Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

平成の終わりに世界の未来を考える

2019-01-04 16:56:08 | Weblog
平成最後の年にあたり、今年の新年は未来のことをじっくり考えてみてはどうか? もちろん毎年のように新聞や雑誌はこの時期未来予測の記事を掲載するし、年賀状にちょっとした未来予測を書く人も少なくないはずだ。ただ、しばしば技術の話一辺倒になって食傷気味になる。

『〔データブック〕近未来予測2025』は、世界的規模での人口・環境・資源・民族等の大きなテーマから技術やビジネスまで、幅広く近未来に言及する。著者のアプローチは専門家によるワークショップであり、しばしば両論併記的であり、よくいえばバランスが取れた本である。

〔データブック〕近未来予測2025

ティム ジョーンズ,
キャロライン デューイング
早川書房

私のようにふだんグローバルな視点で世界を眺めていない人間には、たとえばアフリカ、北欧、東南アジアなど様々な地域での諸問題を列挙されると大変勉強になる(すぐ忘れがちだがw)。ビジネスの問題に絞っても、ところ変われば品変わるという点でいろいろな気づきが得られた。

個人的にツボだったのは、ダイナミック・プライシングの広がりを語る箇所で、アマゾンはアップル・ユーザに対して割高な価格を提示すると書かれていたこと(価格弾力性が何に対しても小さいという意味か)。また、シェアリング・エコノミーの商業化に警鐘を鳴らしている部分だ。

自分の探求課題でもあるクリエイティブ・エコノミーについて、その拡大が経済的格差の拡大につながることを懸念するよりも、これまで社会的に排除されてきた人々を包摂する可能性に期待している点も興味深かった。これは予測というより、未来をどうしたいかの問題というべきか。

結局のところ、未来のことは誰にもわからない。本書が執筆された時期以降の大きな変化として、米国におけるトランプ政権の誕生がある。それによって、少なくとも環境や移民の問題は、本書で予測されたよりも悲観的な方向で進むかもしれない(日本語版の補論で若干の言及はある)。

実はこの本を昨年、大学1年生向けのクラスで輪読に用いた。様々なテーマのうち何に最も関心があるかを聞いたところ、やはりというべきか、人工知能やクルマの自動運転を挙げた者が半数近かった。それらは、多くの論点のうち、最も不確実性が小さく、夢があるということだろう。
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