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たかがクリーニングの「され度」

2010-11-23 | つれづれなるままに


玄関を占領してしまった二つのボックス、これはオフシーズンの間預かってもらっていたコートやセーターなどの冬物がシーズン前に送られてきた様子です。


皆さん、クリーニング、どうなさってますか?


ファストファッションといわれる、○ニクロを始めとするチープなファッション衣料をシーズンごとに使い捨てする。
こんな方には、この稿は全く無用の意見です。
お気に入りの服を大切に着たい、という方にお届けします。


毎週のように家に御用聞きが来る「普段のクリーニング」で、ワイシャツなどを出すのですが、実は我が家のホームドクターならぬ「ホーム・ランドリー」は、京都にあります。
首都圏住まいの我が家がわざわざ京都にクリーニングを出す理由。
それはここが「本当のクリーニング」をしてくれるから。

この業者に(通話無料で)集荷の依頼電話をすると、一両日中に運送会社がクリーニングしたい洋服を取りにきてくれます。
その後、会社からカウンセリングの電話がかかってきます。

「ここにこのような汚れがあるので、こういうケアをお薦めしますが、色落ちの可能性もございます」
「お値段は○○円になります」

そこで納得して作業をお願いするわけですが、もし
「いや、それは購入価格を考えると高すぎる」とか
「色落ちは(可能性であっても)困る」
ということであれば、そのときキャンセルします。


キャンセルしても、無料で送り返してくれます。良心的。


しかし、クリーニングが高すぎる、ってどういうこと?
と思われたでしょうか。


画像は、今回仕上がって返ってきた服のカルテ。
そう、一着ごとにこのようなものを制作して、それをもとに作業をします。


カルテはカシミヤのロングコートのもの。
クリーニングとシミプロテクト加工をしてクリーニング代11,000円。
オフシーズンの預かり代は561円。

なにこれ、たかがクリーニングに高すぎる!
と思われた方。
確かに高いです。
一着のクリーニング代だけでもしかしたら○ニクロではコート二着くらい買えてしまうでしょうか。

されど。

身にまとうものに対して、大事に手入れして使いたい、という傾向指数を、この
「され度」
で表わすとします。
この指数をかけて求められる答は「衣服にかける手入れ代の許容額」
と(たった今)定義します。

使い捨てファストファッションに「され度」をかけると答は0円~300円。
ワイシャツなどの消耗品は一回着たら400円(くらい?)
そして、一生着続けたいお気に入りの服はワンシーズン6000円~10,000円。
(皮革や毛皮など特殊なものは2~3万)




日本に帰って来てすぐ、近場のクリーニング店にお気に入りのブラウスを出し、次に着ようと思ってボタンが欠けているのに気付きました。
店に持って行くと
「もう一ヶ月経ってますから」
とはなから責任取らない構え。

こんなとき、エリス中尉は決して文句を言いません。
穏やかに
「ああ、そうですか」

そして、黙って店を出て可及的速やかにその店とは縁を切りました。

まあ、他人の商売なのでどうでもいいですが、もしその服を弁償する、と店の人が言ってくれていたら、きっと
「いや、ボタンを付け替えればいいので、ボタン代だけでいいですよ」
とでも言い、その後もきっとそこの顧客でいたと思うんですよ。

目の前の責任を逃れて長期の利益を逃す、ってことになってしまったわけで。
こういう商売のやり方、結局損だと思うんですがどうでしょう。


ボタンを壊されたブラウスは、アメリカで買ったラルフローレンのもので、まあそんなに高いものではありませんが、やはり、大事なものは、たとえ高くてもちゃんとクリーニングしてくれるところに出そう、と決心する出来事でした。

安い大型店舗のドライクリーニングとは、風の通っているところをハンガーが移動していくだけで、なんのクリーニングも実はしていない、あるいは「いろいろやってみたけどシミは落ちませんでした」といういいわけ札が付いて返ってくるが、その「いろいろ」は「何にも」だったりする、というクリーニング業界のウラ話を聞いたことがあります。

この京都の業者は、そういった悪しき業界に真っ向から立ち向かう形で「高いが本物のクリーニング」を標榜し、今や銀座、兵庫県西宮に店舗を持って、かつ全国展開しています。

ここのクリーニングですが、ドライクリーニングでは落ちない汗、食べ物の汚れは独自に開発された無重力バランス洗浄法で水洗いをするそうです。
男性のスーツも水洗い。
しかし、パタンナー技能者とプレス経験者が立体的に仕上げるので、出す前より型が整って返ってくるという、匠の技をここは持っています。
着くたびれてへたってしまったようなスーツも、ここで一度洗うと、あら不思議、ふんわりと風合いが新品のようになってしまうのです。

全く驚愕の技術です。

ちなみに上記カシミヤのコートは、シャネルのもの。
死ぬまで着続けたいので、ワンシーズンたとえ1万円出しても全く高いとは思いません。

そして、夏の間、特にうちは家を留守にするので、オフシーズン無菌のクローゼットで保管してくれるシステムは全くありがたいもの。
それにクリーニング代の割にクローゼット代が安いと思いませんか?



ポルシェやフェラーリに憧れ、いつかは乗りたい、と思っている人がいたとします。
特にポルシェなら、中古であれば購入そのものは可能でしょう。

しかし、ポルシェを維持し、走らせ続けるには購入したときのクルマの本体と同じくらいの金額を用意していないといけないことをこのうちの何人が知っているでしょうか。


自分のスタイルを持ち、ブランドにこだわりのある方、腕のいい仕立て職人に作らせたお気に入りのスーツをお持ちの方、クリーニング代を惜しむくらいなら、もっと安い服を着るべきです。
数少ない上等の服を手入れして着る。
「たかがクリーニング」に一万出しても惜しくない「され度」の服を数少なく持つのが私のやり方です。


ココ・シャネルがパリのオテル・リッツで亡くなったときに、部屋のクローゼットにはわずか二着の黒のスーツが残されていただけだったそうです。

そんな話に憧れて幾星霜。
実際は二着どころではないし、TОのスーツも出してあげなきゃいけないのでクリーニング代大変ですが。



ご参考までに本文中のクリーニング店は
「ハッピー・ケアメンテ」
クリーニング、ではなく「ケアメンテ」と呼びます。

ここの職人さんは一般のクリーニング店にはありえない?高給取りなんだそうです。
その理由。
高価な服を買って自分で身にまとうことで、上等の服の着心地と、それを所有し愛蔵することを身を持って知るための「勉強代」なのだとか。

「され度」の高い服をお持ちの方、一度お試しください。
ここから宣伝料をもらっているわけではありませんが、この会社の企業姿勢にいつも感ずるものを持っているので、この際宣伝してしまいます。

















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