウスマンさんはジェシュさんより前からヌーラさんのことを知っていた、またヌーラさんのお兄さんはジェシュさんとボーイスカウトscoutで一緒だったとのこと(scoutはフランス語では「スクート」と発音します。これは実はアルジェリアでもたいへん盛んでここで先輩・友達から音楽を教えられたというライの歌手も多いです。「北アフリカにおけるボーイスカウト運動」は、わたくしが研究してみたいテーマのひとつなのですが――なぜって、現代はいわゆる先進国は「男子劣化社会」になっているということもありまして――人生、もう残り時間少ないです・・・)。
 彼らがグループを組んだのは2004年、そしてマシューさんは2008年にセネガルでのフェスティバルでヌーラさんたちと出会い、翌2009年にヌアクショットで結婚式等での演奏――ライ歌手も結婚式の余興演奏で稼ぐのです――に連れて行ってもらっているうちにその気になって?、このバンドができた、ということです。今でもマシューだけセネガルのダカールに住み、車で10時間のヌアクショットにあとの三人はずっと住んでいるそうです。

 西アフリカに広く分布する「コラ」とは違うとヌーラさんが強調する女性専用楽器「アルディン」は、ツアー用に小さいのをもってきているが、本当は大きいのがある、とのこと。

 ジェシュさんはごく幼少のころから男性用楽器「ティディニット」を弾いていたのが10歳でJimi Hendrix, Mark Knopfler (Dire Straits)などをカセットで聞いて衝撃を受け、エレキギターを弾き始めます。
 それでも彼のエレキは、特殊な音階を弾くために改造され、フレットを足してあるものなのです。

 このあたりでマシューさんから、まあ当たり前のことなのですが念押しが入りました。ジミ・ヘンドリクスや彼が影響を受けたアメリカのミュージシャンの多くはアフリカの、まさにヌーラさんたちの住んでいるあたり(彼らは今でもヌアクショットに住んでいるそうです。わたしはアメリカに本拠があるのかと勘違いしてました)にルーツをもつ人たちなので、ヌーラさんたちの音楽に主にアメリカの影響をみるべきなのか、もともとアフリカにあったものが主と考えるべきなのか、分からない、というのですね。
 たしかに今となっては、これを科学的?に特定するのは難しいでしょうね。
 でもそれを考えること自体は、非常に大事なことです。

 モーリタニアのひとが考えたらしい五つのマカームなどの体系というのは、ひょっとしたら音楽のハラーム性を否定するための装置ではないかなと考えたりします。

 話はとびますが、「音楽」というもの自体、イスラム教ではハラーム、つまり忌まれるものの方に入ってしまうのではないか、という疑問については中町信孝さんがお書きになった『「アラブの春」と音楽』の最初のところが参考になります。こういうあやふやな話って、おかしなことを言いますが、日本語で書かれるとなんとなく納得できる気がします。白か黒か、って話ではないからでしょうか。こんなことで中町さんの本を引き合いに出しましたが、この本はすごいいい本です。さすがエジプト・ポップの専門家です。ご一読をお勧めします。



 で最後に、わたしたちがこんな遠い国の音楽について考えること自体になんの意味があるか、と言われたら――文科省の方は立場上そういわれるのかもしれませんが・・・――、わたくしとしては こんなふうに考えます、とお答えしておきます。まあこれは経済的見地から言えばこういう言い方になる、ということですが・・・


 で、ヌーラさんたちのワークショップの収穫のご報告はここまでにします。
 当日は興味深い質問をされる方もいたのですが、残念ながら記録がないです。

 どなたかできましたら、思い出させてください。よろしくおねがいします。

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