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自衛官とSNS~日向灘・掃海隊訓練

2015-12-04 | 自衛隊

掃海隊の訓練に参加したこともあって、わたしのなかでは今「掃海艇ブーム」なのですが、
そんな状態だからすぐに気づいたのか、10月27日に行われた
最新式掃海艦「あわじ」 の進水式についてのニュースが目に飛び込んできました。


「あわじ」は「やえやま」型掃海艦の後継とされた「あわじ」型1番艦で、
もちろん兵庫県の「淡路島」から命名したものです。 

「あわじ」は「えのしま」型から採用している繊維強化プラスチック(FRP)の船体を持ち、
このため「えのしま」以前の木製よりも寿命が15年から30年と飛躍的に伸びました。
船体の大きさも掃海「艇」である「えのしま」より大きな掃海「艦」ですから、
これは現在日本における、唯一かつ最大の掃海艦になる予定です。
 

「あわじ」が今までの掃海艇・掃海艦と違うところは、変深度式機雷探知機を搭載したこと。
これによって、さらに深度の深いところでの掃海作業が可能となりました。
まだ就役しておらず、搭載掃海装置の詳細は分かりませんが、
深深度系維機雷掃海装置や改良型の機雷処分具が装備されることになっています。

そして何と言っても強みは衛星システムともデータリンクできるということ。
機雷や船舶のいっそう精密な位置情報の把握も可能となってくるということです。

「あわじ」の就役は平成29年3月の予定。
今回、掃海隊の訓練から帰ってきてすぐ目に止まった記事だけに、
こういうのも引き寄せの法則みたいなものかとちょっと嬉しかった次第です。

さて、掃海母艦艦内ツァーの続きを始めます。



大型の自衛艦は、このように予備の居室を幾つかそなえています。
使われていないので見せてもらった士官用の二人部屋。

ロッカーを中心にライティングデスク、小物入れ、ベッド下の衣類収納引き出し、
そしてベッド脇のカーテンは、上下に分かれていてお互いに配慮しなくとも
開け閉めすることができるようになっています。

ロッカーの上にさりげなく洗面器が置いてありますが、これは、
おそらくあまり船に慣れていない自衛官が乗り込んで、
気分が悪くなってしまった時に活用するものではないかと思われます。

陸自の人ならともかく、海自の自衛官ならそんなことはないだろうって?
いや、あるらしいですよ。
若い時に艦隊勤務でも、偉くなったりして陸に上がりしばらくたてば、
たまに乗艦すると辛い人もいるのだそうです。



艦長室。
掃海母艦の艦長は2佐です。

この後実は、今から上陸でお出かけ、という艦長とすれ違い、ご挨拶をしました。

「お世話になっております」

「すみません、今日は宴会で」

いや、わたしごときにお謝りになることなどないのです艦長。
この日入稿が大幅に当初の予定から遅れ、なんと上陸が10時からになったのですが、
もしかしたら艦長のおっしゃる宴会って、もうとっくに始まってたりするのかしら?
だとしたら、一刻も早く、急いでお出かけください。

ところが、挨拶をして姿を消した艦長と、その直後またお会いしました。


「忘れ物をしました」

艦長、早く行かないと、お酒を飲む時間が・・・






さて、ここ、なんの扉だと思います?
私の記憶に間違いがなければですが(間違ってたらすみません)、
確かここはCIC、コンバットインフォメーションセンターすなわち戦闘指揮所

どの艦でもそうですが、内部は一切写真撮影禁止です。
でも、本日は副長による特別大サービスツァーなので、(たぶん)中を
ちらっ!と見せていただきました。
どれくらいちらっとかというと、網膜に残像も残らないくらいです。

次の日の「えのしま」のCICでも同じで、やはり瞬間公開でしたが、
「えのしま」では、CICのドアの外側に「携帯置き場」が設けられており、
乗員が携帯を持ち込みをすることも禁止されているようでした。


なかで使用しないためということもありますが、それより何かのはずみで
内部の写真が流出する危険性の考慮ではないでしょうか。



最近、SNSに絡んだ社会的な問題が頻発しました。

セキュリティ会社の幹部が、職務上、手に入れることのできる個人情報を、
自分の思想と違うということを理由に、個人的な
「懲罰」と称してばらまいたことで、
自分が逆に個人特定され、ついでに
恥ずかしい過去の発言も全て世間にばらまかれたり、
また、新聞社の幹部が匿名で
凄まじいヘイト発言と暴言を繰り返していたのがばれ、
それが理由で職を追われたりしたというものですが、
これらの一連の騒動で、
SNSというものは実は「匿名」ではないということに、
多くの人が気づくこととなりました。

匿名で暴言や脅迫をエスカレートさせて墜ちるところまで落とされたのは、
彼らがSNSの本当の怖さを知らなかったためということができますが、
匿名どころか実名に近い状態で、迂闊に思ったことをつぶやく人は世間に多勢います。

たいていが他愛もないことでとどまっていますが、なかには問題発言だったり、
犯罪自慢だったりして、これが「世間」の目に止まり、「炎上」すると
騒がれて職を失ったり学校にばれたりして「自爆」してしまうのです。

「雉も鳴かずば撃たれまい」ではありませんが、余計なことをつぶやいたがため、
社会的に自殺する羽目になることから、ツィッターのことを別名
「バカッター」と呼んだりするのは言い得て妙というものかもしれません。



さて、我らが自衛隊では、護衛艦の副長という人が、望遠鏡を通して撮った潜水艦の写真を
ボカシなしで背景もいれてFacebookにあげたり、艦長となってからもフォロワーの質問に
詳しすぎる(というか自衛官として守秘義務の範疇に当たる)自衛隊装備の説明をして、
ちょっとした問題になったことがあったようです。

わたしもこういう自衛隊の「潜入記」をアップするにあたって、
そこまでいかずとも、あまり世間に公表しないほうが望ましいのではないかと
思われることは、現場で「写真を撮っていいか と必ず確かめることにしていますし、
同行のミカさんも、この艦内ツァーの途中、何度か

「この話はブログなどに書いてもいいですか」

と確認していました。
それでいうと、アウトなのは、艦の性能を表す数字でしょうか。


ところで、わたしはこの自衛官SNS事件を知ることになった
あるニュースサイトの記事に、例によって
大変な違和感を覚えました。

「SNSで防衛機密を垂れ流すトンデモ艦長が野放し」

というタイトルで、くだんの自衛官の「トンデモ」の数々を記事として論っているのですが、
まず、問題になったSNSの潜水艦の写真を記事上にバッチリ掲載しているのです。
いやだから、おたくの記事によると、その写真は後ろに写っている景色で
どこか特定できるからまずかったんじゃ・・・。

それだけではなく、自衛官がその護衛艦の機能についてフォロワーの質問に答えたという
その内容をすべて事細かに掲載し、はてはビーチングの具体的な距離や、ご丁寧にも
それがなぜまずいかなども縷々書き連ねております。
「問題だ、問題だ」

と言いながら、記事上においてその機密とされるものを世間に改めてばらまいているのです。

テロ組織などを想定すれば決して漏らされるべきではない情報である、と言いながら、
同じ紙面でその内容をここまで詳しく書き連ねるというのはおかしくないか?


最後まで読むと、どうもこのメディアは、トンデモ艦長の情報漏洩より、
この艦長を厳しく処分しなかった(つまり”野放し”にした)自衛隊に怒っているのです。

自衛隊がこの幹部をはっきりと処罰しなかったのは、もしそうすると

「どういったことが職務上問題になったか」

を明らかにしなければならず、つまりそのことによって
何が機密で何がまずいことだったのか公になってしまうから、という
自衛隊側の
「大人の事情」も一応わかっているようなのに、です。

そして、この記事はこの「甘い処分」が、下の自衛官の

「あれだけ漏洩してもあんな軽い処分で済んだのだから」

という甘えと同様の不祥事の再発を招く、ともっともらしく嘆いております。

しかしこの媒体が自衛隊という組織を見る目は、例えばこの艦長が、

◯◯艦長というFacebookでのHNを上層部から禁じられたあと、

その表記を「Japan NAVY◯◯CAPT」と英語ながらも
"日本海軍"と改める暴走ぶりをみせた。

とヒステリックに糾弾していることをみても、明らかに「偏っている」と思われます。
暴走も何も、世界的には海上自衛隊は「ネイビー」と認識されてると思うんですが。

だいたいネイビーという言葉くらいで発狂すんじゃねー!

(とブログ「ネイ恋」のブログ主は思うのだった)

だいたいこの記事に出てくる「元海上自衛隊幹部」だって、ペラペラと
内部情報を喋りまくっているようだけど、本当にこんなこといったのかな?
ってか、本当に「元幹部」とやらに取材をしたんでしょうか?



とはいえ、実名で「どこそこ艦の何々(役職)はあまり出来が良くなくて」

みたいな上司の評定をそのままSNSで垂れ流してしまうこの幹部に、釈明の余地はありません。
自衛官という以前に、「社会人として」かなり問題がある人物といえましょう。


得てしていい年をしてSNSデビューした人ほど、加減がわからずに自爆してしまう、
というのは例の暴力的反政府団体のお爺ちゃまたちの自滅で証明されたばかりですが、
この幹部も、承認欲求がSNSという新しいツールを得て暴走したといったところでしょうか。

とにかく、自衛官は、鵜の目鷹の目で自衛隊の落ち度をあげつらい、
非難するチャンスを狙っている
この記者のような人種がいる限り、
SNSの危険性を一般人より肝に銘じておくべきなのかもしれません。







ドアの貼り紙に大変感銘を受けたので、もう一度拡大してみました。
これは・・・・公開しても大丈夫ですよね?



つづく。

注:本日の掃海母艦の写真と後半の内容は全く関係ありません。