Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

鳩山政権発足・雑感

2009-09-17 22:43:37 | Weblog
昨夜,鳩山新内閣の閣僚たちの記者会見。従来のように役所のレクを受けない方針なので,各閣僚の力量が試される。なるべくメモを見ないでしゃべったほうがインパクトがあるが,その点で残念だったのが菅直人氏だ。民主党の実力者であり,副総理・国家戦略担当大臣である菅氏には,本来,迫力あるスピーチが期待されているはずなのだが・・・。

新内閣の特徴について,マーケティング・コンサルタントの大西宏氏が,ブログで興味深い指摘をしておられる。

大西宏のマーケティング・エッセンス 鳩山新政権キーワード

それによれば,閣僚のプロファイルをキーワードにすると,「団塊世代」「国立大学卒」「理科系」「組合」「論客」の5つにまとめられるという。新閣僚に「理科系」出身者が多いことはさんざんいわれていることだが,「団塊世代」というのは気づかなかった(正確には,団塊の世代の2年ぐらい上まで含めて,8人いる,ということだが)。

さて,野党になってしまった自民党は,明日,総裁選挙の立候補者を受付ける。二大政党制が機能するためにも,自民党が復活しないと困るという意見はメディア等でよく耳にする。その最初の一歩が,誰がどんな主張を掲げて(誰に支持されて)総裁になるかだろうが,それに加えて重要なのが,誰が幹事長になるかだという気がする。

テレビで見た自民党落選議員の集会では,小沢一郎氏のような強力な幹事長がいないと選挙には勝てない,という趣旨の発言がなされていた。誰か小沢一郎氏に対抗できるような幹事長が自民党に現れるだろうか・・・。だが,そんな心配は無用かもしれない。なぜなら,当の小沢一郎氏が次のように語っているからだ:
・・・自民党は・・・まったくなくなっては困る。もし自民党の次の世代がだめなら、ぼくが新しい自民党を育てるようにするさ。
それはともかく(笑),これは大下英治氏が今年の2月,当時民主党の党首であった小沢氏にインタビューしたときの発言である。なお,そのとき大久保秘書はまだ逮捕されていない。その後結局,小沢氏は党首を辞任することになる。その頃衆院が解散されていたら,どういう結果になったかわからない。

民主党政権
大下 英治
ベストセラーズ

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この本は総選挙の終了直後に出版されたものの,実際にはそれ以前に脱稿されており,選挙の結果は反映されていない。つまり,それが書かれていた頃,政権交代の可能性は高まっていたにしろ,さほど確実ではなかったのである。だから,その頃の,一種緊迫した空気が伝わってくる感じがする。

小沢氏の秘書逮捕が「国策捜査」であったかどうかはともかく(ちなみに本書はそれを示唆している),小沢氏が代表を辞して選挙対策に専念したことが,かえって民主党に有利に働いた可能性もある。これまた,どうなるかわからない,予測不能なことであった。だからもちろん,今後のこともよくわからない。

政治家たちの心がどう動いてきたかは,大下氏の本のみならず,多くの物語が語られるだろうが,もう一方でぼくが知りたいのは,有権者一人ひとりの心のなかで,どんな確信と揺らぎがあったかである。そこにも,さまざままドラマがあったに違いない。それをつぶさに研究すれば,選好形成のモデル化にもつながるだろう。 
 

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