距離を

山田は変わらない。

山田の無神経な事に傷付く時もある。

でも変わりなく優しくもしてくれる。

だけど、私の方の気持ちが悲しくて。

笑顔で週末の出来事を語る山田。

言わなくていいのに・・・

本当は聞きたくない。

特に奥様が絡む話は、心臓がギュッとなる。

あとは子供との話。

家族の幸せな話。

山田には、戻れる場所がある。

私には、子供も自分の家族もいない。

山田を失ったら、私には何もない。

山田に言いたい事が沢山ある。

でも嫌われる事が怖くて、自分の思った事が言えない。

嫌な事にも、笑ってる自分が嫌い。

何もない私が、山田を失う事の怖さ。

弱くなりました。

人の温かさを知ると手離したくなくなる。

１人の自分が悲しくてたまらない。

山田がいなかった時の私は、何処に行ったのだろう。

その時の私は、１人でも平気だったのに。

また山田が言う。

『ご飯食べに行きたいね』

行く気がないのだから、言わないで欲しい。

前は【何食べようか？】と話を広げていたけど、

もう信じてないから、私は愛想笑いをするだけ。

山田もそれ以上の事は言わない。

ほらやっぱり、その先の話がない。

ただ言うだけ。

それなら言わないで欲しい。

距離を・・・もう少し距離を置こう。

じゃないと私が悲しくて悲しくて。

昨日は、帰りのメールを無視しました。

毎日、必ずやり取りをしていたけど・・・

しない日も作っていかないと。

強くなりたい。

一緒にご飯を食べる事も、ホテルに行って山田を

独り占めをする事ももうない。

メールで励まし、たまにほんの少し会って癒す。

それだけの関係に・・・

そうして、徐々に距離を置いていこうと思います。

とりあえず、明日は山田にお弁当を作って行きます。

山田が愛妻弁当を持って来ているなら、自分で食べます。

勝手に私が作っているだけだから・・・自己満足。

距離を置いてと言いながら、お弁当を作る。

私は馬鹿ですね。