≪渥美さん≫ ≪渥美さんパートⅡ≫に続く パートⅢです。
渥美さんの俳句(俳号・風天)をもっと知りたくて、森 英介著 『 風天 渥美清のうた 』 という本を読んでみた。
渥美さん(通称・風天句)の220句すべてが網羅されていた。
いい句ばかりですが、うち42句を抜いてみました。
≪ 勝手にスノーマン選ベスト10から ≫
○ 花冷えや我が内と外に君が居て
○ お遍路が一列に行く虹の中
○ 雲のゆく萩のこぼれて道祖神
○ ゆうべの台風どこに居たちょうちょ
○ 村の子がくれた林檎ひとつ旅いそぐ
○ 流れ星ひとり指さし静かなり
○ 花道に降る春雨や音もなく
○ 好きだから強くぶつけた雪合戦
○ 赤とんぼじっとしたまま明日どうする
○ そば食らう歯のない婆(ひと)や夜の駅
○ ただひとり風の音聞く大晦日
○ いつも何か探しているようだナひばり
○ 土筆(つくしんぼ)これからどうするひとりぽつんと
○ 初めての煙草覚えし隅田川
○ がばがばと音おそろしき鯉のぼり
○ ポトリと言ったような気する毛虫かな
○ 髪洗うわきの下や月明かり
○ うつり香の浴衣まるめてそのままに
○ うつり香のままぬぎすてし浴衣かな
○ うつり香のひみつ知ってる春の闇
○ 山吹キイロひまわりキイロたくわんキイロで生きるたのしさ
○ 梅酒すすめられて坊主ふふくそう
○ ひばり突き刺さるように麦のなか
○ 蓋あけたような天で九月かな
○ あと少しなのに本閉じる花冷え
○ ベースボール遠く見ている野菊かな
○ 月踏んで三番目まで歌う帰り道
○ すだれ打つ夕立聞くや老いし猫
○ いわせれば文句ありそなせんべい布団
○ おふくろ見に来きてるビリになりたくない白い靴
○ 肌寒く母かえらぬろ路に立つ
○ ようだい悪くなり苺まくらもと
○ ヘアーにあわたててみるひるの銭湯
○ 冬めいてションベンの湯気ほかりと
○ 立小便する気も失せる冬木立
○ 渡り鳥なにを話しどこへ行く
○ 背のびして大声あげて虹を呼ぶ
○ うなだれし柳と佇む新内流し
○ 打ち水をまつようにセミの鳴き
○ ちっちゃくて一匹で居る赤金魚
○ 雨蛙木々の涙を仰ぎ見る
○ 名月に雨戸とざして凶作の村
旅の句・悲哀の句・艶っぽい句・ふっと吹き出しそうな句。 風天句は それにしても 実にいい句ばかり。
尾崎方哉のほかに、方哉の弟弟子・種田山頭火への想い入れも強かった渥美さん。
(山頭火は放哉が亡くなった3日後に行乞流転の旅に出たという)
友人でもある脚本家早坂暁さんのTVドラマで山頭火役を主演することになっていた。
ロケ開始の一週間前、渥美さんから『暁さん、寅が山頭火になったらみんなが笑わないかねえ』と言ってきた。
懸命に説得したが渥美の意志が変わらず、TVドラマからおりてしまい、NHKは急遽フランキー堺を代役に。
そんないきさつもあったようです。 いろいろ葛藤があったのでしょう。
いやあ、方哉もしかりですが、渥美さんの山頭火も観たかったなあ!
また、渥美さんはお遍路に強い興味を持っていたとのこと。
(写真インターネット借用) 夕焼けは夜の虹かな?
幻の第四十九作は高知お遍路を舞台に、タイトルは≪寅次郎花へんろ≫に決まっていた。
渥美さんと山田監督はそのストーリーまで結構論議していたようです。
マドンナは田中裕子ゲストは西田敏行の予定だったとのこと。
○ お遍路が一列に行く虹の中
著者はこう記していた。
『なぜここまでにお遍路に強い関心を、晩年の心象風景ついての辞世の句であったのかもしれない』と。
(この句は死後、俳人・金子兜太(とうた)・稲畑汀子など錚々たる面々が監修・俳句のバイブルともいわれる
『新日本大歳時記』に掲載されたことでも知られる)
きっと 星めぐりの旅をしていることでしょう。
昔、とある映画館の階段でばったり。握手を求めたら”あ~どうも”と言って丁寧にしてくれました。
あの時の柔らかな手。 今でも忘れられません。
ぜひ またお会いしたいものです。 銀河のむこうで そう遠くないうちに(笑)!
渥美さんの俳句(俳号・風天)をもっと知りたくて、森 英介著 『 風天 渥美清のうた 』 という本を読んでみた。
渥美さん(通称・風天句)の220句すべてが網羅されていた。
いい句ばかりですが、うち42句を抜いてみました。
≪ 勝手にスノーマン選ベスト10から ≫
○ 花冷えや我が内と外に君が居て
○ お遍路が一列に行く虹の中
○ 雲のゆく萩のこぼれて道祖神
○ ゆうべの台風どこに居たちょうちょ
○ 村の子がくれた林檎ひとつ旅いそぐ
○ 流れ星ひとり指さし静かなり
○ 花道に降る春雨や音もなく
○ 好きだから強くぶつけた雪合戦
○ 赤とんぼじっとしたまま明日どうする
○ そば食らう歯のない婆(ひと)や夜の駅
○ ただひとり風の音聞く大晦日
○ いつも何か探しているようだナひばり
○ 土筆(つくしんぼ)これからどうするひとりぽつんと
○ 初めての煙草覚えし隅田川
○ がばがばと音おそろしき鯉のぼり
○ ポトリと言ったような気する毛虫かな
○ 髪洗うわきの下や月明かり
○ うつり香の浴衣まるめてそのままに
○ うつり香のままぬぎすてし浴衣かな
○ うつり香のひみつ知ってる春の闇
○ 山吹キイロひまわりキイロたくわんキイロで生きるたのしさ
○ 梅酒すすめられて坊主ふふくそう
○ ひばり突き刺さるように麦のなか
○ 蓋あけたような天で九月かな
○ あと少しなのに本閉じる花冷え
○ ベースボール遠く見ている野菊かな
○ 月踏んで三番目まで歌う帰り道
○ すだれ打つ夕立聞くや老いし猫
○ いわせれば文句ありそなせんべい布団
○ おふくろ見に来きてるビリになりたくない白い靴
○ 肌寒く母かえらぬろ路に立つ
○ ようだい悪くなり苺まくらもと
○ ヘアーにあわたててみるひるの銭湯
○ 冬めいてションベンの湯気ほかりと
○ 立小便する気も失せる冬木立
○ 渡り鳥なにを話しどこへ行く
○ 背のびして大声あげて虹を呼ぶ
○ うなだれし柳と佇む新内流し
○ 打ち水をまつようにセミの鳴き
○ ちっちゃくて一匹で居る赤金魚
○ 雨蛙木々の涙を仰ぎ見る
○ 名月に雨戸とざして凶作の村
旅の句・悲哀の句・艶っぽい句・ふっと吹き出しそうな句。 風天句は それにしても 実にいい句ばかり。
尾崎方哉のほかに、方哉の弟弟子・種田山頭火への想い入れも強かった渥美さん。
(山頭火は放哉が亡くなった3日後に行乞流転の旅に出たという)
友人でもある脚本家早坂暁さんのTVドラマで山頭火役を主演することになっていた。
ロケ開始の一週間前、渥美さんから『暁さん、寅が山頭火になったらみんなが笑わないかねえ』と言ってきた。
懸命に説得したが渥美の意志が変わらず、TVドラマからおりてしまい、NHKは急遽フランキー堺を代役に。
そんないきさつもあったようです。 いろいろ葛藤があったのでしょう。
いやあ、方哉もしかりですが、渥美さんの山頭火も観たかったなあ!
また、渥美さんはお遍路に強い興味を持っていたとのこと。
(写真インターネット借用) 夕焼けは夜の虹かな?
幻の第四十九作は高知お遍路を舞台に、タイトルは≪寅次郎花へんろ≫に決まっていた。
渥美さんと山田監督はそのストーリーまで結構論議していたようです。
マドンナは田中裕子ゲストは西田敏行の予定だったとのこと。
○ お遍路が一列に行く虹の中
著者はこう記していた。
『なぜここまでにお遍路に強い関心を、晩年の心象風景ついての辞世の句であったのかもしれない』と。
(この句は死後、俳人・金子兜太(とうた)・稲畑汀子など錚々たる面々が監修・俳句のバイブルともいわれる
『新日本大歳時記』に掲載されたことでも知られる)
きっと 星めぐりの旅をしていることでしょう。
昔、とある映画館の階段でばったり。握手を求めたら”あ~どうも”と言って丁寧にしてくれました。
あの時の柔らかな手。 今でも忘れられません。
ぜひ またお会いしたいものです。 銀河のむこうで そう遠くないうちに(笑)!