明日を見る放射線治療医から

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官邸発表のデータおかしい

2011-04-17 15:27:42 | 経済と政治の課題と提言
官邸発表です
チェルノブイリ事故との比較
http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka_g3.html

内容に誤りがあるので官報から削除される可能性がありますので全文引用します。
以下黒字引用が会わないときは、web魚拓があるでしょう。

チェルノブイリ事故での血液腫瘍リスクについては以下の論文があります。
Risk of hematological malignancies among Chernobyl liquidators
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2904977/pdf/nihms215596.pdf
血液悪性腫瘍について、たくさんのことが述べられていますが,
余剰発癌について
The Excess Relative Risk (ERR) per 100 mGy was 0.60
とあります。つまり発ガンのリスクが100mSvで60%アップします。

なお、この論文は、ときどき報道で目にする”100mSvで血液の癌が増えはじめる”という記事の根拠のひとつです。
この論文ではオッズ(OR)は200mSv以上で有意に増加と書いています。
基本的にオッズ(リスクのおおきさ)は連続的に増加します。

官報を擁護するわけではないのですが(Chernobyl の理解は半可)、
官報でいいたいのは、(同じレベル7でも)、福島のは軽くてすんだ、安全だよということだ、のようです。

科学者であれば、測定データを元に、学問的に比較し、検証せよといって欲しかったです。とても残念です。







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チェルノブイリ事故との比較
平成23年4月15日


チェルノブイリ事故の健康に対する影響は、20年目にWHO, IAEAなど8つの国際機関と被害を受けた3共和国が合同で発表し、25年目の今年は国連科学委員会がまとめを発表した。これらの国際機関の発表と福島原発事故を比較する。


原発内で被ばくした方
*チェルノブイリでは、134名の急性放射線傷害が確認され、3週間以内に28名が亡くなっている。その後現在までに19名が亡くなっているが、放射線被ばくとの関係は認められない。
*福島では、原発作業者に急性放射線傷害はゼロ、あるいは、足の皮膚障害が1名。


事故後、清掃作業に従事した方
*チェルノブイリでは、24万人の被ばく線量は平均100ミリシーベルトで、健康に影響はなかった。
*福島では、この部分はまだ該当者なし。


周辺住民
*チェルノブイリでは、高線量汚染地の27万人は50ミリシーベルト以上、低線量汚染地の500万人は10~20ミリシーベルトの被ばく線量と計算されているが、健康には影響は認められない。例外は小児の甲状腺がんで、汚染された牛乳を無制限に飲用した子供の中で6000人が手術を受け、現在までに15名が亡くなっている。福島の牛乳に関しては、暫定基準300(乳児は100)ベクレル/キログラムを守って、100ベクレル/キログラムを超える牛乳は流通していないので、問題ない。

*福島の周辺住民の現在の被ばく線量は、20ミリシーベルト以下になっているので、放射線の影響は起こらない。

一般論としてIAEAは、「レベル7の放射能漏出があると、広範囲で確率的影響(発がん)のリスクが高まり、確定的影響(身体的障害)も起こり得る」としているが、各論を具体的に検証してみると、上記の通りで福島とチェルノブイリの差異は明らかである。

長瀧重信 長崎大学名誉教授
    (元(財)放射線影響研究所理事長、国際被ばく医療協会名誉会長)
佐々木康人(社)日本アイソトープ協会 常務理事
     (前 放射線医学総合研究所 理事長)

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