スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

日本の美 ② (叙情歌)

2015年06月07日 | 雑感
前回のブログ・日本の美(叙情絵)で、画家・加藤まさをが ≪月の沙漠≫ の作詩もしていることを知りました。

相変わらずの <あっちに行ったりこっちに来たりの我が好奇心> には我ながら歯止めが効かず。
いま叙情歌 <童謡> にその心が来てしまいました。   笑っておくんなせぇ!


『日本百名歌』童謡・唱歌(主婦の友社)を読んだら、なんと95も知っている歌があるではないですか。

歳のせいでは無いと強がり言っても始まらないが、子供の頃の記憶って侮れませんね。

 ≪ 北原白秋 ≫

   ● 雨         (雨がふります雨がふる♪)
   ● 雨降り      (あめあめふれふれ母さんが♪)
   ● ゆりかごのうた (ゆりかごのうたをカナリヤが歌うよ♪)
   ● 砂山       (海は荒海向こうは佐渡よ♪)
   ● この道      (この道はいつか来た道♪)
   ● ペチカ      (雪の降る夜はたのしいペチカ♪)
   ● 城ヶ島の雨   (雨は降る降る城ヶ島の磯に♪)
   ● ちゃっきり節   (民謡・唄はちゃっきり節 男は次郎長♪)
                                  他多数あり。
なかなかいい歌ばかり。

   
  北原白秋(1885~1942)     本人曰く「この童謡は私の童謡の本源となるべきものだ」(赤い鳥小鳥)

驚くことに、そんな純粋な童謡を創っておりながら、白秋にはこんなナチス・ヒットラーを讃える歌もあるのです。
(ご時世ながら結構軍歌も作り作らされていたようです)

  ≪万歳ヒットラ・ユーゲント≫
     燦たり、輝く
      ハーケン クロイッ
       ようこそ遥々、西なる盟友、
        いざ今見えん、朝日に迎へて
         我等ぞ東亜の青年日本。
       万歳、ヒットラ・ユーゲント
        万歳、ナチス。


晩年は国粋主義に傾いていったようですが、人間の成せる業ってなんとも不思議に感じます。

白秋の詩集や短歌も読んでみましたが、難解で到底私などには手の届かない詩歌ばかりでした。
<赤い鳥小鳥>などもきっと大人にまで夢を託す白秋の深淵なる思いが秘められているのかも知れませんね。

童謡では、野口雨情や西条八十などもいい詩を書いてます。 

野口雨情に≪しゃぼん玉≫という童謡があります。

   しゃぼん玉 とんだ 屋根までとんだ 屋根までとんで こわれて消えた ♪
      しゃぼん玉 消えた とばずに消えた うまれてすぐに こわれて消えた ♪
          風 風 吹くな  しゃぼん玉 とばそ ♪


雨情が、二歳で亡くした子供を歌っているとか、当時子供の間引きも行われていたことへの情念とか、
いろんな説があるそうですが、そう思うと童謡もなかなか凄いものがありますね。



ちなみに ≪おもちゃのチャチャチャ≫

    おもちゃのチャチャチャ おもちゃのチャチャチャ チャチャチャ おもちゃのチャチャチャ ♪
       空にキラキラお星さま みんなスヤスヤ眠るころ~ ♪


これってあの「エロ事師たち」「火垂るの墓」作家・野坂昭如が原詩なのだそうですよ。

いま『日本童謡事典』なる本に首ったけの自分に、しばしの安らぎをお与えください。 それでは よいお年を。