湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番

2008年09月02日 | 北欧・東欧
○ヤーセク(Vn)ツルノフスキ指揮プラハ交響楽団(PRAGA)

シマノフスキ最晩年の民族的作品だが、弾く人を選ぶ曲だ。ハマらないとイマイチぐずぐずに感じたり、曲自体がわけのわからない印象を残すようになってしまう。技巧的安定はもちろん、民族的表現を加味して積極的に盛り上げを作っていく人でないと難しい。しかも曲は民族的熱狂を包蔵しながら非常に冷たい響きを持っているので、正確な音程感というのも大事である。このソリストはいい。よくわかっている。バックオケも模範的といっていい。余りここまで娯楽的要素を適度に引き出し、曲にした録音というのは無い。単一楽章で主題も限られるためとりとめのない印象を与えかねないが、かなり計算されたように曲想が変化していくのでそこをびしっととらえアクセントを付けていく必要がある。シェリングなど技術的問題もあってここが弱い気もするのだが、この人はしっかり余裕ある技術を背景に明快な表現をとっている。突進するだけの演奏でも曲がもったいないからその点でもこの演奏は真を衝いている。古い録音なので○にはしておくが個人的に理想的。これはCDになっているのだろうか。

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シマノフスキ:交響曲第4番(協奏的交響曲)

2008年09月02日 | 北欧・東欧
○ルービンシュタイン(p)ウォレンシュタイン指揮LAフィル(RCA)CD

改めて書く。シマノフスキはルビンシュタインとは「若きポーランド」時代からの盟友として長く交流を保ち、最初の劇的な作風変化をもたらしたフランスの作曲家との接点は彼を通してのものだったと言われる。この作品はタトゥラ山地の民族舞曲に傾倒してのちの晩年の平易な作風によるものであるが、作曲家自身演奏するために作られたものの技術的問題等により、結局ルビンシュタインのレパートリーとして生きながらえることになった。

ただ、ルビンシュタインのスタイルは一切感傷を加えずドライに即物的に処理するといったもので血を思わせるブレはまったく無い。凄まじい技巧家であることを前提に、敢えて同曲の肝要となる特殊なリズムやアゴーギグをまったく強調せず、この曲に依然存在する秘教的な響き、スクリアビン的な神秘や熱狂も無い。曖昧さを排し力強く突き進むのである。録音がモノラルで古いせいもあり細部が聞き取れないのも難点だ。ウォレンスタインの棒もアメリカ50年代の直裁ないわゆるトスカニーニ=ワルター様式であるがために、剥き出しのスコアの、コントラストをただ矢鱈強くしたような音楽を聞いているようなものとなる。

力強く押し通す力のある指揮者でありルビンシュタインは至極プロフェッショナルに指をまわしていく、そこにただ一種シマノフスキ(第三期)というローカルな作曲家を汎世界的価値のある作曲家として昇華させる「わかりやすさ」が醸しだされているのは事実で、モノラルでオケ(とくに剥き出しで使われることの多い弦)の技術にも問題があるにもかかわらず素直に曲自体の包蔵する魅力だけが強く引き出された演奏となっている。3楽章の集中力と熱気は聞きものだろう。この曲の多面的な魅力、とくに繊細な響きの魅力が聞けるものではないが、ただ熱狂したいときにはおすすめ。○。

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ファリャ:スペインの庭の夜
ルービンシュタイン(アルトゥール)
BMGビクター

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