無風老人の日記

価値観が多様化し、自分の価値判断を見失った人たちへ
正しい判断や行動をするための「ものの見方・考え方」を身につけよう。

日本の報道の現状(続き)

2017年04月08日 | Weblog
≪共謀罪≫---前回の続き

前回載せた朝日新聞の一面見出し(右側)では国民は気付けないのだが、本来なら与党が審議入りさせれば必ず成立してしまうテロ等準備罪の真の姿を日本の全マスコミが総力を挙げて報道し国民がその法律の恐ろしさに気が付くまで警鐘を打ち鳴らし続けなければならないのに、雪崩遭難や殺人事件や中国・北朝鮮・韓国(朴氏)の話題でテレビ画面・新聞紙面を満たしている日本のマスコミ報道の現状は憂うべきものだ。

今まで書いてきたように「日本国及び日本国民をテロの標的にしてしまった安倍首相」は、この「テロ等準備罪」(←共謀罪の事)を成立させなければテロを防げないと国会で審議入りさせた。



あなたは読売新聞が3回に亘り連載した「国際テロの時代」を信じてテロ対策のため「テロ等準備罪(共謀罪)」の成立に賛成するとしたなら大変な間違いである。



イスラム国と戦っている国々(フランス・イギリス・ロシア・エジプト等)へのテロは今年(2017年)直近でも、

🔲3月22日イギリス・ロンドンでテロ。死者5人、負傷者50人以上

🔲4月7日ロシアの地下鉄で自爆テロ。死者14人

🔲4月9日エジプトで連続テロ。死者45人

イスラム国から宣戦布告された日本で上の様なテロが起こる事は容易に予測が付く。

国家権力側(政府)から金をもらって(予算を付けてもらって)運営すれば、国家権力に縛られて自由にモノが言えなくなるとして「国民からの受信料」で運営していたℕHKが権力者と結びついた利権集団化して国民の皆様のNHK=「公共放送」から安倍政権の為の応援機関=「公営放送」「国営放送」に変わってしまった事は既に皆さんお気付きの通りだが、この「共謀罪」についてのNHK WEBニュースの報道の仕方は下記の通り。

テロ等準備罪 自民各派から指摘や意見(NHK Web ニュース 4月6日)

共謀罪の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案の審議入りを受け、自民党の各派閥の会合では、テロを防ぐために法案の成立は不可欠だといった指摘や、法案の内容や意義を国民にわかりやすく説明する必要があるという意見などが出されました。

この中で麻生副総理兼財務大臣は「法案は、3年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックの安全な開催に向け、国際組織犯罪防止条約を締結するのに不可欠だ。丁寧に説明できるように、きちんと勉強してもらいたい」と述べました。

また、細田総務会長は「ロシアでも最近テロ事件があり何が起こるか本当にわからない。法律を十分に整備して東京オリンピックに向けて万全の態勢を整えていかなければならない」と述べました。

さらに、石破前地方創生担当大臣は「何が犯罪になって何がならないのかが、きちんと国民に理解されないと罪刑法定主義が機能しないので、その辺も明確にしながら、法案の意義を国民に理解してもらう努力を続けていきたい」と述べました。

一方、山東元参議院副議長は「民進党や共産党は『一億総監視』の法案だなどと反対しているが、国家観のない国民の安全を守る危機管理能力を持ち合わせていない政党の言い分だ。日本は島国だから大丈夫だという時代はすぎ去っており、1日も早い法案の成立を期待したい」と述べました。


こんな報道を載せると又、話が分岐してなが~くなってしまうので、今日は下の最高裁の見解を載せただけで今日の話「共謀罪」のみの話に戻す。

■報道機関(テレビ・ラジオ・新聞等)の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するために重要な『判断材料』を提供し、国民の『知る権利』に奉仕するものである。(昭和44年最高裁見解)

NHKウェブニュースを見ると、まだ朝日新聞の方がマシに見えてくる。

一つは<おことわり>として、「政府が国会に提出した『組織的犯罪処罰法改正案』(テロ等準備罪)は犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨が盛り込まれているので、朝日新聞社はこれまで同様『共謀罪』の表現を使います。」としている点だ。

朝日新聞の「解説」(2017年3月22日)より、(概要)

政府は「テロ対策」を前面に打ち出し、「共謀罪」と呼ぶのは「全くの誤りで、一般の市民は対象にならない」と強調。

テロ組織や暴力団の「組織的犯罪集団」に適用を限ると説明している。

だが、政府は「正当な活動をする団体でも、性質が組織的犯罪集団に一変すれば対象になり得る」としており、その判断基準は曖昧で、「特高」もとい「公安」であります!その公安当局の裁量に委ねられることからも、「共謀罪」は戦前の悪名高い「治安維持法」を彷彿とさせる国民にとって最悪の法律だ。


最後の治安維持法のクダリは私の付け足しですが、これまでの国会議論で「一般市民に影響が及ばない」とする根拠を具体的に問われると政府は「法案提出後に説明する」(金田法相)と繰り返してきた。

「(3回も)廃案になった過去の悪いイメージを強い言葉で打ち消し、都合の良い言葉を重ねる態度はフェアーでない。」↞朝日解説

下に東京新聞の記事を載せる。



文字起こしが面倒なので、必要な右部分だけ拡大。



こうして、この共謀罪も安保法制同様、国民の理解が得られないまま「法案が通ってからも国民の皆様には丁寧に説明していく」と言いながら、国民の85%ほどが「説明不足」のまま強行採決されてしまうのだ。

治安維持法の解説

治安維持法(1925年制定・1941年3月10日全面改正)は、国体(天皇制・皇室)や私有財産制を否定する運動、即ち、流血革命も辞さずとする当時非合法組織「共産党」(今で言う〝過激派テロ組織”)を取り締まることを目的として制定された。
この制定時も日本国民は誰もが「われわれ一般市民には関係ない法律」と捉えていた。今の共謀罪についての政府説明と同じ様に・・・。

この「共産主義革命運動の激化」を懸念し国体擁護・私有財産制の保持を目的に作られた法律は、次第に、大本教等の宗教団体や、右翼活動、自由主義、等、政府の政策を批判する自由な発言も取り締まりの対象となり、穏健な自由主義者や労働運動などもすべて取り締まりの対象となっていった。

補足すれば

1925年(大正14年)日本で初の普通選挙法が成立、それと同時に最初の治安維持法も制定された。

国体(天皇制)の変革や、私有財産制の否定を目的とした結社とその運動を禁止することを法律として可能としたものだが、先に書いた通り、この法律は「政府批判をする者」を弾圧・粛清する手段になっていった。

1928年の田中義一内閣は、勅令で最高刑に死刑を加え、軍部に対する反対運動や反戦活動を厳しく弾圧する手段とされた。

更に具体的に詳しく

日本軍の山東出兵が行われている最中の1928年(昭和3年)2月、日本で最初の普通選挙が実施され、そこで、社会民衆党の4名を含む、いわゆる無産政党から8名が当選した。

この現実に衝撃を受けた田中義一内閣は、1928年3月15日に治安維持法違反として非合法の日本共産党員や無産政党員、労働運動指導者約1,000人を逮捕するという大弾圧を行なった。

翌年(1929年)4月16日にも地下の共産党幹部を339名を逮捕、起訴した。
この「3月15日事件」は『蟹工船』(1929)などで知られる小林多喜二氏の『一九二八年三月十五日』に詳しく描かれている。

小林多喜二氏自身も、のちの1933年、特高警察に逮捕され、拷問の上虐殺された。

日本共産党発行の文化評論1976年臨時増刊号では、194人が取調べ中の拷問・私刑によって死亡し、更に1503人が獄中で病死したと記述されている。
この様に、量刑としては軽くても拷問や虐待で命を落とした者が多数存在した。

さらに、外地ではこの限りではなく、朝鮮では反日活動をしたとして朝鮮人45人が死刑執行されている。それ以外の刑罰も外地での方が重い傾向にあったとされる。

この共謀罪じゃなかった治安維持法は、軍国主義強化に活用された。日本の天皇制軍国主義体制を支える立法であったので、1945年、日本の敗戦とともに廃止された。




自分で「このままでは開催できない」状況を作っておいて、全体主義・軍国主義を推し進めるための「共謀罪」を制定しようとしている。

前に掲載した日刊ゲンダイの「共謀罪」成立「賛成多数」の記事を再掲して次回のタイトルに続きます。

きょうは、ここまで。またね。