スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

ひょっとこ・スーさん

2016年06月04日 | 雑感
ひょっとこ(火男)とおかめ(お多福)。 現代ではひょうきんと美人顔?で祝い・縁起物の代表格だ。

古代東国に、製鉄するのに自然送風による火力を少しでも強める為、息を吹きかける ≪ひょっとこ≫
と呼ばれる原住民・火吹き男がいたという。


ほっぺたをふくらませ口を尖らすひょっとこは、火勢を避ける為片目をつぶり一方の目は
開けておかなければならず、その為片目を損なってしまったのだそうだ。


         

その ≪ひょっとこ≫ は、西国のふいごを駆使する製鉄族の前に組み伏せられて奴隷となり、
以後その妻にも ≪おかめ≫ との名をつけ、蔑みと嘲笑の対象として侮辱したのがその由来のようだ。


そんな風に考えれば 歴史を乗り越えて明るく振る舞う ≪おかめとひょっとこ≫ って
偉いもんだなぁ・・なんて つい思ってしまいます。


実はこの話、スーさんこと三國連太郎の書いた本、法然と親鸞・その時代を描いた『白い道』(全三巻)
の中で初めて知ったものでした。 1000ページにもなる大河歴史小説、ようやく読み終えたところです。
 

この本は本人も語っていたように、インド放浪旅後一念発起し書かれたもの、と当ブログで紹介しました
が、なんのなんの。  一念発起しただけでは到底書けないほどの凄まじい力作であった。 

抜粋・取り上げた古文書をざっと挙げても・・・。
≪日本書記≫≪古事記≫≪続日本記≫≪源平盛衰記≫≪高倉院厳島御幸記≫≪三長記≫
≪左経記≫≪御堂関白記≫≪山塊記≫≪白練記≫≪玉葉≫≪往生要集≫≪浄土三部経≫
≪教行信証≫≪歎異抄≫≪愚管抄≫≪沙石集≫≪吾妻鏡≫≪明月記≫≪元亨釈記≫
≪選拓本願念仏集≫≪観経疏散善義≫に加え、医学書≪病源論≫等々挙げればきりがない。


きっとライフワークとしてきたのでしょう。 その鬼気迫る探究心・反差別・反骨心には恐れ入る。 

平安・鎌倉時代の歴史を観るには最高の一冊。 
法然・親鸞の念仏宗への迫害の背景、≪七カ条起請文≫に関する真偽、読みどころ満載でした。


宇都宮直子(ノンフィクションライター)の著書 ≪ 別れの何が悲しいのですかと三國連太郎は言った ≫
という本もあるという。  是非上述の核心に迫ってみたいものである。 無理かな?