20世紀ウラ・クラシック!<最新版>

このページは、19世紀末から20世紀の末流ロマン派クラシック音楽に焦点を当て、同時代の録音評を中心に紹介しています。

ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲

2016年12月07日 | Weblog
作曲家(P)ベートーヴェン四重奏団(moscow tchaikovsky conservatory)1955/1/20モスクワlive・CD

モノラル、この時代のソヴィエトとしては、レストアもしているんだろうが、中身の詰まったまずまずの録音状態と言えるのではないだろうか。ライヴのせいもあってか楽団の性質の荒々しさが音色にあらわれていて、とくに三楽章は録音もささくれだって耳辛いが、ショスタコーヴィチのピアノは深くはっきりと、一部自作自演録音にみられるもたつきは皆無で、全体としては求心力のある力強いまとまりが印象的である。暗い楽章での悲痛さが生々しく、馬力ある慟哭が聴ける。引用風のフレーズや響きにしても、まったくショスタコーヴィチの暗黒の一部と化している。終楽章も唐突に明るく音楽を笑い飛ばすことはしない。それまでの雰囲気を引きずり、分厚い音のまま軽いシニカルな動きすら意味深く、しかし、ショスタコーヴィチ自身もそれに同調して一貫した深い音を落としていく。ピアノアンサンブルにありがちな、俺が俺がと派手に前に出ようとすることをしない。しかしこの演奏は大部分において一斉にフォルテであり、フィナーレの終末でやっと童心に還るような優しいフレーズに落ちるまで、弱音のニュアンスと対比でしっかり変化をつけることはしていない。そういう意味でも作曲当時の生々しい演奏と言うべきものはある。ここから解釈は深められていくのだ。
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