のこされた手紙を 読みかえす
顔も思いだせないけれど
いくつになっても 父が恋しい
葉書だけで 想像する
肉声を聴くような気がして なんどでも読む
ほんとうは どんな声で話したの
年をとったお父さんは どんな匂い?
どんな貌 どんな性格…
どんな趣味を持って
困ったときは どんなアドバイスして
怠けていたら どんな風に叱るの
父を奪った戦争を ぜったい許さない
お骨もない 遺品もない 思い出もない
わたしは 戦争を憎む
家を失い、友人を失い、「かつて日本民族というものありき」と世界史に記されるまで、戦い抜くのだと叩き込まれてきた幼い頭には、消化できかねる「戦後」でした。
傷跡は自分でも思いがけないときにふと顔をのぞかせます。
もう、戦中、戦後を語り合える人も少なくなってきました。
せめて、自分の生ある限りは忘れずに祈り続け、追悼していこうと決めています。
「生きて虜囚の辱めを受け」ることとなり、引き揚げで帰還したわがあるじと、この八月は「戦争」をしみじみ語り合っています。
「せめて、自分の生ある限りは忘れずに祈り続け、追悼していこう」
震災にも重ねて、もっと悲惨な方たちに思いを馳せました。両親とも亡くした子等にどんな言葉をかけたらよいか。 とにかく前を向いて、両親に誇れる自分になって…