Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

2月になすべきこと

2007-02-08 23:17:46 | Weblog
2月も3分の1が過ぎた。ここで,今後の日程を再確認。

「MAS」・・・2/16までに各人の卒論を20頁に縮める。同時並行で,それぞれのモデルの精緻化と拡張を進める。その後の成果を生かして,2/26にはSIG-KBS用の8頁(3/29にはAESCS用に英文8頁)。

「自動車」・・・データを探索的因子分析→確証的因子分析→・・・なんて柄にもない作業をする予定。ただ,それだけでいいのか,という思いはある。今日届いた「新書」初校を見ながら,当初の問題意識を思い出す。おそらく3月に報告。

「国際比較」・・・これはひたすらロジスティック回帰で攻める。だが,データがデカイ。時間と体力を要する。しかし,問題はほとんどの地域をよく知らないことかもしれない。3月に報告。

「店内回遊」・・・昨年末に発表した内容の再検討と論文化。難問が発生して足踏み。2月にはトンネルから出ないと。

「広告効果」・・・リベンジ目指して新データのチェックと既存研究再サーベイ。

他の研究は一時凍結。気が重い課題として,試験問題(レポート課題)作成と採点,演習のプレゼン最終評価等,科研費最終処理。あとは,ご無沙汰している友人と会い,職場を去る同僚を送別すること。

人間は噂する機械

2007-02-08 08:36:01 | Weblog
クチコミマーケティングを実務の世界で研究する宇賀神さんのお話を聞く。消費者はクチコミをマスの情報以上に信頼するだけでなく,若い世代は,そもそもマスに接触しなくなっているという。それを踏まえ,まずコミュニティを作ったり話題になりそうなネタを仕掛けて「種まき」をした上で,マスで拡大し,それがさらにサーチやクチコミを生んでいくの狙う。明確な枠組みと豊富な事例を伺う。

この領域は実務も研究もどんどん進んでいる。ケースが蓄積されるにつれ,研究課題は効果測定から予測ないし制御へと向かうだろう。だが,CMに接触することでその名前を記憶する確率以上に,人が聞いた話題を周囲に伝える確率は,情報の内容と文脈に依存して不確実性が高い。なぜなら,そこには人間の意思が大きく絡むからだ。つまり,某大臣に倣って人間を相互に情報伝達する「機械」にたとえた場合,その動作はきわめて不安定なはずだ。その特性をどこまで理解できるか・・・研究してみたいと思う。

逃げたくはないが・・・

2007-02-07 11:30:22 | Weblog
昨日は非常勤最後の講義。秋に卒論のため行なった男子学生のファッション意識調査の大学別集計結果を紹介した。調査対象者の多くが自分の講義の受講者や友人のゼミの参加者なので,大学と年齢(学年),専攻が交絡していて,フェアな比較は難しい。にしても,国立-私立,文系-理系,都心-郊外などいくつかの要因の効果がありそうだ。ファッションへの選好以上に,それを自分で解釈したときの「ことば」に違いがあるように見える。

そのあと大学院の講義を行なうが,ふだんと異なる曜日の補講であるため,出席者は極めて少ない。レポートの課題を先週告知したせいもあるかもしれない。最後は,選択理論の課題として,コンテクスト効果,非補償型選好ルール,社会的相互作用の話をする。後者2つは自分のテーマでもある。いつも同じことを「課題」といい続けるのは,進歩のなさを自ら宣言しているようなものだ。

コンテクスト効果,特に Huber, Payne & Puto の「非対称に優越された代替案」について,その後も実験で再現されているのかという質問があった。実験経済学を専攻している院生だという。確かにこの種のアノマリーでは,再現性が重要だ。まだ企業にいた頃,大学で教えていればいつも学生相手に実験し放題だから,有名な実験を次々再試できるのでは,と考えていたことを思い出す。

帰り道,某誌で不採択になった論文のことを考えた。国際A級は壁が厚い。分野にもよるが,社会科学寄りであるほど,過去の研究の流れや蓄積を十分把握し,そこに自分たちの研究をはめ込んだうえで,新たな貢献があることを主張しないと,受け入れられない。こういうときいつも,闘争心をたぎらせて挑戦し続けるか,ドメスティックな成功を追求するかで悩む。逃げたくはないと思う一方,国際A級とされている研究の流れを必ずしも面白いと思えないという,研究への価値観・選好の問題も交絡する。

大学な一日

2007-02-05 23:24:54 | Weblog
ここ数日,WCSS06 の Post-proceedings のため,Springer のテンプレートと格闘した。便利といえば便利だが,ときどき不思議な(迷惑な)挙動も示す。工学系ですら WORD が主流になり,Tex なんて不要になるのでは,と思ったりする。

今日の午前中は,重要業務の「面接」。大学の一つの機能は学位授与だが,そのあり方は時代に合わせて変わらざるを得ない。しかし,それに「現場」が着いていけるのか・・・いろいろ思うところはあるが,いまは口を慎むことにする。

午後には,来年度から当研究室に所属するB3の学生と面談。着任以来,毎年4人を受け入れてきたが,来年度はエージェント・シミュレーションのみを取り上げると宣言したところ,最終的な入室希望者は2人になった。集中のメリットを目指す。

シミュレーション用に購入したPCだが,接続用の機器が揃わず,なかなか使い始めることができない。研究費のデッドラインが迫ってきている。悩んでいたら思わぬ「贈り物」が・・・。今週中に発注しないとだめだ。決断が必要。

来年度の「委員会」案が送られてきた。一番手間がかかるといわれる委員に名前が挙がっている。「若手」には研究に専念させるいう美風はどこに行ったのか・・・とぼやきたくなる。順番だというなら仕方ないが,何だかなあ。

最後に夜になって,Springer のアドレスから別件でメールが来た。こちらは「残念でした」のお知らせ。振り出しへ戻る。世の中甘くない。共著者へ転送。



修論最終発表

2007-02-01 22:48:27 | Weblog
今日は修士論文の最終発表会。わが研究室の池田君は購買履歴データから事前情報なしにインフルエンサーを識別し,その選択行動の特色を把握するという研究を発表。当研究室で昨年始めた研究を引き継ぎ,今年は推定に潜在クラスを導入しただけでなく,その安定性をシミュレーションで検証,さらに実証分析を行なった。

ささやかながら,研究室単位で研究成果を蓄積し,アウトプットしていくサイクルが出来つつあるように思われ,うれしく感じる。まだ埋もれている成果もある。負債がこれ以上過剰にならないようにしなくては・・・。

ともかく2月になった。今年度を「締め」つつ,来年度の「仕込み」をそろそろ・・・。