スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

長岡さん

2014年03月25日 | 雑感
本を読むにあたり、「 いいなあと思う一節 」 がひとつでもあれば、それで満足することにしている。

読んでいて雰囲気というか、あっこの本には、、そう思うと、その一節を必死で探す自分がいる。 
『雰囲気』と『ひとつの文章』以外、多くを期待しないのが自分流の読書術と決め込んでいる。 

最近 長岡輝子著『 老いてなお、こころ愉しく美しく 』を読んでみた。 あったかい雰囲気に浸れる。

わけのわからない本や小説もいいが、たまには前回の「渥美さん」や今回のような方の人生を感じられる本も読むようにしている。この本はなんといっても雰囲気がいい。長岡さんが92歳の時に書かれた本であった。

長岡輝子。(1908年 - 2010年) 女優・演出家。 4年前102歳で他界。

舞台・映画・テレビ等で活躍、宮沢賢治の詩を東北弁で朗読し評判となる。
 
最近BSテレビで再放送した『おしん』の奉公先・加賀屋の大奥様役を好演したことでも知られる。 
(東北弁での人柄の滲み出た感動の演技が一躍評判になる)

 <宮沢賢治の詩を味のある東北弁(盛岡弁)で。93歳の朗読>
      雨ニモマケズ(クリック)

 ≪今は亡き父に≫と題する詩の一節  -パリで父の急逝を知りー  長岡輝子

    今朝までは私は向日葵(ひまわり)
    今はしぼんだ朝顔
    父よ! 父よ! 父よ!
    
    向日葵は陽がなければ動かない
    朝顔は絡まずにはのびられない 
    父よ! 父よ! 父よ!

    ーーーーーー
    ------略

    私は人間
    花ではない 
    悲しみも苦しみも来るなら来い
    今までの抱えきれない幸福で
    私はそれを消化して見せよう 


情のある、しかも凛とした姿はやはりどこかが違う。  

亡くなった102歳は、当時の芸能界最高齢であり、いわゆる老衰の大往生だったという。