湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ショスタコーヴィチ:交響曲第15番

2012年10月17日 | ショスタコーヴィチ
○コンドラシン指揮モスクワ・フィル(STATEWORK)1972/9/14放送LIVE

極めて良好な録音。web配信されている。ミュンヘンオリンピックの文化プログラムの一環として演奏されたもので、本国での録音とも違う一種異様な緊張感が感じ取れる。折しもイスラエル選手団が襲撃され多数の死者を出したときでもあり、時代の気色濃い。コンドラシンの洗練されたスタイルはのちのコンセルトヘボウ時代に通じるものがあるが、オケの調子はその時代を上回る。ショスタコ最後のシンフォニー、自虐的な皮肉に満ちた一楽章のオリンピック風味(ウィリアムテルなどの引用)は象徴的な乾いた調子で激しく響く。しかし楽章を追うごとに過去作品の緩徐楽章から14番死者の歌のあの点々とした風景へと尻窄みになる。まるで死。生への皮肉。ソビエトへの皮肉。自分への皮肉。さまざまな想像をかきたてる抽象性の高い演奏だ。軋みも歪みも無い名演。
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