「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

時間は流れ、季節は廻る

2018-04-20 | 雑記
いきなり夏が来たような陽気な日々が続いています。
ここ数日は日中20℃くらいまで気温も上がり、春の順番を飛ばして、まるでもう夏になったかのようです。大学の知人も「Beautiful day for Belfast(ベルファストにしては素晴らしい日ね)」と喜んでいました。彼女は学会へ参加するために来週にハワイへ旅立つので、もはや気分はすっかりアメリカンな感じなのでしょう、「北アイルランドはいつも雨ばかりだけど、ここ最近は良い天気ね」とのこと。
季節に遅れまいと慌てて開くように、桜も咲き始めています。
ふと日の長さを感じる今日この頃です。

時間は流れるものであり、季節は廻るものです。
首都圏で生まれ育った私ですが、祖父母の家が比較的のどかな場所にあったこともあり、子供の頃から日本的な時生観に親しむというのでしょうか。春夏秋冬の四季が繰り返ように、時の流れについて「回転している」ようなイメージを心のどこかに持っています。春、夏、秋、冬が過ぎて、また春が来ることを常に期待しているような面があります。つまり、始まりがなく、終わりがない感じです。
しかし、これは西欧の方々には珍しい認識のようでして、彼らは時間の流れというものを一方的なものであると感じるようです。不可逆的なのですね。つまり、どこかに始まりがあって、どこかに終わりがあります。聖書曰く、神が世界を創造し、いつか最後の審判があるわけです。

野球のイチロー選手は、今年は古巣マリナーズになんとか拾ってもらいましたが、やはりというべきなのでしょうか、打撃の成績はふるわないようです。強気に「50歳以上現役でやりたい」と宣言してみせても、それはまるで私が「ノーベル賞を獲りたい」というようなもので、言うのは勝手ですが現実はたいへん厳しいものがあります。将棋の羽生善治棋士も、現在100期目をかけて将棋界の最高峰である名人戦で戦っていますが、初戦は制したものの次戦は敗北してしまいました。その勝負の内容としては、やはり若き名人にはかなわないのかもしれないと、おそれを感じさせられる面があります。
彼らは間違いなく太陽でした。
一つの時代を築いた人たちでした。
しかし、その太陽が今まさに沈みゆこうとしています。そのまま沈んでしまうのか、それとも波が押しては返すように、また盛り返すことがあるのか。

40歳代が第一線級で戦うことが難しい分野でありながら、それでも彼らは今も足掻いています。

一方向に時間が流れる西洋の方々ならば、こう言うでしょう。
「太陽は西に沈み、次の太陽が東から昇るだろう」と。
しかし、季節が廻る感覚を持つ私は思うのです。
「いずれ不調を脱して、また好調が来る」と。

イチローも、羽生さんも、なんとか踏みとどまって欲しいと個人的には思います。それが時計の針を逆に回すような、つまり奇跡と呼ばれるものだとしても。