スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

読書三昧 (30) Osho 著 『 究極の旅 』

2016年08月16日 | 雑感
バグワン・シュリ・ラジニーシ(1931- 1990)の著書 『究極の旅』 (禅の十牛図を語る) を読んでみた。

欧米で再評価され、再びベストセラーとなっている名著のようだ。 
(十牛図とは、禅の悟りにいたる道筋を牛を主題とした十枚の絵で表したもの) 

Osho とも呼ばれるインドの神秘思想家の講話集のひとつだが、なんともその題材の豊富なことに驚愕する。
 
仏典・禅の逸話・インド瞑想や詩文ウシャニパッド・老子や荘士・スーフィー物語・イエスの言行・イスラムの秘話
・チベットの奥伝・ニーチエなどにも及ぶ。 

牛を真の自己にたとえ、その自己を探す旅にでる。  さてその行きつく先は。

       
    (この表紙とは異なる1978年の初版本で読んでみた) 

【一】 尋牛 ≪ 牛 の 探 索 ≫ 冒頭 こんな意味の漢詩で始まる。

    この世の草原に  
      私は牛を尋ね  
       果てしなく、高い草を書く分ける

     名もない川に従い  
       遥かな山々の入り組んだ路に迷う   

      力尽き元気も涸れ  
        求める牛は見つからない

        聞こえるのはただ  
          夜の森に鳴く蝉の声ばかり


 『 我々はみな 白と黒で考えがちだ。 善と悪 夜と昼 神と悪魔 ・・・ 。
   全生命はカラフルだ カラーで考えなさい 白黒で考えてはいけない。』

 『 自我というのは あなたがたが自分について他人から集めた意見全部の総計だ。
   自我はつねに問題をかかえている。』

 『 あなた方は神ご自身の姿に似せて創られた。 それなのになおかつ彼らは完璧になれ!
   と教え続けている。  この馬鹿馬鹿しさは、あいた口がふさがらない。
   神は不完全に違いない。』

 『「 私は誰か? 」 というのを誰かに聞くなんてなんと愚かなことだろう。
    どこの誰にそれが答えられる?
    内に入っていきなさい。 それが牛の探索だ。』


などと なるほど・ザ・ワードが続く。  とにかくインドの思想は深淵だ。 

十牛図は12世紀の中国・廓庵禅士が描いたらしいが、もともと禅もインドが発祥。 
宇宙不変の原理やら、人間のもつ「因果応報」、ヴェーダなどの宗教哲学の奥儀書等もみなそうだ。
 

とても手に負えるしろものではないと自覚せざるを得ないが、生きるとは、死ぬるとは、宗教とは、
争うとは、誰しもが考える領域でもあるのも事実。

結構面白く読ませていただいた。

最後にこう締めくくっている。

 『 もし あなたが不幸であれば  あなたは不幸な世界に生きる。 

    もし あなたが悟っていれば  あなたは悟った世界に生きる。

     もし あなたのエネルギーが  内部で祝っていれば  全体がお祝いの交響曲となる。

      あなたが世界なのだ。    enough for today ?  』