鹿 村野四郎
鹿は 森のはずれの
夕日の中に じっと立っていた
彼は知っていた
小さい額が狙われているのを
けれども 彼に
どうすることが出来ただろう
彼は すんなり立って
村の方を見ていた
生きる時間が黄金のように光る
彼の棲家である
大きい森の夜を背景にして
-☆-
ニュースを聴いて 涙が止まらない
そして この詩が浮かんだ
はじめて読んだ日 今生きているということ
命の一瞬 一瞬の耀き 鹿も ひとも…
人生は たった一度 ……