「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

放射線小咄 ~ キュリー夫人生誕150年

2017-11-07 | 2017年イベント
ポーランド生まれのフランス放射線研究者マリー・キュリー(Maria Skłodowska-Curie)は1867年11月7日にポーランドのワルシャワに生まれました。ノーベル賞を2度受賞した「キュリー夫人」の輝かしい業績については今更語るまでもありませんが、1895年のX線発見以降の放射線研究黎明期における偉人ですね。今日は彼女が産まれてから150年目でした。

マリーの生涯については、すでに優れた著作が数多くあり、とくに次女のエーブ・キュリー(Ève Denise Curie)による伝記が知られています。彼女の人生はラジウム精製などに成功して研究者として栄光を極めた一方、ロシア帝国統治下ポーランド出身の苦境、男尊女卑の科学界での苦闘など様々な葛藤を抱えたものでした。1898年にキュリー夫妻が見出した新元素はPoloniumu(元素番号84)と名付けられましたが、彼女はどのような感慨を以て故国を元素の名前の中に永遠に残そうとしたのでしょうか。

彼女の医療に関する貢献としては、とくに第一次世界大戦中に数多くのフランス人兵士を救ったと言われる移動式X線撮影装置の開発が知られています(彼女を讃えてリトル・キュリーズLittle Curriesと呼ばれたそうです)。その後も、放射線の医療応用に関する研究を続け、今日の放射線医学に大きく貢献をしました。