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『ラ・カージュ・オ・フォール〜籠の中の道化たち』

2018-03-13 22:31:40 | ミュージカル・舞台

今日は日中ずいぶん温かく、薄着にスプリングコートでも汗ばむくらいでした。

さて、本日は日生劇場にてミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール〜籠の中の道化たち』を観て来ました、

東宝ステージ『ラ・カージュ・オ・フォール〜籠の中の道化たち』公式サイト

日本初演は1985年。主演が市村正親&鹿賀丈史コンビとなってからも10周年4度目という歴史ある演目ですが、自分は前回の2015年が初見でした。

南仏サントロペの人気ゲイクラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」。夜ごと繰り広げられる賑やかなショーの看板スター「ザザ」ことアルバン(市村)とオーナーのジョルジュ(鹿賀)は20年来、実質的な夫婦として生活も共にしてきた。最近ちょっと倦怠気味の二人を或る日とんでもない騒動が見舞う。旅行から帰った息子のジャン・ミッシェルが、旅先で知り合った少女アンヌと結婚すると宣言したのだ。
ジャン・ミッシェルはジョルジュと或る女性との間に生まれた実子。育児放棄した実の母親に代わり、アルバンが「母」となって手塩にかけて育てた大事な一人息子だ。しかし、婚約者アンヌの父親は有名な保守派議員で、ゲイクラブを目の敵にしていた。両家顔合わせに際し、アルバンを排除しようとするジャン・ミッシェル。そんな息子や事態を穏便に流そうとするジョルジュの言葉に傷つきながらもアルバンが取った奇策とは──

ひとことで言えば、泣いて笑って目いっぱい拍手して、「あー楽しかった!」と幸せな気持ちで劇場を後にできる作品です。
設定は特異でも、そこに描かれているのは普遍的な夫婦や親子の情愛です。母の愛はわかっていながら疎ましく思う息子。そのことに傷つきつつもなお息子のためを思って行動する母親。頼りないように見えて、しっかり妻を愛している夫──皆どこかしら誰かしら覚えのある人間像や感情の動きがしっかり描かれていることが、共感や感動を呼ぶのだと思います。
もちろんそれだけでなく、ミュージカルとしても、楽しいナンバーやしっとりしたメロディ、華やかでダイナミックなダンス等、見どころ聴きどころ満載。オープニングのレビューなど客席にいる自分たちも、クラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」のお客となったように楽しめます。観る側も既にこの作品をよく知っている人が多いのか、拍手のタイミングや手拍子の入れ方など、舞台と客席の一体感が濃厚でした。指揮者・塩田マエストロのノセ方もまた巧いんですよね
ロマンチックな「砂に刻む歌」、ジャン・ミッシェルの仕打ちに対して、アルバンがどれほど「母」として彼を愛し、尽くしてきたかをジョルジュが切々と歌う「見てごらん」、ジャクリーンの店で皆が歌い踊る「今この時」──どれも名曲揃いです。
そして「ありのままの私」。曲自体はクラブのショーナンバーとしてオープニングから歌われていますが、一幕最後でのザザ=アルバンの絶唱にはやはり胸打たれます。愛する人たちに貶められ、恥ずべき存在のように扱われ、傷つき、それでも気高く「これがわたし」だと歌い上げるザザ。怒りや悲しみ、それに屈しない強い愛情、そして誇りなど、様々な感情が観る側にも伝わり、何のためか判別できない涙が溢れてきました。
話題の映画『グレイテスト・ショーマン』屈指の名曲「This Is Me」も、これにインスパイアされたのではないか?と、ひそかに思っております。

でも、そこでブチ切れても、やはりジャン・ミッシェルのために、望まぬ条件やアイデアも受け入れようとするのがアルバンなんですよね。その「母」としての愛も含めての「これがわたし」なのでしょうか。それだけに、終盤に到るまでのジャン・ミッシェルの言動には今回も憤りを覚えました。しかし、その終盤で泣かせてくれるのもまたジャン・ミッシェルなのです。「見てごらん」リプライズでは、周りからもすすり泣きの声が聞こえました。

そうは言っても、基本は楽しいロマンチックコメディ。ジョルジュ&アルバンには、2015年も「どこが倦怠期だ。しっかりラブラブじゃないか」と思ったものですが、前回がしっとりした熟年夫婦なら、今回はラブラブ(バ)カップルでした
全体としても、前回よりドタバタコメディ色が強くなったように感じましたが、それには理由があるのかもしれまえん。
今だから言いますが、実は2015年公演では鹿賀さんの台詞回しがかなり怪しく、呂律が回っていないようにさえ聞こえたので、今年もどうなることかと心配していたのです。が、それは杞憂に終わりました。今回は台詞も明瞭、歌も素敵な溌剌ジョルジュさんでした。
実際2014〜15年頃は健康状態があまり良くなかったのですよね。胃がん手術からの復帰間もない市村さんともに万全の状態ではなかったがために、動きも演技も控えめだったのでしょうか。それゆえの熟年カップル感だったのかもしれませんが、それはそれで美しかったです。
今年はお二人とも絶好調のはっちゃけっぷりでした。堅物ダンドン議員役の今井清隆さんが、笑いをこらえているのが判るくらい いや、お元気そうで何よりです。前回は、そろそろ若い世代に交代した方がいいのではないか、せめてダブルキャストに……などと思ったものですが、この調子ならまだまだ行けそうですね。

ともあれ、素直に「観て良かった」「楽しかった」と言える幸福な作品で、観ているこちらも元気になれます。まだご覧になっていないかたも是非!

余談をひとつ。一幕のザザ様オンステージは客席降りありアドリブありの楽しいシーンなのですが、ここで市村さんが「観る天国、演る地獄」という言葉を口にされました。これ、劇団四季前代表、浅利慶太さんの名言ですよね。石丸幹二さんも「四季ではそう言われた」と、よく話題にしています。四季出身のスターさんたちに浅利先生の教えはしっかり根づいているんだなあ……と、しばし感慨にふけってしまいました。
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